日本ダービー
レース回顧

クロワデュノールは7枠13番からスタートを決めて4番手につけ、メンバー4位タイの34.2秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは2分23秒7。ホウオウアートマンが逃げて前半5F60.0秒。後半5F59.5秒、上がりは34.8秒、ラップは11.8−11.3−11.7秒。芝1800mで1分44秒6が出る高速馬場で流れが緩み、ファウストラーゼンが捲らなかったことで出入りがないスムーズなレースになり、前に行った馬が有利になった。同日の青嵐賞(2勝C)は前半5F59.8秒、後半5F59.5秒で勝ちタイムは2分23秒8。2勝Cとほとんど同じラップになったようにレースレベルは高くない。

クロワデュノールは1番人気に支持され、先行して抜け出す正攻法のレースでG1−2勝目を挙げた。捲ると思われたファウストラーゼンが動かなかったのか、動けなかったのは分からないが、社台の断然人気馬を負かしに行く騎手はおらず、終始スムーズに進めることができた。最初の直線から1コーナーでホウオウアートマンがクロワデュノールの進路を塞がないように外に出しながら1コーナーに入ったように騎手たちは邪魔できないという意識が強かったのではないか。ただしクロワデュノールは休み明けの皐月賞を使ってパドックでは馬体、気配が良くなっていた。G1は狙って獲るもの。まさにそれを思わせるようなパドック気配だった。

クロワデュノールはスタートが速く、好位で折り合って進め、直線でひと脚使えるタイプ。レースセンスの良さは今後も大きな武器になる。ガツンと切れないが、立ち回りの上手さと末脚の持続力で勝負するタイプ。皐月賞は向こう正面で不利があって早めに動いたことで2着に負けたが、この勝利で世代最強を証明した。皐月賞2着でクラシック3冠ではないため、凱旋門賞挑戦もありそうだ。夏を越して馬体が成長すればスーパーホースになる可能性を残している。北村友騎手は落馬事故で背骨を約8ヶ所骨折する大怪我を追ったが、リハビリを経て復帰し一歩ずつ進めてダービー制覇に辿り着いた。今後もクロワデュノール&北村友騎手の活躍を期待したい。

マスカレードボールはスタートして内に切れ込んで8番手の外を進み、メンバー2位の33.7秒で上がって0.1秒差の2着。流れが緩んで前に行った馬が有利なレースになったが、最後に外から伸びてクロワデュノールに迫った。皐月賞で後方から追い込んでクロワデュノールにハナ差の3着に入ったのはダテではないことを示した。1番人気のクロワデュノールにプレッシャーをかける馬がいて上がりが掛かれば際どいレースになったいたかもしれない。気難しい馬で外枠から外を回って折り合いをつけるのは難しそうだが、共同通信杯で勝った坂井騎手が上手く乗っている。マスクトディーヴァの半弟。精神面を含め、秋にひと皮むけてくるか。

ショウヘイは1枠2番から内ラチ沿いの3、4番手につけ、4コーナーから直線で外に出すとメンバー6位タイの34.3秒で上がって0.3秒差の3着。緩い流れで好位につけて直線でスパッと抜け出すタイプ。良馬場に回復したことはプラスに働いたが、3、4コーナーの馬場が緩くバランスが良くなかったようだ。1枠2番からルメール騎手は思い通りのレースができており、現時点の力は出している。速い流れになったきさらぎ賞で1.0秒差の4着に負けたときはクラシックでは厳しいと思われたが、そこから友道厩舎が修正し、京都新聞杯1着、ダービー3着と結果を出した。友道厩舎は4月以降の重賞で[4−2−2−1]で確変モード中。

サトノシャイニングは大外18番枠からハナを切った後にホウオウアートマンに譲って内ラチ沿いの2番手につけ、4コーナーから直線で外に出し、メンバー10位タイの34.7秒で上がって0.4秒差の4着。直線でクロワデュノールに交わされた後も踏ん張っていたが、最後は一杯になった。それでも不利な大外枠だったことを考えるとよく走っている。皐月賞5着、ダービー4着で能力が世代上位レベルということを示した。武豊騎手は出遅れ、折り合いを欠き、大外ブン回しが多いが、4着でも不利な大外枠から力を出し切る騎乗だった。

エリキングは出遅れた後に寄られて内ラチ沿いの14番手を進み、メンバー最速の33.4秒で追い込んで0.6秒差の5着。最後に外から切れる脚を使ったが、緩い流れで位置取りが後ろ過ぎた。骨折明けの皐月賞は内でごちゃついて11着に終わったが、ひと叩きされたことで調教の動き、気配が良くなっていた。前には離されたが、最速上がりを繰り出したことを評価したい。地力と末脚の威力を兼ね備えたタイプ。これから馬体が成長して走りのバランスと反応が良くなれば、中長距離路線で活躍できそうだ。

ミュージアムマイルは道中11番手の外からメンバー3位の34.1秒で上がって0.7秒差の6着。皐月賞では8番手につけたが、今回はレーン騎手が前半大事に乗って緩い流れでも位置取りが後ろになった。直線でマスカレードボールと叩き合いになったが、切れ負けして最後は突き放された。芝1600mでデビューし、朝日杯FSで2着に入った馬。高速決着になる皐月賞はマイラーでも走れるが、東京芝2400mは微妙に長いのだろう。緩い馬場はマイナスだったことは考慮しておきたい。パドックでは馬体の造り、気配が目立っていた。

トッピボーンは出遅れて後方2番手を進み、大外からメンバー4位タイの34.2秒で上がって1.6秒差の13着。流れが緩んで前に行った馬が有利なレースになり、ラスト3Fの上がり勝負で後方2番手からでは物理的に厳しかった。捲ると宣言していたファストラーゼンが最後方のまま動かずにすんなりとしたレースで上がりの速いレースになったことも堪えた。スタート、折り合いなど課題が残っているが、相馬眼的にG1で勝ち負けできる資質を備えている。母系にエルコンドルパサー。中長距離路線で注目していきたい。

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