菊花賞
2002/10/20 京都競馬場 芝3000m


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データ分析

■人気馬堅実。1〜3番人気が7割占める
人気馬が堅実で1〜3番人気同士で決着したのが5回と堅い傾向。ただし、6番人気以下が6連対と人気薄の食い込みも目立つ。昨年以外は必ず連対している1〜3番人気を中心に人気薄を絡めた馬券作戦が有効。

■穴なら夏の条件戦勝ち馬が狙い目
6番人気以下で連対した馬は、前走3着以下に負けていたのが共通点。夏の条件戦での勝ち馬がトライアルで3着以下に敗れ、本番で巻き返すのが穴になるパターン。このパターンの馬がいれば穴馬として狙いたい。

■最近は上がり勝負。34秒台の切れ味必要
逃げ馬は2連対だが、1頭は皐月賞馬でこの年は内側がグリーンベルト、もう1頭は超スローでのもので基本的には軽視。中心は先行馬と差し馬。最近はスローの上がり勝負になるので切れる脚を持った馬を重視したい。

■全馬6着以内。大敗馬の巻き返しなし
連対全馬が6着以内で大敗馬の巻き返しがないのが特徴。前走が重賞だった馬は19頭でそのうち16頭が3着以内。4着以下に敗れた3頭は、2400M以上での連対経験があった。前走重賞で3着以下なら長距離実績が必要。


コース分析

京都芝3000mは3コーナー手間からスタートし、トラックを約1周半回るコース。スタートしてすぐに3コーナーがあるため、コースロスのない内枠の馬の方が有利と言われる。3コーナーの坂を2回駆け上がるタフなコースで、長距離を走るスタミナが要求される。最近の長距離戦はスローペースになる傾向が強いため、スタミナと切れ味を兼ね備えた馬が活躍する傾向が強い。

菊花賞の過去10年の連対馬の脚質は、逃げ2先行6差し9追込3。逃げ馬は2連対だが、1頭は皐月賞馬でこの年は内側がグリーンベルト。もう1頭は超スローでのもので基本的に逃げ馬は軽視したいところ。中心は先行馬と差し馬だが、スローの上がり勝負になる傾向が強いので切れる脚を持った馬を重視したい。

京都は今週もAコース。内側が若干荒れてきたが、全体的に良好な状態を保っており、それほど有利不利はなさそう。馬場がいいのでスローの上がり勝負になると後方からの馬では苦しくなる。ただし、ローエングリンの出走でスローペースにならないようなら最後は地力勝負。重賞で厳しいレースをしてきた実力馬が中心になる。ローエングリンの岡部騎手がどう騎乗するかがポイントになる。


レース展望

タニノギムレット引退、シンボリクリスエス天皇賞参戦でダービー1、2着馬が出走しない菊花賞。神戸新聞杯で力の違いを見せつけたシンボリクリスエスは長距離適性があるだけに出走してくれば本命をつけられる馬だが、出走してこなかった。今年のメンバーはやや小粒になった感は否めない。皐月賞馬ノーリーズンが武豊騎手ということもあり、断然の1番人気になっているが、そういう意味で押し出された人気馬という感じは少なからずある。

ノーリーズンは元々スピードの持続性に優れたタイプなので、究極の切れが求められる今の菊花賞には向かない。そこを天才武豊騎手が対処する訳だが、スローの上がり勝負では苦しいだろう。ただし、ノーリーズンの馬主はあと2頭出走させている。その1頭がシンデレラボーイ。早いペースで逃げてこその馬。今回もポイントはこのあたりだろう。陣営の目論みが上手くいけばノーリーズンが菊花賞馬になることも十分考えられる。

ただし、それを能力的に阻止する馬がいる。アドマイヤマックス、メガスターダム、アドマイアヤドン、ローエングリンの4頭。4頭ともに距離は問題ないが、それぞれの馬には持ち味がある。能力的にはアドマイヤマクッスが最上位だが、大外枠で菊花賞初騎乗になる後藤騎手と課題がない訳ではない。ノーリーズンを含めて5頭の順位づけをしっかりできれば馬券は獲れるだろう。

あとは菊花賞特有の複穴。上位が力勝負をすると2頭は来ても3着には思わぬ伏兵が飛び込んでくる。昔は複勝だったが、今は3連複がある。長距離適性のある馬の踏ん張りか、はたまた追い込み馬なのか、そのあたりを考えるのも菊花賞の楽しみのひとつ。マイネルアムンゼン、キーボランチ、ファストタテヤマあたりにその資格があるとみているがさてどうなるか。


有力馬診断

■[9]アドマイヤマックス
骨折明けのセントライト記念で2着し、一線級の能力を備えていることを証明した。セントライト記念でも調教は動いていたが、今回は馬体を大きく見せ威圧感が出てきたし、動き自体にも柔らかさが加わり大きな上積みが感じられる。距離が2000mならノーリーズンと互角の評価だが、距離が伸びれば融通性のあるこちらの方が上位。さらに菊花賞特有のスローの上がり勝負になっても切れ味で対応できるし、ペースが早くなっても差し脚が生かせれば何ら問題ない。最も栄冠に近いのはこの馬だが、問題なのは大外枠。京都3000mの外枠は5馬身は不利なので、好スタートを切って上手く内に入れて折り合えるかがポイントになる。後藤騎手が菊花賞初騎乗なのは気掛かりだが、関東の一流ジョッキー、十分対応できるだろう。

■[8+]メガスターダム
2000mのラジオたんぱ賞、2200mのプリンシパルSを勝ち、ダービーでもメンバー最先着の4着だが、父が短距離のニホンピロウイナーということで未だに距離不安と伝える人が後を絶たない。距離が伸びるにつれて頭角を現してきたメガスターダムに失礼だろう。折り合いがつくので距離3000mは全く問題ないし、他の馬より適性があるとみている。ただこれまで不利を多く被ってきたのが少し気になるところ。今回も多頭数でごちゃちゅくだけに不利がないことを祈るばかりだ。ダービーで最後に4着に突っ込んできたようにエンジンが掛かればアドマイヤマックスに次ぐ、切れ味を持っている。ここでも当然圏内だろう。

■[8+]ノーリーズン
骨折明けの神戸新聞杯でシンボリクリスエスに負けはしたが、2着して力のあるところを見せた。この中間はウッドを取り入れて動きが前走とは一変している。ダービーのときもデキは悪くはなかったが、それ以上を思わせる仕上がり。池江調教師渾身の仕上げとみていいだろう。ただし、この馬の本質は2000mくらいまで。最近の菊花賞に求められる究極の切れ味勝負になると掲示板に載るのが精一杯だろう。現時点でも古馬と対等にやれる能力を持った馬だが、今回は展開が大きなカギを握っている。

■[7+]ローエングリン
神戸新聞杯は逃げて見せ場なく14着に惨敗したのは気になるが、調教ではクビを使ったこの馬独特の走法を見せているし状態は良さそうだ。この馬を知り尽くした横山典騎手に騎乗して欲しかったが、岡部騎手なら不足はないだろう。調教でも既に見事なまでに乗りこなしている。前に行くだけに他馬に絡まれると苦しくなるが、単騎で逃げてセイウンスカイが勝ったときのような戦法が取れればチャンスはあるだろう。強いときはメチャメチャ強いが、負けるときはあっさり負けるのがこの馬の特徴。本命にはしにくいが、連下での狙い目は十分だろう。

■[7+]アドマイヤドン
最終調教でクビを使った走法を見せ、状態の悪かった春とは比較にならないほど良化している。一時期は馬体が堅くなり最優秀2歳馬もこれまでかと思ったが、柔らかさを取り戻し復調してきた。調子が悪かった春でも皐月賞0.8秒差7着、ダービー0.5秒差6着と善戦しているだけに能力的に通用していい。底力が問われる展開なら浮上するケースも考えておきたい。

■[7]バランスオブゲーム
弥生賞とセントライト記念の2つのGUを勝ち、メンバー最多の4勝を挙げている。セントライト記念はスローペースを好位で折り合って抜け出したように折り合いに進境を見せているが、GTとなると今の瞬発力では少し足りない気もする。調教で抜群の動きを見せたように仕上がりはいいので、全てが上手く行けば連に絡む可能性はある。

■[6+]マイネルアムンゼン
これまでずっと長距離戦線を使ってきたように本質的なステイヤーはこの馬だろう。この中間も好気配を見せており、仕上がりは良さそうだ。真っ向正面からの力勝負では苦しいが、スタミナが生きる流れになれば3着あたりに残る可能性はある。

■[6+]キーボランチ
全く人気はないが、春より成長しているし、この中間もこの馬なりに調子を上げている。京都2400mを勝っているにも関わらず、キンググローリアス産駒ということで距離に疑問符をつけられているが、適性はあるとみている。3連複のヒモで面白い存在。

■[6+]ファストタテヤマ
デイリー杯2歳S、京都新聞杯と京都の重賞を2つ制しているが、全く人気がない。父は菊花賞馬ダンスインザダークで切れる脚を受け継いでいるので切れ味が生きる展開なら浮上する可能性はある。最後の最後で突っ込んで3着。3連複のヒモとしての狙い目はある。


調教診断

■[9↑]アドマイヤマックス
栗坂で単走で強めに追われて、力強い脚捌きで最後までしっかり伸びた。馬体を大きく見せて威圧感が出てきたし、久々の前走より体に柔らかさが出てきたのが好印象。走る馬独特のものが感じられるし、現時点ではほぼ万全の仕上がり。

■[8+↑]メガスターダム
栗CWで2頭併せで一杯に追われると首を使った重心の低いフットワークで相手を突き放した。動きに躍動感が出てきたのが好印象で良く見せる。少し余裕があった前走より馬体が引き締まり、全体的に張りが増してきた。大一番を前にほぼ万全の仕上がり。

■[8+/]ノーリーズン
栗CWで2頭併せで一杯に追われて、79.9−37.2−12.1秒の好タイムをマークした。先週より動きが軽くなった印象で良く見せる。最後までバテずに抜け出すこの馬の真骨頂を見せていたし、かなり上向いている。馬体にも張りが出たし、ダービーのときより仕上がりは良さそうだ。

■[8/]バランスオブゲーム
南Wで3頭併せで強めに追われて、最内から鋭く伸びて先着した。追いかけて内からかわすいつも通りの内容だが、久々の前走より動きに鋭さが出てきたのは好印象。調子のブレの少ないタイプだが、馬体の張りも上々でほぼ万全の仕上がり。

■[7+/]ローエングリン
南Wでタイキブライドルと併せて馬なりのまま楽々と先着した。クビを使ったこの馬独特のフットワークで今回はリズム良く走れている。春はもう少しガツンと行く感じがあったが、その分、調子が戻り切っていないのか、馬がセーブすることを覚えたのかは判断が難しいところ。ただし、前走より仕上がりがいいのは明らか。絶好調までいかないが、力を出せる仕上がりと判断したい。

■[7/]アドマイヤドン
栗坂で単走で一杯に追われて、首を使ったしなやかのフットワークでラスト24.8−12.3秒で登坂した。一週前調教はイマイチだったが、今回はストロークが柔らかくなり、かなり良く見せている。クビを下げて気合が乗っているのもいい。まだ良くなる余地はあるが、現時点ではまずまずの仕上がり。

■[7−]ナムラサンクス
栗CWで単走で強めに追われて、伸びやかなフットワークで最後までしっかり伸びた。前脚のでもスムーズで力強さもあり、好状態をキープしている。調子のブレがなくなってきたのは馬が充実してきた証拠だろう。前走同様、いい状態で出走できそうだ。

■[7/]マイネルアムンゼン
南Wでバランスオブゲーム、ホッカイローツェと併せて強めに追われると重心の低いフットワークで最後までしぶとく伸びた。前脚の捌きもスムーズだし、前走よりさらに動きが素軽くなってきた印象。前走も良かっただけに大きな上積みはないが、この馬なりに調子を上げている。

■[7/]レニングラード
栗坂で2頭併せで一杯に追われて、最後までしぶとく伸びて併入した。元々脚捌きに硬さのある馬だが、今回は前走より少し硬さが解消されてきた印象。前走も仕上がっていただけに大きな上積みはないが、若干調子を上げている。

■[7−]ヤマノブリザード
南芝でハッピールックと併せて馬なりのまま先着した。しなやかな脚捌きでクビを使った柔らかい走法で前走のデキをがっちりキープしている。欲を言えば、もう少し気合乗りが欲しいところ。

■[6+/]キーボランチ
栗坂で2頭併せで一杯に追われると最後は一杯になったがしぶとく食い下がった。あまり見栄えのするタイプではないが、前走より動きに力強さが出てきた。馬体も春よりパワーアップしているし、この馬なりに調子を上げている。

■[6+/]ファストタテヤマ
栗坂で単走でラスト目一杯に追われて、最後までしぶとく伸びた。札幌以来となるが、しっかり乗り込まれて仕上がりはまずまず。春より馬体がしっかりしてきている。

■[6+−]バンブーユベントス
栗CWで単走で強めに追われるとまっすぐに伸びてラスト12.3秒の切れ味を見せた。直線に入ってからラチの方を向きながら走っていたが、手前を替えてからはまじめに走った。体には少し余裕がある感じだが、元々フックラ見せるタイプなのでこれくらいでいいだろう。走りに遊びがある分だけ長距離はいいかもしれない。

■[6+−]シンデレラボーイ
栗DWで2頭併せで一杯に追われると最後までしぶとく伸びて相手を突き放した。この馬の持ち味であるしぶとさが見られたし、状態は良さそう。まだ荒削りだが、能力は高そうな馬。前走から大きな上積みはないが、前走のデキをがっちりキープしている。

■[6/]ダイタクフラッグ
栗DWで2頭併せで目一杯に追われると首を使って中々のフットワークで先着した。脚捌きに柔らかさが出てきたし、馬が走りに前向きなのは好印象。パワータイプでパンパンの良馬場はどうかと思うが、この馬なりに調子を上げている。

■[6−]ダンツシェイク
栗DWでダンツフレームと併せて一杯に追われて最後までしぶとく伸びて併入した。6F80.6秒は早かったが、動きはそれほど迫力がなかった。この馬なりに順調にきているが、大きな上積みはなさそう。

■[6−]タイガーカフェ
南Wでメジャーカフェと併せて馬なりのまま併入した。減っていた馬体はだいぶ戻ってきたが、まだ全体的な張りが不足している。春はビシビシ追って鍛え上げて結果を出しただけに軽めの調教は少し気になるところ。

■[6−]ヒシミラクル
栗坂で単走で強めに追われるとまっすぐに伸びたが、少し迫力に欠ける印象。落ち着いて走れているのはいいが、もう少し伸びやかさが欲しいところ。


相馬眼予想

気になるのは空模様。日曜日は降ったり止んだりの天気のようだが、大雨は降らなそうなので馬場は渋っても稍重程度か。当日の馬場を見てみないことには何とも言えないところはあるが、ここでは少し時計のかかるイメージで予想してみたい。今の京都は馬場がいいので、雨が降っても一気に悪化することはないが、渋ることで後方一気の馬は苦しくなる。基本的にある程度前に行ける馬が有利になるが、それもペース次第、ここでは明言できない。想定より馬場が渋るようだと重馬場をそれほど苦にしないローエングリン、シンデレラボーイの前残りも気になるがどうだろう。人気のノーリーズン、アドマイヤマックスはある程度渋っても対応できるだろう。

次に展開だが、逃げ馬はローエングリン、シンデレラボーイ、ダイタクフラッグの3頭。これに逃げ宣言のバンブーユベントスが加わるが、逃げるのはスピードの違いでローエングリンだろう。岡部騎手でスローに落とすことも考えられるが、スローの上がり勝負ではこの馬の持ち味が出ないのでセイウンスカイが勝ったときのような2段ロケットが理想だろう。現に宝塚記念はそれで3着に粘っている。ただし、気になるのはシンデレラボーイの存在。神戸新聞杯でもイレ込んだように今回はスタンド前の歓声で掛からないとも限らない。メンコを2枚つけて対策するようだが、それ以前にイレ込んで入れば、ローエングリンに絡んでいく可能性は否定できない。

さらにシンデレラボーイの馬主はノーリーズンと同じ馬主。ペースを上げればスローの上がり勝負では苦しいノーリーズンのアシストにもなるし、シンデレラボーイ自身が早いペースで行ってこその馬。ローエングリンの作戦を見抜いていれば、当然絡んでいく。ダイタクフラッグとバンブーユベントスも無理に抑えることはないので、2頭をそれなりに追いかけるとするとその後を続く馬を含めて、全体的に流れは早くなる。最近の菊花賞はスローの上がり勝負になるが、今年はそうはならないというのがここでの読み。縦長の隊列になるので各馬3コーナーから早めに仕掛けることになる。一瞬の切れより、どれだけいい脚を長く使えるかというのが今年のポイントだ。

こんな展開で前に行った馬は基本的に苦しいが、追いかける馬もスタミナと能力のない馬では通用しない。シンデレラボーイは父タマモクロスで血統的にはいいが、現時点での完成度では粘り込むのは難しいだろう。ローエングリンにしても自分のスタイルに持ち込めない限り苦しいのは明らか。ただし、この馬の底力は予想を超える可能性もあるので押さえは必要だろう。今の調子と長距離適性を加味して、前に行って粘れそうなのは、ローエングリンとバランスオブゲームの2頭。あとは差し馬だが、アドマイヤマックス、メガスターダム、ノーリーズン、アドマイヤドンの4頭が該当する。

さあ最終決断。本命はアドマイヤマックス。大外枠で菊花賞初騎乗の後藤騎手がどう乗りこなすかがポイントになるが、有力馬に騎乗する以上、菊花賞の研究は万全だろう。ペースが早くなるので位置取りは後ろでも長くいい脚を使えるこの馬の持ち味を生かせれば結果はついてくるはずだ。距離適性でノーリーズンに勝っているし、普通の競馬ができれば負けられないところ。対抗はメガスターダム。今の状態の良さと距離適性を評価した。山本調教師と松永騎手が強気な姿勢を崩さない裏には相当の自信があることの証明。エンジンが掛かったときの末脚はダービーで証明しているのだから当然だろう。アドマイヤマックスが外々を回るロスのある競馬をするようだと勝つのはこの馬になる。

準対抗はノーリーズン。ペースは向くし、いい脚を長く使ってしぶとく粘り込むのは間違いないが、本質的に2000mがベストの馬。内々でロスなく進め、早めにスパートして長くいい脚を使うこの馬の持ち味を武豊騎手がフルに引き出すが、それでも上位2頭には敵わないと判断した。ただし、アドマイヤマックスがロスのある競馬、メガスターダムが道中で不利を受けるようなことがあるとレース巧者のこの馬が2冠を達成する可能性はある。あとは逃げるローエングリン、クラシック最終戦でやっと調子が戻ってきたアドマイヤドン、展開が想定と違ってスローの上がり勝負になった場合に浮上するバランスオブゲームの順。

馬券はアドマイヤマックスからの馬連流しだが、オッズ的にメガスターダムからの流し馬券も押さえておきたい。上位4頭はボックスで買うイメージが懸命かもしれない。勝負は馬連だが、3連複も少々買いたい。マイネルアムンゼン、キーボランチ、ファストタテヤマの3頭を上手く絡めての高配当狙いが妙味だろう。クラシック最終戦。とにかく各馬に不利がなく、見どころのある一戦を期待したい。

    ◎アドマイヤマックス
    ○メガスターダム
    ▲ノーリーズン
    △ローエングリン
    注アドマイヤドン
    注バランスオブゲーム


レース回顧

ノーリーズンがスタート直後に躓いて武豊騎手が落馬。有馬記念のメリーナイスを思い出したが、それにしても呆気ない幕切れ。ノーリーズンに引きずられるようにして武豊騎手が転がったのを見て心配したが、再騎乗しようとして手綱を放さなかったということを後から聞いてあらためて武豊騎手のスピリットを垣間見た気がした。

この日の武豊騎手は10Rまで9回騎乗し[5・4・0・0]とパーフェクト連対。大一番の菊花賞でこんなことが待ち受けているとは一体誰が考えただろうか。それにしても、パドックでは万全の仕上がりに見えたノーリーズンが、ゲート入りしてから煩くなったのはなぜなのだろう。雨が降っていたことが影響したのかどうか。とにかく人馬ともに無事なので、このコンビでの復活を期待したい。ノーリンズンは古馬とも対等にやれるレベルに達しているので出走してくれば狙ってみたい。今年のジャパンCは中山2200m。鳴尾記念に向かうより攻めて使って欲しい。

ヒシミラクルは後方でじっくり脚を溜めて3コーナーから大外を一気に上がっていくと先に抜け出したメガスターダムを競り落とし、外から追い込んできたファストタテヤマをハナ差振り切って1着でゴールした。調教の動きはこれといって強調できるところはなかったが、前半5F58.3秒と雨で渋った馬場でスタミナ勝負になったことが良かったのだろう。神戸新聞杯でも追い込んでメンバー3位の35.7秒、スローの切れ味勝負にならない展開など狙える要素はあったが京都新聞杯組を上位に見てしまったのが失敗。上位に来た3頭はそれぞれ16戦、11戦、14戦とキャリアがあった馬。消耗戦ならキャリアのある馬、今後のためにもしっかり覚えておきたい。

ファストタテヤマは後方を進み直線勝負に徹すて大外から一歩一歩差を詰めたが惜しくもハナ差届かず2着。展開が嵌ったのは確かだが、メンバー最速の上がり34.8秒は評価しないといけないだろう。デイリー杯2歳S、京都新聞杯のGUを2勝しているように京都コース巧者。展開に注文はつくが、前崩れの展開なら取り上げていきたい。

メガスターダムは中団を進み徐々に進出して4コーナーで先頭に立つ横綱相撲の競馬をしたが、直線の最後の最後で力尽きて3着。最も強い競馬をしたのがこの馬で距離に問題がないことを示した。最後に止まったことを距離が影響したというのはナンセンスだろう。飛びが大きいので雨が降って滑りやすくなった馬場はマイナスだったが、本当に良く走っている。今回のように早い流れでもプリンシパルSのようなスローの上がり勝負でも対応できるのは今後に向けて大きい。今後も注目したい。

アドマイヤドンは中団を進み4コーナーで先頭集団に取りついたが勝負どころでゴチャついた分伸び切れずに4着まで。調教でも復調気配を見せていたように今回はレース内容が良かった。ごちゃついたのは残念だが、今後に向けて目処が立ったのも確かだろう。走りに柔らかさが出てきているし、さらに良化が見込めそうな次走は狙い目十分。

バランスオブゲームは好位を進んで4コーナーでは馬群に包まれてやや位置取りを下げたが直線で伸びて5着を確保した。勝負どころで一気に行っても良かったが、外から一気に来られたため仕方ないところ。距離3000m、直前の雨と条件は厳しかったが5着なら上々か。適距離に戻れば古馬とでも対等にやれるが、もうワンパンチ欲しい気もする。

アドマイヤマックスは中団のやや後ろを進み4コーナーで外目を上がって行ったが直線では全く伸びずに11着に敗れた。外々を回ったこともあるが直線では後藤騎手が追えないくらい馬がバテていたところを見ると距離なのかもしれない。パドックでも馬体の張り、雰囲気は良く見えたが、スタミナ勝負になり過ぎたのが堪えた印象。長距離でもこなせないことはないと思うが、この結果を見るとスローの上がり勝負という条件がつく。次走は分からないが、こういうパターンで巻き返すことが多い鳴尾記念に出走してくるようなら頭から狙いたい。

ローエングリンは前半5F58.3秒で逃げて3コーナー過ぎで後ろからの馬にかわされた時点で競馬が終り16着に惨敗した。過去10年でセイウンスカイが逃げたときの前半5F59.6秒が2位で今回の58.3秒が最速。ダイタクフラッグに絡まれたにしてもあまりに早過ぎだろう。中盤で13秒台のラップを5回刻んだが、そこで息が吹き返すことはなかった。折り合いに進境を見せないと苦しいが、能力はトップレベルのものがあるのでまともなら巻き返してくるだろう。ただ春より少し迫力を欠いている感じがするので、そのイメージを払拭して欲しいところ。



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