富士S
2002/10/19 中山競馬場 芝1600m


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データ分析

■レベルが上がり、重賞連対馬が活躍
前走着順は不問だったが、マイルCSの前哨戦になりレベルが上がったことで変化があった。ここ2年の連対馬4頭は、休み明けの1頭を除き3頭が重賞で連対している。前走重賞連対馬にアドバンテージを与えたい。

■配当的妙味ある高齢馬の活躍目立つ
年齢別では6歳以上の高齢馬が計7連対と活躍している。6歳以上の連対馬の人気は7、2、3、10、6、6、3番人気とそれほど人気にならないので配当的な妙味も十分。人気の盲点になる高齢馬に注目したい。

■関東馬強い。人気の関西馬は要注意
東西別では東13連対、西7連対と関東馬が優勢。距離変更後2年でも東3連対、西1連対と関東馬が活躍。関西の有力馬はスワンSに回るのが理由の一つだが、関西馬が人気になって惨敗するケースが目立つので注意したい。


コース分析

中山芝1600mは1、2コーナー間のポケット地点からスタートする外回りコース。スタートしてすぐに2コーナーに向かうため、外枠の逃げ先行馬はコースロスが大きいのでやや割引。10頭前後ならまだいいが、多頭数になればロスが大きくなる。逃げ先行馬なら内枠の馬を狙うのが基本になる。外回りコースでカーブが緩やかなため、ペースが早くなる傾向が強い。ハイペースになると直線の急坂で一気に体勢が逆転することが多い。

富士Sの過去10年の連対馬の脚質は、逃げ3先行8差し4追込5。今年は中山コースで馬場が非常にいいだけに後方一気の馬ではよほどペースが上がらない限りは苦しい。逃げ馬はマークがきつくなるので基本的に先行馬が有利。先行して一瞬の切れ味を発揮できる馬が狙い目になる。

中山は今週はBコース。馬場はいいのであまり仮柵の効果はないが、コーナーがゆったりする分、さらに前残りが加速しそう。まずは土曜日の競馬をチェックして傾向を掴みたい。先週は芝を10cmに刈り込んだが、今週はどうなのかそのあたりにも注意したい。


レース展望

NHKマイルCを勝ったテレグノシス、安田記念4着のグラスワールドが実績的には上位だが、2頭ともに休み明けだけにそれほど信頼できない。14日の月曜日にこの2頭で併せ馬を行ったようだが、動きを確認できなかった。時計的には十分動いているが、実際の動きを見ていないだけに何とも言えないところがある。2頭とも高速決着に不安はないがどうだろう。

中山は馬場が良く高速決着に対応できないと勝負にならない。マイルで流れが早くなるので差し馬でも狙い目があるが、信頼度の高いのは先行抜け出しタイプだろう。そういった面を加味するとトレジャーが期待できそうだ。ダービー卿CTで1分32秒4でグラスワールドとクビ差。当時とは斤量関係が逆転していることも有利に働く。

あとは高速決着向くメイショウラムセスあたりだが、重賞だとまだ少しパンチ不足の感じもあるだけにどうか。3歳馬のダンツジャッジは54キロでテレグノシスとは3キロ差。ベストは1400mの気はするが、中山の今の軽い馬場ならこなせそうな気もする。あとは調子のいいトウカイポイントだが、58キロと久々のマイルでどこまでやれるか。難解な一戦でオッズは割れそうなのである程度手広く流すイメージでいた方が良さそうだ。


有力馬診断

■[7+]トレジャー
休み明けをひと叩きされて調子を上げてきた。今の中山の馬場は先行抜け出しのこの馬には合う。休み明けのダービー卿CTで1分32秒4の高速決着に対応できているし、今回はそのとき負けたグラスワールドより1キロ軽いのもプッシュ材料。この馬で絶対堅いというレベルではないが、実績馬2頭が休み明けならこの馬から入る手は十分考えられる。

■[7]テレグノシス
馬体が細いくらいに仕上がっているのは気になるが、14日に南Wで強めに追って62.2秒の好タイムを出しているので体調が悪い訳ではないようだ。NHKマイルCの勝ち馬で中山でもスプリングSでタニノギムレットとクビ差の勝負を演じているだけにここでは能力上位だが、やはり久々が気になるだけに軸には推しずらいところ。

■[7]グラスワールド
ダービー卿CTで高速決着に対応できているし、脚質的にも今の中山は合う。ただし、今回はこれまで結果を残せていない休み明けだけに割引きは必要だろう。ダービー卿CTより斤量が5キロ増えるのは馬格があるのでそれほど気にしなくていい。安田記念ではパドックでイレ込み、馬場入場後に暴れて鞍をつけ直しただけに直前気配には十分注意を払いたい。

■[7]ダンツジャッジ
体型的にベストは1400mだろうが、今の中山の高速馬場ならこなせそうな気もする。休み明けだが、この馬は中間ビシビシ乗り込まれているので仕上がりは良さそう。テレグノシスと3キロ差で鞍上が後藤騎手なら狙い目はありそうだ。

■[7]トウカイポイント
とにかくこの中間の状態の良さが目立つが、99年11月以来、久々のマイル戦だけに対応できるかどうか。中山記念で1分45秒3の好タイムで勝っているようにスピードがあるので流れにさえ乗れれば上位来れる可能性はある。流れが早い方が折り合いはつくのでその点ではいいかもしれない。ただ58キロはマイナス材料。

■[7]メイショウラムセス
馬場のいい状態でのマイル戦が最も力を発揮するということが徐々に分かってきたが、前走でも最後に差されたように重賞ではもうワンパンチ足りない気もする。ただし今回は実績馬が休み明けだけに使われている強みはある。

■[6+]トッププロテクター
京成杯AHで最後方から追い込んで3着した脚は見どころがあった。高速決着に対応できたが、それも新潟での話。中山で高速決着になると追い込んで届かないケースも十分考えられる。

■[6]ミデオンビット
前に行くこの馬の脚質は今の中山に合うが、今回は同じ逃げ馬のエイシンコジーンの存在が気になるところ。さらに有利とは言えない大外枠もマイナスだろう。新潟ではこの馬のパワーが生きたが、芝を刈った中山では高速決着に対応できるかどうかも不安。

■[6]シンコウスプレンダ
古い話だが、98年の京成杯AHの勝ち馬でそのときのタイムが1分32秒7。高速決着に対応できる下地はあるが、今回は約1年ぶりの芝戦だけに前半ついて行けるかどうか。今年は怪我で休んだ騎手がいきなり重賞を勝つことが多い(岡部騎手、武豊騎手)だけに今週から復帰する横山典騎手は気になるがどうだろう。印は回らないかもしれないが、人気がないだけに少しは押さえたい気がする。


調教診断

■[7+/]トウカイポイント
南Wで単走で一杯に追われると伸びやかなフットワークで最後まできっちり伸びた。あまり見栄えのする馬ではないが、今回は馬体がフックラして毛づやも良く見せている。馬も気分良く走れているのもいいし、雰囲気はここ数戦では1番だろう。好仕上がり。

■[7/]トレジャー
南Wで3頭併せの大外を進み、馬なりのまま併入した。馬体を大きく見せ、伸びやかさが出てきたのが好印象。だいぶ馬体が引き締まってきたし、ひと叩きした上積みが感じられる。気合乗り、全体的な気配も良くなってきた。

■[7−]ダンツジャッジ
栗坂で単走で目一杯に追われて、ラスト23.9−12.0秒と早いタイムを出した。調教駆けする馬だが、力強いフットワークでまっすぐに伸びたところは評価したい。久々だが、乗り込まれているので仕上がりは良さそう。

■[7−]メイショウラムセス
栗CWで単走馬なり調教。いつも通りクビを上下して気合の乗った走りを見せた。硬く見せると良くないが、伸びやかさは失われていない。前走同様、好状態をキープしている。

■[7/]トッププロテクター
栗CWでサンヴァレーと併せて一杯に追われると最後までしぶとく伸びて先着した。前走より馬体が引き締まってきたし、馬も走りに前向きになっている。使われているが、前走より若干調子を上げている。

■[7−]ミデオンビット
南Dでトラストファイヤーと併せて一杯に追われるとややズブい感じはあったが、しぶとく食い下がった。相手に動きは見劣ったが、この馬なりに動いている。前走から大きく変わった感じはないが、いい意味で平行線。

■[6+/]エイシンコジーン
栗坂で単走で強めに追われて、51.9−24.7−12.4秒の好タイムをマークした。前脚の捌きもスムーズで力みなく走れているのはいい傾向。ひと叩きされて、この馬なりに調子を上げている。

■[6+−]シンコウスプレンダ
南Wで2頭併せで一杯に追われると鋭く伸びたが、最後は自ら走るのを止めていた。気難しいところのある馬だが、動きは悪くない。だいぶ馬体がズブくなってきた印象はあるが、仕上がりはまずまず。

■[6+−]グラスワールド
南Wでキャンター。追い切りを見れなかったので、これだけでは判断はつきにくいが、馬体は太め感なく、仕上がっている。ただし、春より馬体の張りはひと息の印象。

■[6+−]テレグノシス
南Wでキャンター。追い切りは見れなかったが、馬体は細いくらいに仕上がっている。春より背が伸びたこともあるが、秋初戦としては仕上がり過ぎた感じ。春は馬体をフックラ見せていただけに少し気になるところ。

■[6+−]タイキブライドル
南Wでローエングリンと併せて一杯に追われたが、馬なりの相手に遅れた。相手が走るので遅れは気にしなくていいが、ラスト13.1秒というのは少々不満。前走からの上積みはあまり感じられない。

■[6−]キングザファクト
栗坂で単走で一杯に追われるとしぶとく伸びたが、まだ馬体に少し余裕が感じられる。ひと叩きされてからか。

確認できず
■クラフトマンシップ
■ザカリヤ
■タマルファイター


相馬眼予想

まず中山の馬場だが、全般的に良好な状態。今週からBコースになるが、先週までとそれほど変わらないと考えて良さそうだ。基本的に今の中山は前に行った馬が有利だが、外回りの1600mだとペースが上がるのでその分、差し馬でも届く。内回りの1800mとは全く違うのでそのあたりは心しておきたい。今週も芝は10cmなので軽い馬場で高速決着になりそうだ。高速決着に対応できる馬というのが条件になる。

次に展開だが、逃げるのはエイシンコジーン。ミデオンビットも逃げたいが、大外枠でコースロスがあるので無理には行くことはないだろう。エイシンコジーンが逃げればスローにはならない。前走のポートアイランドSの前半3Fが34.4秒、5F通過が57.8秒だったが、それで際どく粘れていることからも同じようなペースだろう。全体的に11秒台の平均ペースで進むのでレースの上がりは極端に早くなることはなさそうだ。

レースの後半3Fが35.5秒とすると先行馬は35.0秒、差し馬は34.5秒というのがひとつの目安になる。高速決着に対応できて早い上がりで使える馬というのが条件になる。今の調子と中山コースの適性を加味して先行して抜け出せそうなのは、トレジャー、グラスワールドの2頭。差し馬はトウカイポイント、テレグノシス、メイショウラムセス、ダンツジャッジの4頭が該当する。トッププロテクターは高速決着での早い上がりというのがイメージできないため、ここでは買えても押さえの評価に止めたい。

さあ最終決断。本命はトレジャー。ひと叩きされた上積み、中山コースの適性、高速決着への対応力を評価した。スムーズに好位につけて直線で早めに抜け出して粘り込むことになるが、切れ味のある馬に差される可能性もあるので、ここでは連軸として期待したい。対抗はトウカイポイント。札幌記念で2着した内容もいいし、ペースが上がると折り合いがつくのでマイルでもやれそう。多頭数の内枠で上手く外に出せるかがポイントになるが、今の調子の良さに賭けてみたい。

準対抗はテレグノシス。本来ならこの馬が本命だが、どうも細く見えるので少し評価を下げたみた。ただし、NHKマイルCの前も調教ではひどい状況だったが、パドックではやる気を見せていたように実戦タイプなのでこれ以上評価は下げられない。パドックで良く見せるようなら評価を上げたい気もする。あとは仕上がり具合が気になるが条件は揃っているグラスワールド、パンパンの良馬場での切れ味勝負が合うメイショウラムセス、久々を感じさせない動きを見せたダンツジャッジの順。人気は割れそうなので馬券は手広く買ってみたい。

    ◎トレジャー
    ○トウカイポイント
    ▲テレグノシス
    △グラスワールド
    注メイショウラムセス
    注ダンツジャッジ


レース回顧

メイショウラムセスは中団を進み直線に向くとメンバー最速の33.8秒の上がりで粘るミドオンビットをかわしてそのまま押し切った。ラムタラ産駒の平地重賞初勝利となったが、ラムタラ産駒でも軽いスピードが持ち味の馬。今の中山の馬場も合っていたし、この馬が走ったというより他の馬が走らな過ぎた印象の方が強い。ただし、ブリンカーをつけてからはまじめに走るようになってきており、まだ上積みが見込めるのはいい。次走はマイルCSになるが、馬場が荒れると良くないのでそのあたりがポイントだろう。今年のメンバーなら何とかなりそうな気もするがどうだろう。

ミデオンビットは2番手を進むと直線でもしぶとく粘って2着を確保した。こちらはメイショウラムセスとは違って重厚な馬だが、関屋記念、京成杯AHで2着したように軽い馬場もこなせるタイプ。ただどちらかというとパワー型なので中山1週目の15cmの芝なら狙えたが、この極軽馬場でも2着したのには驚いた。ロスのある外枠からのスタートで好走したのは地力強化の証明だろう。田中勝騎手も夏に引き続き、好騎乗が目立つ。

グラスワールドは積極的に4番手と前につけ直線でしぶとく伸びたが前を捕えられずに3着まで。パドックでは馬体の張りがイマイチでどうかと思ったが、レースではまずまず走った。あの状態でこれだけ走れれば陣営も満足だろう。元々叩き良化型なので、次走は確実に調子を上げてくるはず。6歳馬だが、馬の精神面も途切れていないので、まだやれそうだ。

テレグノシスはグラスワールドとほぼ同じ位置を進んだが、直線の追い比べで遅れて4着まで。馬体はダービーのときより4キロ増えていたが、腹回りが細く、トモの張りもいい時と比べるとひと息に見えた。春から馬体の成長が感じられないが、休み明けで初の古馬相手でトップと0.4秒差なら上々か。次走はマイルCSだが、ひと叩きされて上積みがどこまであるかがポイントになる。

トウカイポイントは内々の10番手から徐々に進出したが、直線で前が詰り完全に脚を余して5着まで。道中の手応え、追われてからの反応を見ると前が開けていれば勝ち馬と際どかったと思うが、内枠が災いした印象。ただし、ラスト100mは蛯名騎手が全く追っていなかったのはどうなのだろう。勝てなくても最後まで諦めずに追って欲しいが、次走に繋げるために仕方ないのか。個人的には勝負どころで馬に楽を覚えさせることの方が良くない気もするがどうなのだろう。

ダンツジャッジは積極的に前に行き4番手を進んだが、直線では伸び切れずに6着に敗れた。今回は休み明けで息が持たなかったが、道中の行きっぷり、馬体の迫力などを見るとこのメンバーでも十分通用しそうだ。ダンツフレームと似たタイプで走る馬のそれを持っている。今後走ってくるだろう。ただ距離は現時点では1400mがベストかもしれない。

トレジャーは前半は好位置を進んだが徐々に後退すると直線でも伸びを欠いて8着まで。馬体が絞れてパドックでも良く見せていたが、レースでは精彩を欠いた。ボールドブライアンもそうだが、調教で乗り慣れた岡部騎手が騎乗するとどうも馬が甘えているような気がする。状態は悪くないので、次走は豪腕騎手を乗せてみるのも一考か。安田記念で0.7秒差の4着したように能力はあるのでまだ見限れない。


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