安田記念
2014/6/8 東京競馬場 芝1600m

レース展望

過去10年で1番人気は[2−0−0−8]で2連対のみ。前走G1は[2−0−0−2]だが、前走G2は[0−0−0−6]で出番なし。単勝4倍以上は[1−0−0−6]で1連対のみ。押し出されて1番人気になった馬は危険。2番人気は[3−1−0−6]で4連対、3番人気は[1−2−1−6]で3連対。6〜9番人気が5連対、10番人気以下が3連対と多く、6年で6番人気以下が連対して荒れている。最近5年の馬連は2倍、126倍、122倍、85倍、14倍。人気薄の激走が多く、中穴以上の決着が多い。

459キロ以下は[0−1−1−18]で連対はG1勝ちのある牝馬スイープトウショウのみ。連対馬20頭のうち15頭が490キロ以上。最近8年では連対馬16頭のうち14頭が490キロ以上、残る2頭は474キロ、486キロ。最近9年は必ず500キロ以上が連対している。490キロ以上のマイル重賞実績馬を重視。最近5年の連対馬10頭のうち9頭が差し追い込み馬。ハイペースで差し追い込みが決まりやすいが、今年のNHKマイルCとヴィクトリアマイルは逃げた馬が勝っている。安田記念も前残りに注意。

ジャスタウェイは天皇賞(秋)を4馬身、中山記念を3馬身半、ドバイデューティフリーを6馬身差で圧勝。ドバイデューティフリー1着のレーティングは130で現在世界ランク1位。新潟2歳Sでメンバー最速の32.6秒(ハープスターは32.5秒)で2着に入った馬が世界レベルに到達した。芝1600mは[2−2−0−1]で東京ではNHKマイルCでメンバー最速の34.2秒で追い込んで6着がある。絶対能力は抜けているが、1分31秒台の高速決着に対応できるかがカギ。福永騎手が騎乗停止のため、柴田善騎手に乗り替わる。柴田善騎手はG1で1番人気になると[0−1−0−5]で未勝利。今年大活躍のハーツクライ産駒。

ワールドエースは長期休み明けの白富士Sは0.4秒差の5着に終わったが、初マイルとなったマイラーズCを4番手からメンバー3位の33.2秒で抜け出して1分31秒4のレコードで制した。シュタルケ騎手が騎乗してレースぶりが一変した。ひと皮剥けてきたか。安田記念で小柄な馬は不振だが、前走466キロ、調教後の馬体重が480キロなら問題ないか。全4勝は56キロ以下。今回初めて58キロを背負う。前走先行して勝ち、東京が前残り傾向、ウィリアムズ騎手なら今回も先行策か。今年の重賞でウィリアムズ騎手は[0−0−0−8]で5着が最高。今年のG1で池江厩舎は[0−1−0−8]。昨年の凱旋門賞で燃え尽きたか。

トーセンラーは昨年以降全てG2以上に出走し[2−2−1−1]で重い馬場が響いた宝塚記念5着を除き3着以内を確保。初マイルとなった昨年のマイルCSではメンバー最速の33.3秒で大外一気を決めた。今年は京都記念で58キロを背負って0.1秒差の2着。京王杯SCは右前肢の挫石のため回避。一頓挫あったたため、どこまで仕上がってくるか。東京では皐月賞7着、ダービー11着に終わったが、外枠、不良馬場が堪えている。京都芝は[4−2−3−1]で4着以内を確保。東京で同じように切れる脚を使えるかがカギ。今年のG1で武豊騎手は[0−0−0−7]。先週のダービーは内ラチに激突。勝負師・武豊騎手が目覚めるか。

フィエロは芝1600mの1000万、1600万、OP特別を3連勝してきた上がり馬。前走マイラーズCは6番手からメンバー3位の33.2秒で上がって0.2秒差の2着。4コーナーから直線で外からオースミナインにマークされ、直線では前にワールドエース、外にオースミナインがいて追い出しが遅れるロスがあった。初マイルのワールドエースに負けたことをどう考えるか。武豊騎手がトーセンラーに騎乗するため、テン乗りの岩田騎手に乗り替わる。東京は内が有利なため、内から捌く必要がありそうだが、岩田騎手が後藤騎手の件を恐れずに強気な騎乗ができるかがポイント。今回のメンバーで重賞勝ちがないのはこの馬しかいない。

5連勝でNHKマイルCを制したミッキーアイル、前走都大路Sを1分43秒9のレコードで5馬身差で圧勝したグランデッツァ、東京芝1600m重賞[2−0−2−0]で前走京王杯SC2着のクラレント、ダービー卿CTを勝って復活した一昨年のNHKマイルC勝ち馬カレンブラックヒル、昨年の安田記念2着馬ショウナンマイティ、同3着馬ダノンシャーク、京都金杯勝ち馬エキストラエンド、東京芝1600m[3−1−0−1]のホエールキャプチャ、マイルG1[2−2−0−5]のグランプリボス、香港馬グロリアスデイズなど伏兵は多士済々。これだけ好メンバーが揃ったマイルG1は久々。レースも馬券も盛り上がりそうだ。

ミッキーアイルはNHKマイルCのパフォーマンスでは通用しないが、休み明け、最後の直線が強い向かい風が影響しており、まだパフォーマンスアップの余地はある。最終調教は坂路で1番時計を出し攻めている。昨年の安田記念で2着に追い込んだ浜中騎手が逃げて持ってくるか。グランデッツァは芝1800m[4−1−0−0]だが、芝1600mは初めて。前走1600m通過は1分32秒5ならこなす下地はあるか。ワールドエースが2着に入った皐月賞で1番人気に支持された馬。桜花賞馬マルセリーナの半弟。前走の好タイムで圧勝したことがフロックでないことを証明するか。重馬場のスプリングSでディープブリランテに勝っている。

クラレントは先週のダービーを制した橋口厩舎の管理馬。東京では富士S、東京新聞杯、エプソムCを制しており、昨年の毎日王冠では2着ジャスタウェイにクビ差の3着がある。川田騎手では[0−1−3−1]。脚質的に今の東京は合うだが、川田騎手次第か。カレンブラックヒルはデビューから毎日王冠まで5連勝。毎日王冠ではジャスタウェイを完封した。その後は6連敗したが、前走ダービー卿CTを好位の内から抜け出して優勝。芝1600mの稍重以上と良でも雨が降ったときは[4−0−0−0]。良馬場では切れ負けするが、渋った馬場なら地力を発揮する。東京は金曜が雨、土曜と日曜が曇時々雨の予報。馬場を味方につけられるか。

★先週の予想結果

◆競馬道場(競馬アナリストGM)
ダービー 馬連850円、與杼特別 馬連・3連複3.350円的中!

◆MR予想(万馬券MR)
ダービー 馬連850円、白百合S 3連単5,480円的中!
穴馬は目黒記念・マイネルメダリスト優勝(8人、単勝16.2倍)

MRの穴馬まとめレポート(その3)

WAKUWAKU競馬道場
競馬アナリストGM


レース回顧

2014年 6月 8日(日) 3回東京2日  天候:小雨  馬場状態:不良
11R  第64回安田記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 1600m   17頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 5 10  ジャスタウェイ     牡 5 柴田善臣  58  1.36.8 37.1  1 498 (栗)須貝尚介
2 6 12  グランプリボス     牡 6 三浦皇成  58  1.36.8 37.2 16 502 (栗)矢作芳人
3 6 11  ショウナンマイティ 牡 6 北村宏司  58  1.37.3 37.3 10 502 (栗)梅田智之
4 5  9  ダノンシャーク     牡 6 内田博幸  58  1.37.4 38.2  9 444 (栗)大久保龍
5 8 17  ワールドエース     牡 5 ウィリア  58  1.37.4 37.8  3 466 (栗)池江泰寿
6 3  6 $グロリアスデイズ   セ 7 モレイラ  58  1.37.5 38.1 13 482 [外]サイズ
7 8 15  サダムパテック     牡 6 田中勝春  58  1.37.5 37.6 17 512 (栗)西園正都
8 7 13  フィエロ           牡 5 岩田康誠  58  1.37.6 37.7  6 496 (栗)藤原英昭
9 2  3  カレンブラックヒル 牡 5 秋山真一  58  1.37.9 38.4  5 466 (栗)平田修
10 7 14  クラレント         牡 5 川田将雅  58  1.38.0 38.8 11 494 (栗)橋口弘次
11 1  1  グランデッツァ     牡 5 石橋脩    58  1.38.0 38.3  4 506 (栗)平田修
12 3  5  エキストラエンド   牡 5 横山典弘  58  1.38.1 37.7 12 468 (栗)角居勝彦
13 2  4  リアルインパクト   牡 6 戸崎圭太  58  1.38.4 39.2 14 520 (美)堀宣行
14 8 16  トーセンラー       牡 6 武豊      58  1.38.7 39.3  8 458 (栗)藤原英昭
15 4  7  ホエールキャプチャ 牝 6 蛯名正義  56  1.38.7 38.5  7 480 (美)田中清隆
16 4  8  ミッキーアイル     牡 3 浜中俊    54  1.38.8 39.7  2 472 (栗)音無秀孝
17 1  2  レッドスパーダ     牡 8 四位洋文  58  1.39.8 40.3 15 532 (美)藤沢和雄
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LAP :12.3-11.1-11.7-12.0-12.0-11.8-12.1-13.8
通過:35.1-47.1-59.1-70.9  上り:73.4-61.7-49.7-37.7  平均:1F:12.10 / 3F:36.30
単勝   10 \170 
複勝   10 \110 / 12 \2200 / 11 \600 
枠連   5-6 \2630 (11) 
馬連   10-12 \18730 (40) 
ワイド 10-12 \5890 (61)/ 10-11 \1070 (9)/ 11-12 \25990 (109) 
馬単   10-12 \20330 (50) 
3連複 10-11-12 \91160 (211/680) 
3連単 10-12-11 \373470 (805/4080) 

ジャスタウェイは中団の後ろにつけ、メンバー最速の37.1秒で先に抜け出したグランプリボスをハナ差交わしてレースを制した。レーティング世界1位のジャスタウェイ、12年の安田記念2着馬グランプリボス、昨年の安田記念2着馬ショウナンマイティで決着。不良のタフな馬場で底力が問われ、古馬G1で実績のある3頭で決着した。ミッキーアイルが逃げて前半3F35.1秒、5F59.1秒。ジャスタウェイは直線で外に出せず厳しい位置にいたが、馬場の悪い内に進路を取ってしぶとく伸び、グランプリボスとの叩き合いを制した。かなり厳しいレースになったが、最後は底力で捻じ伏せた。これだけ厳しいレースにも関わらず、馬は自ら前を捕まえようとしていた。かなり精神面が強くなっている。ドバイ遠征明けで絶好調ではなかったが、このレベルの馬になると普通に仕上がれば力を出せるのだろう。今年になって馬体がスケールアップし、心身とも完全に本格化している。これで芝1600mは[3−2−0−1]で上がり3Fは全てメンバー最速。芝1800mは[2−3−0−2]、芝2000mは[1−0−1−2]、芝2200m以上は[0−0−0−2]で距離が延びるほど率は落ちるが、万能型で距離はこなせるタイプ。昨年の天皇賞(秋)でジェンティルドンナに4馬身差をつけて圧勝したのはダテではない。今後は未定だが、秋は凱旋門賞に向かうプランがある。

ハーツクライ産駒はオークス、ダービー、安田記念と3週連続でG1を制した。今年の重賞でハーツクライ産駒は[6−6−2−22]、5番人気以内は[6−6−1−7]で連対率60%。ちなみに今年の重賞でディープインパクト産駒は[15−14−12−76]、5番人気以内は[12−13−11−34]で連対率35.7%。連対数はディープインパクト産駒だが、率はハーツクライ産駒が上回っている。

グランプリボスは中団から馬群を割ってメンバー2位の37.2秒で抜け出したが、最後にジャスタウェイに差されてハナ差の惜しい2着。抜け出した後に外に寄れたことが響いた。まっすぐに走っていれば勝った可能性が高いが、休み明けで苦しくなった面もあるのだろう。不良馬場でタフなレースになり、国内マイルG1[2−2−0−3]の実力馬が16番人気で波乱を演出した。最終調教で馬体の造り、動きが良く、久々を感じさせなかったが、陣営は弱気なコメントを連発していた。矢作調教師は競馬ファンのために馬券的な妙味を作る調教師で時々このパターンで穴をあける。覚えておいて損はない。三浦騎手はNHKマイルCのタガノブルグに続き、東京マイルG1でブービー人気を2着に持ってきた。今年の東京芝1600mで三浦騎手は[4−5−0−13]で連対率40.9%。何かを掴んだのではないか。グランプリボスはひと息入れてマイルCSを目指すことになりそう。成績にムラがあるため、人気になりにくいタイプ。ダイタクヘリオスもそうだったが、人気で負けて人気が落ちたときに激走している。マイルCSでも条件が揃えば狙い目はある。

ショウナンマイティは出遅れて後方を進み、直線で馬場の荒れた内を突いてメンバー3位の37.3秒で伸びて0.5秒差の3着。前の2頭に離されたが、後方から上がりをまとめて3着争いを制した。稍重の大阪杯で大外一気を決めたように渋った馬場をこなすタイプ。土曜のように水が浮く不良馬場は良くないが、日曜は小雨程度で極端に悪化しなかったのが良かったのだろう。人気はなかったが、昨年の安田記念2着馬が地力を示した。近走不振に陥っていたが、最終調教は軽快なフットワークで馬体の張り、毛づやが良くなり、叩き3戦目の上積みを感じさせた。今春のG1で北村宏騎手は[0−0−2−4]でオークスのバウンスシャッセに続き3着。07年以降のG1で[0−1−3−53]で連対率1.8%と不振だが、最近は腕を上げており、いつ連対圏に突入してもおかしくない。直線で苦し紛れに内を突くレースが多いため、他馬&騎手の癖を分析し、直線のコース取りに重点を置いた騎乗を心掛ければ結果が出るはずだ。ショウナンマイティは左第2中手骨々折、左第4中手骨々折を発症し、3ヶ月以上の休養を要する見込み。G1馬になれる能力を持った馬。復活を期待したい。

ダノンシャークは3番手から早めに先頭に立ったが、ラスト1Fで力尽きて3着に0.1秒差の4着。内田騎手が積極的な騎乗で見せ馬を作ったが、流れを考えるともう少しタメた方が馬券圏内の可能性は高かったか。昨年の安田記念3着馬。前走阪急杯は惨敗したが、立て直して得意コースで力のあるところを見せた。京都芝外1600mは[1−2−3−1]の巧者。秋のマイルCSに向けて大久保龍厩舎がどのようにしてパフォーマンスを引き上げてくるか注目したい。

ワールドエースは中団を進み、最後に外から伸びて3着に争いに加わって5着。不良馬場で行きっぷりが悪く、外枠から外を回ったこともあり伸び切れなかった。1〜3着馬は500キロ前後の馬格のある馬。466キロの中型馬が初めて58キロを背負ったことも影響したのだろう。前走マイラーズCをレコードで勝っただけに良馬場の高速決着が理想だったが、不良馬場で力を出せなかった。秋のマイルCSは得意の得意の京都で57キロ。このまま無事に進めてマイルの経験を積んでいけば、マイルCSでチャンスがある。

フィエロは出遅れて後方を進み、直線で外から伸びたが、最後は前が壁になって目一杯に追えず8着。3着とは0.3秒差だけに出遅れず、直線でスムーズなら3着争いに加われたのではないか。G1初挑戦だったが、パドックで馬体の造りは見劣らなかった。G1を狙える資質があるため、藤原英厩舎がG1に耐えられる底力をいかにして強化するかに懸かっている。不良馬場のG1で厳しいレースを経験したことは今後の糧になる。相馬眼的にマイルCSで主役を張る存在になっても何らおかしくない。


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