天皇賞(秋)
2002/10/27 中山競馬場 芝2000m


スポンサーも訪れてください。

データ分析

■50倍以上が5割。本命狙いは妙味なし
50倍以上が2回、万馬券が3回と荒れている。1、2番人気で決着した2年は290円、490円と堅いが、これだけ荒れると配当的にも本命狙いに妙味はない。波乱になる要素が多数あるだけに積極的に中大穴を狙いたい。

■過去の実績や前走着順に惑わされるな
穴になるのは、休み明けの実績馬や春の天皇賞馬が消えるか、前走で負けて人気を落としたGT実績馬が巻き返すのがパターン。実績馬でも不安があれば軽視していい。人気に惑わされずに適性のある馬を選びたい。

■3ヶ月以上の休み明けの連対はゼロ
札幌記念と新潟記念の勝ち馬が2ヶ月ぶりで連対したが、他の18頭は9月以降に出走歴があった。3ヶ月以上の休み明けは3冠馬ナリタブライアンを含め連対したことはない。実績馬でも休み明けなら大幅に割引が必要。

■GT連対経験のある4歳馬が大活躍
3歳馬の出走は少ないがGT勝ちの牡馬に限定すると2、1、4着と通用する。中心は6年連続連対中の4歳馬。ここ6年で連対した4歳馬8頭全てにGT連対経験があったようにレベルの高い4歳馬の活躍が目立っている。


コース分析

中山芝2000mは、4コーナー終りの直線入り口からスタートする内回りコース。直線の坂を2回登るタフなコースのため、特に逃げ馬には苦しいコースと言われる。落ち着いた流れなら前残りもあるが、基本的には差し馬が狙いとなる。内回りコースのため、いい脚を長く使う馬より一瞬の切れ味のある馬が活躍している。

天皇賞秋の過去10年の連対馬の脚質は、逃げ0先行10差し5追込5だが、今年は中山内回りだけに後方一気の馬は苦しくなる。東京コース向きの差し追い込み馬は基本的に軽視したい。内回りコースをこなす器用な脚と一瞬の切れ味を持った馬が狙いの中心となる。

中山は今週もBコース。富士Sの勝ちタイムが1分32秒3だったように高速決着になるのは明らか。持ちタイムが優秀な軽いスピードタイプが今の中山には合う。ただし、芝の長さが開催初日のように15cmになると重厚さが必要になるので週末の馬場情報で確認したい。また、今の中山は全般的に前残りの傾向が強いことも考慮が必要。一発なら人気薄の前残りに注意したい。


1週前調教診断

■[8+/]テイエムオーシャン
栗坂で2頭併せで強めに追われるとこの馬独特のバネの利いたフットワークで躍動感のある動きを見せた。使い込むと迫力が薄れてくるが、今回は馬体を大きく見せて素晴らしい動き。昨年より馬体がしっかりしてきたのもいいし、こちらが思っている以上に成長した印象。

■[8+/]エイシンプレストン
栗CWで単走馬なりのまましなやかな脚捌きで77.7−36.8−12.6秒の好タイムを出した。前脚のでがスムーズだし、馬体も引き締まってきた印象。気合も乗って来ているし、かなりいい状態で出走できそうだ。

■[8−]シンボリクリスエス
南Wでハッピーパスと併せて馬なりのまま併入した。神戸新聞杯のときも良かったが、馬体のバランス、毛づやが素晴らしく、非常に良く見せている。春は馬体の線が少し細く見えるときがあったが、ここにきて完全に本格化した印象。

■[8−]ナリタトップロード
栗DWで単走で強めに追われて、最後まで力強い脚捌きでしっかり伸びた。調子のブレがなくなり、いつも通りの動き。前脚が上がり過ぎると良くないが、今回も適度に上がる感じでいい状態。前走も仕上がっていたので大きな上積みはないが好調をキープしている。

■[7−]ゴーステディ
美坂で単走馬なり調教。相変わらず気合の乗った走りで馬体の張りも上々。前走もデキは良かったが、好状態をキープしている。

■[6+−]ダンツフレーム
栗DWでタンツシェイクと併せて馬なりのまま併入した。6F80.5秒とタイムは早いが、追い切り自体は少しセーブ気味の内容。元々太く見えるので馬体は細く見えないが、どうもいい時の勢いが感じられない。20日に坂路で一杯に追われたようだが、最終追い切りでどこまで変わってくるか確認したいところ。

■[6+/]トラストファイヤー
南Dでミデオンビットと併せて一杯に追われると力強いフットワークで最後までしっかり伸びた。毎日王冠のときも調教でも動いていたが、今回は馬に走る気が感じられるのが好印象。まだ絶好調まではいかないが確実に良化している。

■[6+/]アグネススペシャル
南Wで2頭併せで馬なりのまま併入した。ウッドだとバランスの悪いフットワークに見えるときがあるが、今回はバネの利いたフットワークで動きは良かった。オールカマーでは南芝で3頭併せで遅れたが、そのときよりは雰囲気はいい。

■[6−]アグネスフライト
栗DWで2頭併せで一杯に追われて先着した。屈腱炎を克服しての出走には頭が下がるが、トモの筋肉が少し落ちているし、動きも好調時と比べるとひと息の印象。屈腱炎明けでここまで強く追ってくる長浜厩舎もある意味凄いが、あと1週でどこまで持って来れるか注目したい。


有力馬診断

■[9]テイエムオーシャン
プラス38キロで臨んだ札幌記念の内容が抜群。自分から動いて勝ちに行く競馬をして楽に突き放したのは能力以外の何ものでもないだろう。昨年は若干こじんまりと見えた馬体は休養を挟んで一気に成長。こちらの予想を超える成長力には本当に驚かされた。おそらく今の日本で2000mならこの馬が最強だろう。既に牡馬、牝馬という枠は超えている。オーシャンの勢いを止めるとすれば、距離が伸びた場合のファインモーションくらいだろう。今回はよほどのアクシデントがない限りはまず負けることはないとみている。オーシャンは正攻法のレースで前を潰すので2着には追い込み馬が来ることが多い。馬券のポイントはそのあたりにありそうだ。

■[8]ツルマルボーイ
金鯱賞でエアシャカールを破り、宝塚記念ではダンツフレームにクビ差の2着、京都大賞典では不利がありながらも最後に切れ味を見せて2着と着実に力をつけてきた。小倉3歳Sで1番人気で惨敗したときにはまさかここまで来るとは思わなかったが、それにしても凄い成長力を見せている。ここで上位に評価したのは、ハイペースで切れる脚を使えるところ。今年の天皇賞は厳しいペースになりそうなので、ハイペースでの切れ味が必ず生きてくるはずだ。やや内目の枠を引いたのでいかにスムーズに外に出せるかがポイントになるが、そこは勝負師河内騎手、信頼していいだろう。

■[8]エイシンプレストン
毎日王冠を使われ、さらに調子を上げてきた。元々使われながら調子を上げるタイプでここまでは陣営の思惑通りにきている。香港で2000m戦を勝っているように距離は問題ないが、今回は中山の内回りコースだけに仕掛けどころが難しい。毎日王冠では前残りの馬場を考慮して3番手につけたが、今度は中団あたりからの競馬だろう。香港で2勝しているように少し力のいる馬場で長い直線というのがベストの条件だが、今週の中山は芝を刈らずに芝丈13cmで行われるのはこの馬にはプラス。あとは福永騎手がこの馬の持ち味をどこまで引き出せるかに掛かっている。

■[7+]エアシャカール
今年の天皇賞が中山で行われることで有利になるのは皐月賞を勝ったこの馬だろう。右回りだと内に刺さるというウイークポイントはあるが、中山コースは[2・1・0・0]と結果を出せているのだから全く問題ない。厳しい展開になれば、得意の大外捲くりが決まることも十分に考えられる。今回は休み明けだが、元々久々を苦にするタイプではないし、絶好調まではいかなくても力を出せる状態に仕上がっている。以前より馬体が細く見えるのは気にならなくもないが、調教であれだけ動けば問題ない。鞍上は菊花賞で落馬した武豊騎手。当然一発を狙っているだろう。

■[7+]ナリタトップロード
年を取るにつれレースぶりに安定感が出て、今年は既に重賞3勝と馬が勝つことを覚えてきた。唯一連対を外した天皇賞春でも勝ち馬とは0.1秒差の3着。今回は一昨年の天皇賞秋以来、約2年ぶりの2000m戦。早い流れについて行けるかどうかの不安はなくはないが、レース巧者のこの馬なら無難に対応できそうな気もする。ただし問題は1枠。乗り方は非常に難しくなったのは事実だろう。積極的な競馬をすると最後まで伸びるかどうか不安だし、控えれば位置取りが悪くなりそう。状態は万全だが、そのあたりにやや不安が残る。

■[7]シンボリクリスエス
4月の山吹賞を勝ってから一気に本格化し、ダービーでタニノギムレットに敗れた以外は勝利を収めてきた。走る馬独特の雰囲気を持った馬で、抜け出してくるときの末脚の切れ味は凄いものがある。ただし、前半からペースが厳しくなったときにスムーズに追走できるかは少し不安。上手く追走して直線でごちゃつかなければという条件がつく。鞍上が岡部騎手だけに上手く騎乗してくれると思うが、それでも後続が一気に仕掛ける厳しい展開というのは少し引っ掛かる。

■[7]サンライズペガサス
毎日王冠は休み明けと輸送でイレ込んだようだが、アメリカンボスを差せなかったのはいただけない。大坂杯の脅威的な末脚の切れ味を使えればここでも通用するが、この秋は馬体のボリューム感が薄れてきているのが気になるところ。その点で評価を下げたが、当日のパドックを見てから判断したい気持ちもある。

■[7]ダンツフレーム
毎日王冠ではマイナス18キロの馬体減でパドックでも元気がなかった。この中間は馬体を戻しているが、最終調教を見る限りはまだいい時と比べるとひと息の印象。中山2000mは皐月賞で2着した舞台。厳しいレースでこそ力を発揮するタイプなので復調していれば連対は可能だがどうだろう。

調教診断

■[10/]テイエムオーシャン
栗坂で2頭併せで馬なりのまま追走して、最後は楽々と先着した。56.5−27.2−13.1秒と控えめな内容だったが、仕上がっているのでこれでいいだろう。馬体の張り、バネの利いたフットワークといい、今の栗東ではファインモーションと並んで目立つ存在。歩いている姿と見ても覇気が感じられるし、馬体のパワーアップは見て取れる。大一番を前に万全の仕上がり。

■[8+/]ツルマルボーイ
栗坂でアクトナチュラリーと併せて強めに追われて最後は少し遅れたが、51.7−25.1−12.7秒と時計的には十分動いた。走る馬独特のものを見せているし、前走より脚捌きに鋭さが出て、さらに良化してきた印象。まだ良くなる余地はあるが、現時点ではほぼ万全の仕上がり。

■[8+/]エイシンプレストン
栗CWで単走で一杯に追われて、キビキビとしたフットワークで最後までしっかり伸びた。6F79.2秒はこの日の1番時計。調教駆けするタイプだが、前走より動きが鋭くなってきたのは好印象。馬体も適度に引き締まり、良く見せている。ひと叩きされた上積みは十分。

■[8+/]ナリタトップロード
栗DWで四位騎手が騎乗し単走で一杯に追われると力強いフットワークを見せて好調をアピールした。前脚も上がり過ぎていないし、前走同様いい状態を保っている。動きに少し豪快さが出てきた分、上積みはありそうだ。力を出せる仕上がり。

■[8/]シンボリクリスエス
南Wで3頭併せの真ん中を進み、馬なりのまま併入した。前に行こうという意思が見られるし、前走同様しなやかな走りは目を引いた。馬体の張りも良く、前走より若干調子を上げている。

■[7+/]イブキガバメント
栗坂でロサードと併せて一杯に追われるとしぶとく伸びて先着した。タイムは51.2−25.3−12.9秒と上々だし、脚捌きもスムーズに見えた。元々叩き良化タイプだが、使われながら徐々に調子を上げている。

■[7−]エアシャカール
栗坂で単走で一杯に追われて、51.4−25.4−12.6秒で最後まで集中した走りを見せた。絶好調時と比べるとまだ前脚の上がり方が弱い感じがするが、それでも久々としては仕上がりは上々。馬体の張り、毛づやも良く、見た目はかなり仕上がっている。

■[7/]トラストファイヤー
南Dで2頭併せで一杯に追われて相手を突き放した。タイムは78.0−36.9−12.1秒と早いし、これだけ一杯に追えて仕上げられたのは調子のいい証拠。終始手応えに余裕があったし、脚捌きにも力強さが出てきたのは好印象。前走より確実に良化している。

■[7−]サンライズペガサス
栗坂で単走で一杯に追われて51.5−25.5−13.2秒と時計は出たがラストは一杯になった。春は同じ体重でも馬体のボリューム感があったが、この秋はそれがなくなっているのが少し気になるところ。動きは悪くはないが、前走から大きく変わってきた印象はない。

■[7−]ロサード
栗坂でイブキガバメントと併せて一杯に追われて、この馬独特の飛びようなフットワークで最後までしっかり伸びた。最後は少し遅れたが、好調時のフットワークを見せており、動きは良かった。この馬なりに順調にきている。

■[7−]ゴーステディ
美坂で2頭併せで一杯に追われるといつも通り気合の乗った走りで36.6−24.2−12.0秒を出した。前半はやや余裕を残したが、相変わらず前脚の捌きの鋭さが目立った。引き続き好調キープ。

■[6+/]ダンツフレーム
栗DWでロードグランディスと併せて一杯に追われると一気に相手を突き放したがラストは13.4秒掛かった。6F81.6秒と時計は出たが、宝塚記念のときの首を使った重心の低いフットワークと比べるとまだ本調子にはひと息の印象。馬体は戻してきているようだが、前走から若干良化といった感じ。

■[6+−]ブレイクタイム
栗坂で単走で強めに追われて、4Fはエラーだったが3F37.3秒と好タイムを出した。追われてあまり反応がなかった感じもあるが、全体的な雰囲気は良かった。前走から大きな上積みはないが、この馬なりに順調にきている。

■[6+/]テンザンセイザ
栗CWでゼンノショウグンと併せて、この馬独特の前脚を掻き込むフットワークで相手を突き放した。調教では良く見せるタイプだが、厳しい評価をすると今回はいつもより脚捌きの鋭さが少し不足している印象。仕上がりは悪くはないが、絶好調まではいっていない。

■[6+/]アグネスフライト
栗DWで2頭併せで一杯に追われて相手を突き放した。ラストは39.9−13.1秒だったが、時計の掛かるDWならこの時計は合格点。屈腱炎明けでこれだけ一杯に追えるのは脚元に心配がない証拠。馬体の張り、全体的な迫力はまだ不足しているが、走れない仕上がりではない。先週より若干良化している。

■[6+−]アグネススペシャル
南芝で3頭併せの大外を進み、軽く仕掛けられた程度で併入した。取り立てて強調できるところはないが、クビを使って走れているし、雰囲気は悪くない。デキはいい意味で平行線。

■[6+−]アラタマインディ
栗坂で単走馬なりでしっかりした脚捌きを見せた。最後までまっすぐに伸びたのはいいが、いい意味での豪快さが薄れてきているのは少し気になるところ。大きな上積みは感じられない。

■[6+−]トーホウシデン
南Dで強めに追われたようだが確認できなかった。坂路のキャンターを見た感じでは春より馬体をフックラ見せて、雰囲気は良かった。調教も順調に消化しているので、久々でも仕上がりは良さそうだ。


相馬眼予想

まず中山の馬場だが土曜の時点で良馬場。日曜日は雨は降らないようなので良馬場で行われそうだ。今週の芝丈は13cm。開幕週の15cmまではいかなくても少し力のいる状態になっている。中山は今週もBコースだが全般的に良好な状態で特に不利はなさそうだ。土曜日の芝1600mの1000万条件の勝ちタイムは1分33秒6。ハイペースだったこともあるが、早いタイムが出ている。おそらく天皇賞では1分58秒台の決着。基本的に2000mの持ちタイムのある馬が有利だが、内回りなので1800mの持ちタイムを考慮しておきたい。厳しいレースでの高速決着に対応できるかどうかというのがひとつのポイントになる。

次に展開だが、逃げるのは大方の予想通りゴーステディ。オールカマーで抑えて逃げて失敗しただけにある程度早いペースで逃げることになりそうだ。2番手以降はアラタマインディ、ブレイクタイムが続き、好位にテイエムオーシャン、イブキガバメント、中団にナリタトップロード、エイシンプレストン、シンボリクリスエス、ダンツフレーム、後方からエアシャカール、ツルマルボーイ、サンライズペガサスといった展開。今回は18頭の多頭数で中山の内回りコース。勝負どころでいい位置につけたい各ジョッキーは早めに動き出すのは間違いない。同じ内回りの2000mで行われる皐月賞や秋華賞のようなイメージになる。

今回の展開上のポイントは1番人気のテイエムオーシャンの出方だろう。今絶好調で陣営も自信を持っているし、休み明けの札幌記念を力で捻じ伏せたのだからその自信も当然。テイエムオーシャンのいいところはハイラップを刻んでも最後までバテないところ。ただあまりに早く動くと昨年のエリザベス女王杯のように差されることも考慮しないといけないが、今回は中山の内回りコースなら差されることはないというのが陣営の読みであり、作戦だろう。逆に上がりだけの競馬になると切れ味のある馬に負ける可能性があるので、いつも通りの競馬に徹するに違いない。

テイエムオーシャンがそういうレースをしたときに好走した馬はムーンライトタンゴ、ローズバド、トゥザヴィクトリーなど後方から一気に追い込むタイプ。今回もそういうパターンになるというのがここでの読み。テイエムオーシャンが早めに仕掛けてハイラップを刻むことで前に行く馬は苦しくなる。さらに武豊騎手のエアシャカールやツルマルボーイが大外を早めに捲くる競馬をしてくることから中団の馬も被せられないように早めに仕掛けないといけなくなる。そのため、全体的に厳しい流れになることは間違いない。

こんな展開では前に行った馬は、テイエムオーシャン以外はまず残れない。直線で抜け出したテイエムオーシャンに中団からの差し馬と後方から捲くってくる追い込み馬がどこまで迫れるかというレースになる。今の調子、中山2000mの適性、高速決着などを考慮して中団から差して来れそうなのは、ナリタトップロード、エイシンプレストン、シンボリクリスエス、ダンツフレームの4頭。後方からの馬では、らエアシャカール、ツルマルボーイ、サンライズペガサスの3頭が該当する。

もう少し絞り込むとまずダンツフレーム。宝塚記念では調教診断で10点をつけたように絶好調だったが、今回はまだそこまでいっていない。それでも基礎能力の高い馬で掲示板に載る可能性は高いが、最後の力勝負になる今回はそこで踏ん張れるかは疑問。皐月賞で2着したように中山2000mの厳しいレースのというのは合うが今回は押さえの評価。

あとはサンライズペガサス。大阪杯のときの末脚が使えれば勝つことも可能かもしれないが、どうも調教を見る限り、馬体のボリューム感が薄れてきているのが気になる。動き自体は悪くはないが、G1レースだけにもう少し勢いが欲しいところ。G1で好勝負できる器であることは間違いないが、今回は敢えて評価を下げたい。パドックを見てから判断したいところだが、現時点では押さえの評価にしておく。

もう1頭はシンボリクリスエス。神戸新聞杯は上手く馬群を割って抜け出してきたが、今回はレースの流れ自体が違うし、厳しい流れを追走して直線で馬群を割って伸びてくるというのがあまりイメージできない。全てが上手く行かないと連に絡むことは難しいだろう。急激に力をつけている時期だけに予想を越える激走もなくはないが、今回は押さえの評価。

さあ最終決断。本命はテイエムオーシャン。中山2000mで行われることで最も有利になるのはこの馬だろう。秋華賞を1分58秒5で勝ったように内回りコースの高速決着が最も合う。プラス38キロの馬体で出走した札幌記念のレースぶりを見たときのインパクトはこの夏以降では1番のもの。当時より上積みがある今回はまず負けることはないだろう。普通に騎乗すれば結果は出るはずだ。

対抗はツルマルボーイを抜擢する。京都大賞典で2着に敗れたことで株を下げたが、4コーナーでの不利がなければもっと際どかっただろう。中京記念、金鯱賞で外を一気に捲くる競馬で勝ってきたように距離2000mが最も切れる。テイエムオーシャンが前を潰す以上は追い込みのこの馬から入りたい。さらに今回はエアシャカールに武豊騎手が騎乗することで金鯱賞のようにマークする競馬ができるのも大きい。ハイペースでの切れ味勝負ならこのメンバーでも十分勝負になる。

準対抗はエアシャカール。大阪杯ではサンライズペガサスに0.4秒、金鯱賞ではツルマルボーイに0.2秒負けたが、当時は59キロを背負い2キロ差があったのは見逃せない。特に金鯱賞ではこの馬の持ち味である大外捲くりの競馬で結果を残せていることから力が衰えたということはないと判断したい。ただし気になるのは休み明け。タマモクロスが宝塚記念から直行して結果を出したが、1回使いたかったというのが陣営の本音だろう。一時期より馬体が細く見えるのが気にならなくもないが、今回は条件が揃っているだけに狙ってみたい。この馬を知り尽くした武豊騎手が力を出し切ってくれるだろう。

あとはエイシンプレストンとナリタトップロード。エイシンプレストンは仕掛けどころが難しいが上手く流れに乗って外に出せれば上位争いできる力は持っている。毎日王冠を使われて調子を上げているだけにまともなら際どい競馬ができるだろう。ただし、2000mの高速決着という点で少し割り引いた。ナリタトップロードはペースには対応できそうだが、厳しいレースでの瞬発力勝負というのが少し気になるところ。今の中山は馬場がいいので力を出せそうだが、その点で評価を下げた。ただし、流れが想定と違って緩くなるようだとこの馬の切れ味が生きる可能性はある。

今回は8頭に印をつけたが、現時点でこれ以上絞るのは危険と判断した。馬券はテイエムオーシャンからの馬連流しが基本になるが、ツルマルボーイからの馬券もオッズ的に少し押さえておきたい。パドック次第でテイエムオーシャンの単勝と馬単を買えるかどうかを判断することになるが、馬連でも十分配当が見込めるので無理に馬単を買うこともないだろう。馬単を買うにしても馬連との併用になる。

    ◎テイエムオーシャン
    ○ツルマルボーイ
    ▲エアシャカール
    △エイシンプレストン
    注ナリタトップロード
    注シンボリクリスエス
    注サンライズペガサス
    注ダンツフレーム


レース回顧

最低でも前半5F58秒台の流れと読んで予想したが、ゴーステディの逃げは5F59.3秒。前日の雨で多少内側が湿っていたとは言え、かなり緩い流れ。ゴーステディ陣営がオールカマーで学んだことは一体何だったのかと思いたくもなるが、このペースで行ってシンガリ負けを喫してしまうとはレース自体のレベルはラップ以上に高かったような気もする。勝ったシンボリクリスエスはスタートダッシュも決めたし、文句のつけられない好内容での勝利。菊花賞を捨ててこちらを選んだ陣営の英断に拍手を送りたい。

予想上の誤算は上がり勝負になってしまったこと。1〜4着馬の上がりはみな34秒台前半。こうなるとテイエムオーシャンは苦しい。本田騎手にはこの馬の持ち味を生かす攻めの騎乗をしてもらいたかったが、有馬記念に続きストレスの多いものになってしまった。女傑の地位を失いかけたテイエムオーシャン。ファインモーションとの牝馬頂上対決を実現させるためにも次走の巻き返しを期待したい。予想は展開を最重視しただけに1通りに留めたが、上がり勝負でオーシャンが負ける場合を想定しての馬券もオッズ的に押さえて良かったかもしれない。このあたりは今後の予想に生かしていきたい。

シンボリクリスエスは好スタートを切り、6、7番手につけるとコースロスのない内々で脚を溜め、直線でギリギリまで追い出しを我慢して追い出すと一気に馬群を割って抜け出して優勝した。岡部騎手が勝利騎手インタビューでもっと後ろからの競馬になると思っていたと話したようにスタートダッシュが決まって好位につけられたのが勝因のひとつだろう。中山2000mを攻略するお手本のような騎乗、それに鋭い末脚で応えたシンボリクリスエスと全ての歯車が噛み合った印象。ペースがそれほど早くならずに切れ味勝負になったのも良かった。

パドックでは多少チャカチャカしていたが、馬体の作りは古馬と比べても目立っていた。3歳馬は有馬記念で通用することが多いが、1月生まれのこの馬はちょうどこの時期がそれに当たっていたということもあるのだろう。シンボリクリスエスのいいところは530キロの大型馬にも関わらず、大型馬特有の重々しさがないところ。馬体のバランスが良く、走るときのストロークのブレがないため、前傾気味に走れるのが最大のセールスポイントだろう。山吹賞でその走法を見せたときから馬が一気に変わった。今後はジャパンC、有馬記念と王道を進むことになるだろうが、今回のような競馬ができれば当然上位争い必死だろう。

ナリタトップロードは後方を進み、直線で外に出して目一杯に追われると一歩一歩差を詰めて先に抜けだしたサンライズペガサスをゴール寸前で捕えて2着を確保した。1枠で終始内々を進んだため、動くに動けない状況だったが、4コーナー過ぎでスムーズに外に出した四位騎手の好騎乗が光った。最後伸びたのは、トップロード自身の底力と勝負根性が全く衰えていないことの証明だろう。年を取るたびに円熟味を増している。パドックではテイエムオペラオーがいなければ俺が1番とばかり堂々と周回していた。中山で結果を出せたことで次走はジャパンCだろう。距離が伸びることで有利にはなるが、芝の状態がポイントになりそうだ。

サンライズペガサスは外目の中団を進み、4コーナーで先団に取り付いて直線で一気に先頭に立ったが、最後は内からシンボリクリスエス、外からナリタトップロードにかわされて3着。積極的に勝ちに行っただけに陣営は仕方ないと納得しているようだが、競馬は結果が全て。勝ちに行く競馬という言葉を聞くたびに思うことだが、馬に力以上の走りを期待していたことはないのだろうか。もしかすると3着以下だったかもしれないが、もっと切れ味を生かす競馬がこの馬のベストパフォーマンスを発揮できるのならそうするべきだろう。

パドックで馬体を見た限りは前走より馬が伸び伸びとして周回し、馬体を大きく見せていたし、毛づやも予想以上に良くなっていた。今回の積極的な競馬で小差の3着に来れたのは能力の証明。能力はG1級なのは間違いなので、条件が揃えば再度G1で好走することは可能だろう。ただし、昨年の神戸新聞杯で負けたエアエミネムが復帰してくるだけにここで勝っておきたかったというのが陣営の本音だろう。怪物を退治するには、展開の助けと究極の切れ味が必要になる。

エアシャカールは後方を進み、直線では外に出さずに馬場の真ん中を割って追い込んだが、先に抜け出した馬に馬体を併せるところまで行かずに4着まで。皐月賞では大外捲くりで勝ったが、今回は上がりが早くなると察知した武豊騎手は外に出さなかった。それが功を奏してメンバー2位の34.2秒の末脚を使えただけに力は出し切ったと言っていいだろう。パドックで確認した感じでは春より馬体に張りが出てきて復調気配が感じられた。次走はジャパンCか香港かは分からないが、ひと叩きされた上積みを期待したい。

エイシンプレストンは中団を進んだが、4コーナーで手応えが悪く福永騎手の手綱が動きだし、直線でも伸び切れずに8着に敗れた。レースぶりからは距離が微妙に影響したような気もするが、2000mは今回がまだ2戦目。香港で2000mを勝っているだけにこなせないことはないが、2000mのキャリアというのが出たのかもしれない。次走は香港Cになるが、元来使われながら良くなるタイプなので連覇を期待したい。

ツルマルボーイはゲートを出た瞬間にシンボリクリスエスに寄られて後手を踏み、道中は後方2番手。直線で内に入れて馬群を割ろうとしたが、前が開かずにコース取りを探しているうちにゴールし11着に敗れた。パトロールビデオを見ないと分からないことだが、最後の直線でテンザンセイザが外に出すタイミングと同じだったため、その外に出そうと手綱を操作しているうちゴールしてしまった感じ。河内騎手が不完全燃焼というように全く力を出していない。まともな競馬なら上位争いできる馬なので非常に残念だ。パトロールビデオを見ていなければ、今回の惨敗を力負けと思える内容だけに次走はさらに人気が下がるだろう。格好の穴馬になる。

テイエムオーシャンは4番手を進み、4コーナーで外からブレイクタイムに来られると一緒に上がって行き最内に進路を取ったが、直線では全く伸びずに13着に惨敗。前半5Fが59.3秒のペースで直後にいたシンボリクリスエスに34.4秒で上がられては苦しくなるのは当然。さらに550キロの巨漢馬ブレイクタイムに馬場の湿った最内に押し込められる最悪のパターンに嵌ってしまった。本田騎手はこの日の中山で天皇賞が初めての騎乗。上位にきた騎手はそれまでに何度も芝コースを走っていたし、このレースでのコース取りを見れば明らかだが、最内を突くのはこの日は禁じ手。そのあたりを予想で考慮できなかった点は反省したい。

テイエムオーシャンのいいところはハイラップで行っても簡単にバテないところ。前半5F59.3秒の流れなら、もっと早めに仕掛けて行くのがこの馬の持ち味を最大限に引き出す方法だろう。それができなかったのは、ペースが分からなかったからなのか、直線での切れ味勝負に自信があったのかは分からない。有馬記念もそうだったが、馬の力を信じていないのではないかという騎乗が目立つ。マイナス20キロは札幌が太かっただけなので、パドックの馬体を見ても問題ないように思えた。能力のある牝馬が女傑になれない競馬。本田騎手を替えろとは言わないが、とにかく力で捻じ伏せる競馬をしてもらいたい。次走は当然ジャパンCだろう。



[Home]


スポンサーも訪れてください。