安田記念
レース回顧

ジャンタルマンタルは5枠10番からスタートを決めて3番手につけ、メンバー8位タイの34.2秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは1分32秒7。ウインマーベルが逃げて前半3F35.0秒、5F58.4秒で例年より遅い流れ。上がりは34.3秒、ラップは11.2−11.3−11.8秒。良発表でも朝方の小雨の影響があったのか、緩い馬場で時計、上がりが掛かった。ただし、この程度の雨でここまで緩い馬場になったところに少し違和感がある。例年より遅い流れ、荒れた緩い馬場の適性が問われるレースになった。

ジャンタルマンタルは先行して抜け出す正攻法のレースでマイルG1−3勝目を挙げた。道中ロングラン(岩田康騎手)に寄られてエキサイトする場面があったが、ロングランが引いたこと、川田騎手が上手くなだめたことが勝利に繋がった。高速決着に不安があったが、緩い馬場で時計、上がりが掛かり、脚質的に絶好の遅い流れになったことが有利に働いた。稍重のデイリー杯2歳Sで荒れた内から抜け出したように荒れ馬場も他馬との比較でプラスなのだろう。国内では[5−1−1−0]で3着以内を確保。今後は海外マイルG1が視野に入る。

ガイアフォースは4枠7番から8番手につけ、メンバー2位タイの33.9秒で外から伸びて0.2秒差の2着。直線で前が壁になって外に持ち出すロスがあったが、前にいたソウルラッシュが内に寄れたことでスペースができ、吉村誠之助騎手が目一杯追うことができた。内に寄れてブレイディヴェーグに接触したソウルラッシュの浜中騎手がずっと右鞭で追って外に戻って来なかったことがガイアフォースにプラスに働いた。直線で再度外に切り替えるロスがあれば3、4着だったか。道悪巧者だけに馬場が緩んだことも良かったのだろう。

最後まで集中して走ったように初ブリンカーも利いている。これで安田記念は4、4、2着で安定して走っている。持久力があるため、他馬が苦しくなったところでひと伸びできるのが強み。近走不振で9番人気だったが、あらためて東京芝1600mの適性が高いことを示した。2年目の吉村誠之助騎手(父は兵庫競馬の吉村智洋騎手)は今年の重賞[2−1−1−4]。安田記念は東京芝5戦目だった。NHKマイルCではハイペースで先行してランスオブカオスを5着に粘らせている。今年26勝は武豊騎手と同じ。今後も活躍を期待したい。

ソウルラッシュは12番手からメンバー2位タイの33.9秒で上がって0.3秒差の3着。スタートは出たが内隣のロングランに前に出られて位置取りが悪くなった。直線で内に寄れてブレイディヴェーグに接触したが、浜中騎手はずっと右鞭で追い続けた。それによってガイアフォースが漁夫の利を得ている。荒れ馬場、緩い馬場は得意で馬場はマッチしていたが、遅い流れで位置取りが悪くなったことが堪えた。これで東京芝1600mは[0−2−2−2]で安田記念は13、9、3、3着。池江調教師が外国人騎手を乗せてきたら狙いたい。

ブレイディヴェーグは大外18番枠から8番手の外につけ、メンバー7位の34.1秒で上がって0.3秒差の4着。直線でソウルラッシュに寄られて馬体が接触する不利があった。あれだけゴツい牡馬に外からゴリゴリ来られたら厳しい。良発表でも緩い馬場もマイナスだった。マイルCS、東京新聞杯に続き4着に終わったが、流れに乗ってレースぶりは良くなってきている。秋は府中牝馬Sからエリザベス女王杯か、それとも毎日王冠から天皇賞(秋)か。東京芝2000mの1勝Cは強い勝ち方だった。相馬眼的には天皇賞(秋)を狙える。

シックスペンスは1枠1番から内ラチ沿いの4番手につけ、メンバー11位タイの34.7秒で上がって0.7秒差の12着。遅い流れで内ラチ沿いの絶好位につけたが、直線でルメール騎手が追っても反応がなかった。ルメール騎手は「緩い馬場で自分のリズムで走れず、最後に伸びを欠いた」とコメント。最終調教は動いていたが、1週前調教が地味に映ったように本調子ではなかったか。今年の重賞で国枝厩舎は[1−1−0−18]、5番人気以内では[1−0−0−5]。来年2月で国枝調教師は引退するが、重賞では不振が続いている。

トロヴァトーレは8枠16番から6番手につけたが、直線で全く伸びず1.4秒差の17着。前半ロングランに寄られて折り合いを欠き、ずっと前でロングランが折り合いを欠いてフラフラし、3、4コーナーでは再度ロングランに寄られて頭を上げる不利があった。緩い馬場も堪えている。芝1600mは[4−1−0−0]で5戦のうち4戦で1分32秒台で走っていたが、今回はまともに走れなかった。横山武騎手では11、17着で相性が悪い。ほろ苦いG1初挑戦になったが、本来は安定して走るタイプ。今後も注目していきたい。

今年の重賞でモレイラ騎手が騎乗して連対し、次走乗り替わった馬は不振が続いている。
・トロヴァトーレ ダービー卿CT1着→安田記念17着(横山武騎手)
・エンブロイダリー 桜花賞1着→オークス9着(ルメール騎手)
・ミュージアムマイル 皐月賞1着→ダービー6着(レーン騎手)
・ファイアンクランツ 青葉賞2着→ダービー9着(佐々木騎手)

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