武蔵野S
2002/10/26 中山競馬場 ダ1800m


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データ分析

■GT前哨戦になり、レベルが急上昇
ジャパンCダートの前哨戦になったここ2年の連対馬は、NHKマイルC馬が2頭、次走GTで連対した馬が2頭とレベルが高い。位置づけが変わらない今年もこの傾向は続く。最低でも重賞勝ちかオープン特別勝ちが欲しい。

■今年は中山1800M。紛れによる波乱も
今年は中山で行われるが、同じ中山のマーチSが大荒れになっているように4つのコーナーのある中山ではどうしても紛れが多くなる。ハンデ戦のマーチSよりは荒れないにしても、今年に限っては波乱を考慮したい。

■芝とダートをこなす外国産馬に注目
ここ2年の連対馬4頭のうち3頭に芝重賞での好走経験があり、この3頭はともに外国産馬だった。外国産馬は芝とダートの両方をこなせるタイプが多い。芝重賞での好走経験しかない馬でも外国産馬なら注目したい。

■最近2年で3連対。関西馬が強い
関東で行われる平場戦でもそうだが、最近はとにかく関西馬が強い。このレースでもここ2年で関西馬が3頭が連対し、一昨年は3着まで独占と関東馬を圧倒している。軸にはある程度人気になった関西馬から選びたい。


コース分析

中山ダ1800mは、正面スタンド前からスタートしコーナーを4つ回る小回りコース。1コーナーまでの直線距離が長いためペースは上がりにくく、基本的に逃げ先行馬が有利。ただし、先行有利という騎手意識が過剰に働き先行争いが激化すると差し追い込みが面白いように決まるのがこのコースの特徴。

武蔵野Sの過去10年の連対馬の脚質は、逃げ1先行7差し7追込5と差し追い込み馬の活躍が目立っているが、今年は小回りの中山だけに傾向が変わる。4つのコーナーを回る中山はどうしても紛れが生じやすいため、有力差し馬がごちゃついて脚を余して負けるケースが目立っている。同じ中山1800mのマーチSもそうだが、穴なら前々に行って粘り込める馬が面白い。

中山ダートは今開催は砂厚8cm。従来は7cmだが1cm深くなったことで力のいる状態になり時計が掛かっている。実際、20日(日)は稍重で行われたが1000万下のカイトヒルウインドの勝ちタイムが1分54秒0、テレビ静岡賞ではマル地のケージームテキが勝つなどパワー型の馬に有利な馬場になっている。スピードのあるダート馬より持ちタイムは遅くてもパワー型の馬を重視したい。別定戦のためマーチSのように大荒れはなさそうだが、中山特有の紛れは考慮しておきたい。


レース展望

ジャパンCダートの前哨戦と言われてもいまひとつピンとこないメンバー構成。3歳のゴールドアリュールがG1−2連勝と勢いに乗っているだけにこのレースから対抗できる馬が出るのかどうかはやや疑問。ハギノハイグレイドが強い勝ち方をすれば対抗できそうな気もするが、ジャパンCダートの前哨戦というより、混戦のダートG3と考えて予想した方が良さそうだ。

これまでの実績と能力からはハギノハイグレイドが1番手だろう。ただ最近は追い込むレースをしているだけに堅い軸馬という感じはない。休み明けでも仕上がりは良さそうなので、あっさりもあるが、届かずに3着ということも考えておかないといけないだろう。

あとはほとんど能力が変わらないメンバーだけに展開次第のところがある。中山1800mならスマートボーイが気になるが、同型のロングカイソウがいるだけに単騎逃げを打てるかどうか。それならここにきて調子を上げてきたエアピエール、マイネルブライアン、ダブルハピネスを取り上げる手もある。人気になるかもしれないが、一発ならグラスエイコウオーだろう。調教の動きはパッとしないが、NHKマイルCで2着したように能力はある。


有力馬診断

■[7+]ハギノハイグレイド
実績的に評価しないといけない馬だが、最近は追い込む競馬が多く、中山1800mでは追い込んで届かないケースも考えられる。ただ今の中山のダートが力のいる状態なのは合いそうだ。雨が降っても対応できる強みもある。

■[7]エアピエール
53キロのマーチSで3着と重賞ではあと一歩足りないが、今回は調子がいいだけにチャンスはありそうだ。ただ平均的な脚しか使えないので、スムーズに流れに乗ることが条件。その点では外枠はいいが、コースロスを考えると少し微妙な気もする。

■[7]マイネルブライアン
ひと叩きされて調子を上げてきた。決め手はないが粘り強さはいいものを持っている。勝つにはよほど展開が向かないと苦しいが、しぶとく伸びて2着というイメージはある。中山1800mは脚質的に合っている。

■[7]スマートボーイ
仕上がりは良さそうだが、同型のロングカイソウの出方が気になるところ。単騎で行ければ強いが、競りかけられると一気にバテるので展開が大きく左右する。このメンバーで57キロは有利な気もするがやはり展開次第だろう。

■[7]ダブルハピネス
1800mも適距離の範囲だし、最近の好調ぶりからもここでも注意が必要。極端に時計が早くなると良くないが、今の中山ならそれもないだろう。ここにきて力をつけているので要注意。

■[7]ロングカイソウ
さくらんぼ賞で逃げて8馬身差で快勝。2着がスナークレイアースだったことを考えればここで通用しても不思議でない。ただ気になるのはスマートボーイの存在だろう。勢いで通用しそうな感じもあるがどうだろう。

■[7]グラスエイコウオー
調教は動かなかったが、NHKマイルC2着あるように底力はあるので注意が必要。前走にしても最後方を進み圏外に思えたが、そこから追い込んで2着した。昨年12月の師走Sで1分50秒3の好タイムで勝っているように中山コースの適性もある。一発ならこの馬だろう。


調教診断

■[7+/]エアピエール
南Wで単走で一杯に追われるとバネの利いたフットワークで最後まで集中した走りを見せた。脚捌きスムーズで重心が低くなってきたのは好印象。前走も良かったが、さらに調子を上げている。

■[7+/]マイネルブライアン
栗坂で単走で強めに追われて、しっかりした脚捌きで最後まで集中した走りを見せた。脚捌きに柔らかさが出て動きがスムーズになってきた。ひと叩きしての上積みが感じられる。

■[7+−]ハギノハイグレイド
栗坂で単走で一杯に追われて52.0秒とこの馬にしては早いタイムを出した。ラストは13.1秒掛かったが、動きに迫力があったし、これだけ追えるのは調子のいい証拠。元々太く見せる馬で今回も多少余裕のある作りに見えるが、それも許容範囲。久々でも好仕上がり。

■[7−]スマートボーイ
北Cで単走で一杯に追われるとラスト12.0秒の伸び脚を見せた。間隔は空いたがこの中間乗り込まれただけあって動きは良かった。絶好調時はもう少し迫力があるのでそこまではいっていないが、それでも好仕上がり。

■[7−]ビーマイナカヤマ
南Wで2頭併せで一杯に追われると鋭い反応を見せて先着した。馬が走る気になっているし、久々でも動きは良かった。馬体の張りも上々で仕上がりは良さそう。

■[6+−]ロングカイソウ
栗坂で単走で馬なり61.5の軽めの調教。脚捌きがスムーズだし、馬も落ち着いてスムーズな調教ができている。好調キープ。

■[6+−]ノムラリューオー
南Wで単走馬なり調教。馬なりのこともあり多少前脚の捌きが硬く見えたが、中央入り初戦で走り慣れていないウッドではこんなものかもしれない。馬体のバランスが良く、能力はありそうな馬。

■[6−]サンフォードシチー
栗坂で単走でラスト強めに追われたが、坂路を走っている馬が多く、少し軽めの内容になった。気配は悪くないが、特に変わってきた印象もない。

■[6−]グラスエイコウオー
南Wで2頭併せで一杯に追われたが、最後は少し遅れた。最近は調教で動かなくなりつつあるので、これでも問題ないような気もするが評価は難しいところ。

■[6−]マイネヴィータ
南Wで2頭併せで一杯に追われて先着した。少しズブくなってきた印象があるが、動きは悪くない。ただもう少し勢いが欲しいところ。

■[6−]オンワードセイント
南Wで単走で強めに追われて、スムーズな脚捌きを見せた。取り立てて強調できるところはないが、この馬なりに順調にきている。

■[6−]ナリタホマレ
栗坂で単走で一杯に追われてしぶとく伸びた。あまり強調できるところはないが、この馬としては仕上がりは悪くない。

確認できず
■キクノグリッター
■ジョウノブラボー
■ジェネスアリダー
■ダブルハピネス


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相馬眼予想

土曜日は雨が降りそうだが、問題なのは今の中山の馬場。ある程度雨が降っても脚抜きが良くならず、逆に時計がかかる感じさえある。中山のダートは通常7cmで行われるが、今開催は8cm。それが影響しているのだろうが、どこまで雨が降ると脚抜きが良くなるのか分からないから厄介だ。それほど大雨は降りそうにないので、ここでは力のいる馬場という想定で予想することにする。軽いダートが得意なスピードタイプより、重厚なダート馬の方を評価する方向で考えたい。

まず展開だが、逃げるのは前走逃げ切ったときと同じ1枠を引いたロングカイソウと単騎で逃げたいスマートボーイの2頭。どちらも自分のパターンに持ち込みたいので、そう簡単に譲ることはないだろう。間違いなくペースは早くなる。3番手以降はグラスエイコウオー、マイネルブライアンが続き、中団にエアピエール、ノムラリューオー、後方からハギノハイグレイド、ダブルハピネス、ジェネスアリダーといった展開。グラスエイコウオー、エアピエールが勝ちに行く競馬をするので前に行った馬は必ず最後バテるというのがここでの読み。力のいるダートをこなすパワーを持った差し馬が展開的に有利になる。前に行った馬が粘るところに差し馬が一気に来るといったイメージになる。

パワータイプの差し馬に該当するのは、ハギノハイグレイド、ジェネスアリダー、ノムラリュウオー、ダブルハピネスの4頭。ハギノハイグレイドはアンタレスSで1分48秒7で勝っているが、馬体を見ても分かるように力のいるダートもこなすタイプ。ジェネスアリダーは地方馬で実力が計りにくいところはあるが、東京ダービーで2着したように今年の3歳馬の中ではかなり上位の存在。同じことがノムラリューオーにも言える。中山が脚抜きのいい高速馬場ならここで取り上げられないが、今年の馬場なら勝負になると考えたい。ダブルハピネスは大外捲くりでいかにスムーズに進められるかがポイント。1度でもスピードが落ちると再加速には時間がかかる。

さあ最終決断。本命はハギノハイグレイド。追い込んで届かず3着もあるだけに堅い軸という感じではないが、総合的に判断した。ジャパンCダートを視野に入れているからにはここで不要な競馬はできないだろう。対抗はジェネスアリダーを抜擢。地方の重賞で厳しい競馬をしてきていることとこの馬の潜在能力を評価した。時計が早くなると辛いが今の中山ならこなせるはずだ。準対抗はノムラリューオー。この馬もパワー型で前に行く分終いは甘くなりそうだが、54キロが利いてきそうな気がする。押さえはダブルハピネス。捲くり切れるかの不安はあるが、今の勢いを評価したい。あとは調教動いたエアピエールとマイネルブライアン。

馬券はハギノハイグレイドからの馬連流しと上位4頭の馬連ボックスになるが、ジェネスアリダーとノムラリューオーの人気がそれほどないのである程度手広く買っても大丈夫だろう。展開や馬場状態で全く違う結果になりそうなので馬券的な妙味は薄いだけに小額で高配当を狙いたいところ。3連複で上位4頭、または5頭ボックスもオッズ的におもしろそうだ。

     ◎ハギノハイグレイド
     ○ジェネスアリダー
     ▲ノムラリューオー
     △ダブルハピネス
     注エアピエール
     注マイネルブライアン


レース回顧

今の中山の力のいるダートを考慮して有力馬診断では取り上げなかった地方馬2頭を2、3番手に抜擢したが、結果的にそれが失敗。ある程度早い脚を使えないと上位に来れないということを軽視し過ぎた。混戦模様で馬券はボックスにしたが、地方馬2頭がいなければ万馬券を的中できただけに惜しまれる。調教で2番手に評価したマイネルブライアンは10番人気で2着。調教診断としてはいいものが出せたが、予想に生かし切れなかったのはやはり残念だ。混戦のため、時間を掛けて検討したことでやや捻りが加わり過ぎたのが予想の敗因だろう。

ダブルハピネスはいつものように後方から徐々に進出して4コーナーでは5番手まで進出すると直線で先に抜け出したマイネルブライアンをきっちり捕えて優勝した。3走前のTQV杯でアイアンリアリティに7馬身差をつけて快勝したあたりから本格化気配が感じられたが、一気に重賞制覇となった。大飛びの馬で一度スピードに乗ると持続できるところがこの馬のいいところ。ただし、逆にスムーズな競馬ができないと惨敗するタイプ。今回は外枠、展開が向いたが感じが強いが、次走のジャパンCダートでどんな競馬を見せるか注目したい。調教は非常にズブく見えるが、それはいつものことなので覚えておきたい。

マイネルブライアンは好位を進み、直線で抜け出したが、最後はダブルハピネスに差されて半馬身差の惜しい2着。乱ペースで前崩れの展開だっただけに良く走っている。調教で脚捌きに柔らかさが出て良く見せていたが、10番人気での激走となった。最後の切れ味はないが、その分しぶとさを発揮するのがこの馬のいいところ。北村騎手がその持ち味を上手く引き出している。

グラスエイコウオーは最後方から追い込んで3着に食い込んだ。前に行くかと思ったが、陣営は脚質の幅を広げようと前走好走した追い込みの方を選んできた。休み明けでマイナス14キロと馬体が寂しく見えたが、それでも追い込んできたのは、絶対能力が高いからに他ならない。NHKマイルC2着の実績はダテではないということだろう。このひと叩きでどこまで変わってくるか注目したい。

ハギノハイグレイドは中団を進んだが、4コーナーでごちゃついてまともに追うことができずに6着に敗れた。馬体はプラス6キロだったが、仕上がりが悪くなかった。4コーナーでのごちゃつきがなければもっと上位に来れたと思うが、器用なタイプではないので小回りの中山が少し影響した感じもする。このひと叩きで良くなってきそうだが、ジャパンCダートは今回と同じ中山ダ1800m。多頭数だと馬群を捌き切れるかという不安は残る。



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