アイルランドT
レース回顧
ラヴァンダは8枠15番から中団の外を進み、メンバー3位の32.4秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分45秒7。アドマイヤマツリが逃げて前半5F60.8秒、後半5F56.8秒、上がり33.2秒、ラップは11.0−11.1−11.1秒。流れが緩んで後半5Fが速くなり、最後は究極の上がり勝負になった。ラヴァンダは不利な外枠から終始外を回って差し切り、着差以上に強い内容で優勝。フローラS2着、秋華賞4着、阪神牝馬S3着、府中牝馬S3着がある馬が4番人気で重賞初制覇を飾った。これで良馬場のG2以下では[3−2−4−0]で3着以内を確保。必ずいい脚を使っており、この条件ではまだ底を見せていない。仲秋S(3勝C)を1分32秒2で勝った馬。次走はマイルCSに向かう予定。
アンゴラブラックは1枠2番から内ラチ沿いの4番手につけ、メンバー6位の33.0秒で上がって半馬身差の2着。道中内ラチ沿いをロスなく回り、直線で逃げたアドマイヤマツリの外に出してしぶとく伸びてきた。条件戦を3連勝してきた上がり馬が重賞初挑戦、6番人気で激走した。スタートを決めて好位で流れに乗り、直線でひと脚使えるレース巧者で勝負根性もある。今回は直線で外から来たカナテープとの激しい叩き合いをクビ差で制した。小回りコースで少し上がりが掛かった方が力を発揮できそうなタイプ。ディセンバーS、中山金杯、小倉大賞典、福島牝馬Sあたりに出走したら注意したい。
カナテープは道中4番手を進み、直線で外に持ち出すとメンバー4位タイの32.9秒で上がって0.1秒差の3着。2着とはクビ差、4着とはハナ差。直線で大きく外に持ち出してラスト2Fから目一杯に追ってトップギアに入れたことで最後に少し甘くなり、アンゴラブラックとの叩き合いに敗れた。府中牝馬S2着は53キロ、関屋記念1着は54キロだったが、今回は55キロだった。斤量とキング騎手から佐々木騎手に乗り替わったことが影響したか。馬体は14キロ減って少し腹目が細めだったが、気配は落ちていなかった。外国人騎手では[2−3−1−0]。特に2戦2勝のキング騎手が合っている。
ライラックは後方からメンバー2位の32.3秒で追い込んで0.1秒差の4着。大外から伸びてきたが、3着カナテープとはハナ差でわずかに届かなかった。エリザベス女王杯で2、4着があり、牝馬限定のG2、G3では[1−0−2−5]で8戦のうち5戦が4着以内。右回りでは地力タイプに映るが、東京芝1800mでは切れる脚を使う特殊なタイプ。6歳でも衰えはなく、少し展開が嵌まれば突っ込みがありそうだ。
セフィロは出遅れて後方2番手を進み、直線で大外に持ち出すとメンバー最速の32.2秒で上がって0.4秒差の5着。前走3勝Cを勝って昇級戦でG2と厳しい条件だったが、末脚の威力が重賞でも通用することを示した。これで近8戦のうち5戦が上がり最速、残る3戦は2、2、3位。もう少しいい位置につけられるようになればOP特別、重賞で通用する。まずはOP特別のオーロCあたりで賞金を加算したい。
アドマイヤマツリは前半5F60.8秒の緩い流れで逃げ、メンバー11位タイの33.7秒で上がって0.5秒差の7着。武豊騎手が道中のラップを落として楽に逃げに持ち込んだが、ラスト1Fを過ぎたところで脚色が鈍って後退した。芝1800mは[4−2−0−0]で連対を外したことがなかったが、武豊騎手の想定以上に上がりが速くなり過ぎたことが影響したか。休み明けで馬体16キロ増。少し緩い仕上げだった。
ボンドガールは中団からメンバー7位タイの33.2秒で上がって0.8秒差の9着。直線で外に出せず、外からラヴァンダ、ライラックが上がってきたことで追い出しが遅れ、馬が狭いところに突っ込むのを躊躇したことが影響した印象。前走関屋記念は馬群を捌いてきたが、高速過ぎる上がりで加速できなかったこともあるのだろう。半兄ダノンベルーガは新馬、共同通信杯を連勝した後13戦未勝利。ボンドガールは新馬戦を勝った後11戦未勝利。陣営はルメール騎手を乗せて勝ちにきたが、ルメール騎手がプラスになるとは限らない。
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