オークス
レース回顧

カムニャックは7枠15番から11番手の外につけ、メンバー2位の33.8秒で外から差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分25秒7。エリカエクスプレスが逃げて前半5F60.0秒。4F目から12.6−12.6−12.7−12.9−12.9秒と5F流れが緩み、上がりは34.7秒、ラップは11.6−11.4−11.7秒。少し緩いタフな馬場で流れが緩んで上がり勝負になった。今開催の東京芝重賞は7R行われ、10、10、9、16、11、17、15番枠に入った馬が1、3、2、3、3、2、2位の上がりで差し追い込みを決めて勝っている。外枠から道中馬場のいい外を通ってきた馬が切れる脚を使って差し切るレースが続いている。ダービー、安田記念はCコースに変更されるが、今の傾向が続く可能性がある。

カムニャックは道中折り合いを欠きそうだったが、シュタルケ騎手が何とかなだめて進み、直線で外から豪快に差し切って4番人気で制した。エンブロイダリーが外からマークされて道中荒れたところを通って折り合いを欠き、アルマヴェローチェが1枠1番から荒れた内を通ったこと、カムニャックより決め手があるタガノアイビーがスタートで寄られて最後方から荒れた内を突いたことが有利に働いている。ダービーを3勝している友道厩舎のブラックタイド産駒でキープカルムの半妹。シュタルケ騎手はJRAのG1初制覇、友道厩舎は牝馬クラシック初制覇。カムニャックはパドックで馬体のバランスが良く、体重以上に大きく見せていた。友道厩舎の仕上げもあり、大一番でパフォーマンスを引き上げた。今後は休養して秋は秋華賞からエリザベス女王杯を目指すことになりそうだ。

アルマヴェローチェは1枠1番から内ラチ沿いの6番手につけ、4コーナーから直線で外に持ち出すとメンバー3位の34.2秒で上がって頭差の2着。岩田望騎手がロスなく進めて脚をタメ、直線で外に出して上手く乗ったが、最後はカムニャックに切れ負けした。道中荒れた内を通るのは良くないが、アルマヴェローチェは道悪巧者で荒れ馬場を苦にしないため、ここまで走れたのだろう。1986年以降のオークスで1枠1番は[0−6−0−34]、5番人気以内は[0−5−0−10]。過去10年で3回目の2着。ダービーでは1枠1番の馬が活躍しているが、オークスでは勝てないレースが続いている。母系が短距離馬でアルマヴェローチェは少し脚が短めだが、能力で距離2400mを克服した。上村厩舎は今年仕上げのレベルが上がっている。

タガノアビーはスタートで外隣のサヴォンリンナに寄られて最後方を進み、4コーナーから直線で最内に入れるとメンバー最速の33.5秒で上がって0.2秒差の3着。穴馬が10番人気で激走した。勝ち馬の上がりを0.3秒、2着馬の上がりを0.7秒上回ったが、中盤5F流れが緩む展開で最後方から荒れた内を通って追い込む形では厳しかった。サヴォンリンナに寄られず道中カムニャックの後ろにつけていれば勝ち負けできたのではなないか。荒れた内を通って最速上がりを繰り出したように末脚の威力は相当。東京に輸送してフローラSを使い、連闘で矢車賞を使い、中2週で再度東京に輸送。厳しいローテーションでも最終調教では元気一杯の動きを見せていた。ストライドが大きいのに脚の回転が速い特殊な走り。これが上がり勝負のオークスにマッチするとみて狙ったが、スタートで寄られたが想定外だった。今後は賞金を加算する必要があるが、秋華賞に向けて千田調教師がどう進めてくるのか注目したい。

<穴馬○タガノアビーの予想コメント>

穴はタガノアビー。[2−0−1−2]で上がりは1、1、1、2、1位。稍重の小倉芝1800mの未勝利戦を後方から大外を回って押し上げ、最速の35.8秒で差し切って優勝。緩い馬場はこなせる。フローラSは16番手から2位の33.3秒で上がって0.4秒差の5着に終わったが、直線で前が壁になってほとんど追えなかった。前走矢車賞は6頭立ての最後方から最速の33.3秒で差し切って2分14秒3で優勝。

前半5F63.4秒で前残りの展開だったが、末脚の威力と持続力で大外一気を決めた。後半4F11.7−11.5−11.3−11.3秒が強烈。東京に輸送してフローラSを使い、連闘で矢車賞を使い、中2週で東京に輸送して芝2400m。ローテーションは厳しいが、最終調教では元気一杯の動きを見せた。しかもストライドが大きいのに脚の回転が速い特殊な走りをするのである。これが上がり勝負のオークスにマッチする。

父アニマルキングダム、母の父アイルハヴアナザーはどちらもケンタッキーダービー勝ち馬。日本では地味な血統に映るが、末脚の威力と持続力はこのメンバーに入っても上位。今年は芝2200m以上で勝った馬がタガノアビーしかいない。強気に本命で狙う手もあるが、出遅れ癖が改善されていない。流れが緩んで後方から大外一気では厳しい。その点で2番手にしたが、緩い流れで12番手以内につけられれば一発の可能性がある。

パラディレーヌは2枠3番から内ラチ沿いの9番手につけ、直線で進路を探しながら外に出し、メンバー4位の34.3秒で上がって0.3秒差の4着。直線で一瞬伸びかけたが、最後は前と脚色が一緒になった。前走フラワーCは馬体が少しこじんまり見えたが、今回は芝2400m仕様の仕上げなのか、全体的に大きく見せ、バランスが良くなっていた。芝1800mの重賞を勝てそうな馬。丹内騎手はG1[0−0−1−16]だが、今年は天皇賞(春)をマイネルエンペラーで5着、今回パラディレーヌで4着。今年は年間100勝とG1初制覇を達成してもらいたい。

リンクスティップは後方から流れが緩んだ向こう正面で8番手に押し上げ、メンバー5位の34.5秒で上がって0.5秒差の5着。前半馬群が前と後ろ2つに割れて後方を進んだため、向こう正面で押し上げるときに余計に脚を使ったことが堪えた。9Rから良馬場に回復したが、Mデムーロ騎手は「ノメって馬場が合わなかった」とコメント。桜花賞よりも馬体の張りが良くなり、調子は上向いていた。桜花賞は最後方から追い込んで3着に突っ込んだが、本来はある程度前につけて地力で粘り込むタイプか。

エンブロイダリーは馬込みの6番手を進み、メンバー12位の35.2秒で上がって1.0秒差の9着。道中外からサヴォンリンナ(北村友騎手)にマークされてずっと荒れたところを通って折り合いを欠いていた。ルメール騎手は「直線に向くまで引っ掛かっていた」とコメント。前半5FはクイーンCが57.2秒、桜花賞が58.6秒(稍重)、今回が60.0秒。この流れならアドマイヤマーズ産駒でも距離をこなせそうだが、緩い馬場で荒れたところを通って折り合いを欠いては厳しかった。秋は秋華賞か、それともマイル路線か。

重賞レースで1番人気をマークして潰すレースをした騎手は翌週の重賞で激走することが多い。サヴォンリンナに騎乗していた北村友騎手は翌週のダービーでクロワデュノール(斉藤崇厩舎)に騎乗する。ただし翌週のことを意識してこういう騎乗をしたとすると報われないこと多々ある。ちなみにルメール騎手はダービーでクロワデュノールと同じ先行タイプのショウヘイ(友道厩舎)に騎乗する。ルメール騎手はやられたらやり返すことが多いが、クロワデュノールの馬主はサンデーRだけにスルーする可能性の方が高い。

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