ヴィクトリアマイル
レース回顧
アスコリピチェーは8枠17番から出遅れて後方を進み、4コーナーで後方2番手からメンバー2位の33.3秒で大外から差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分32秒1。1〜4着は同タイムの大接戦になった。アリスヴェリテが大逃げして前半3F33.9秒、5F56.8秒の速い流れ。上がりは35.3秒、ラップは11.3−11.9−12.1秒。2番手以下は離れており、後方を進んだ馬は実質は緩い流れで上がり勝負だった。馬場の内側が荒れて外からの差しが決まりやすい馬場で追い込んだ3頭で決着したが、内外フラットな馬場でかつ大外18番枠でなければ、大逃げしたアリスヴェリテが勝っていた可能性がある。
アスコリピチェーノは出遅れて位置取りが悪くなり、直線でエンジンの掛かりが遅かったが、大外に持ち出すと鋭く伸びてギリギリで差し切った。5月の東京芝重賞はトウシンマカオ、セイウンハーデス、パンジャタワー、アスコリピチェーノが外から差し切って優勝。外枠から馬場のいい外を通って差した馬が勝つパターンが続いている。今回は17−16ー12番枠から追い込んだ3頭で決着。安田記念までこの傾向が続く可能性がある。アスコリピチェーノはサウジ遠征明けでも馬体を絞って仕上げてきていた。予想通り安田記念は使わない。社台が使い分けしなければ、秋はマイルCS、香港マイルを目指すことになる。
クイーンズウォークは8枠16番スタートから13番手の外につけ、直線で外からメンバー3位の33.6秒で上がってクビ差の2着。直線で一旦先頭に立ったが、最後にアスコリピチェーノに外から交わされた。直線で内に寄れてアルジーヌに接触したことで川田騎手は過怠金3万円が課せられた。直線でまっすぐに走っていれば、もっと際どい争いになっていた。東京芝1600mのクイーンCを外から差して勝ち、稍重のローズS、重馬場の金鯱賞を勝った馬。左回り、少し緩い馬場、外差しが決まる馬場で外枠も良かったのだろう。リバティアイランドの中内田厩舎だけに無理使いせず、夏は休養することになりそうだ。
シランケドは4コーナー最後方から馬群に突っ込んでメンバー最速の33.2秒で上がってクビ+ハナ差の3着。本命で狙った穴馬が7番人気で激走した。直線で前が壁になってステレンボッシュの後ろにつけたが、ステレンボッシュが伸びないため外に切り替え、シンリョクカが内に寄れてできたスペースに突っ込んで一瞬他馬が止まって見えるほど強烈な末脚を繰り出した。馬群を捌きながら上がり最速。スムーズなら勝っていたかもしれない。勝負どころでアスコリピチェーノが外にいて外に出せず。アスコリピチェーノの出遅れが想定外で余計だった。心肺機能の高さがウシュバテソーロ級でスルーセブンシーズ級のスジ力を兼ね備えている。陣営がどう判断してどこを使ってくるのか注目したい。
<穴馬◎シランケドの予想コメント> 相馬眼ニュースでも取り上げています。見てね!
穴馬シランケドを狙う。[5−2−2−1]で新馬戦を除き3着以内を確保。現在、猪苗代特別、魚沼S、中山牝馬Sを3連勝中。魚沼Sは最後方から最速の33.0秒で差し切った。中山牝馬Sは良発表でも緩いタフな馬場で中団から2位の34.7秒で差し切って1分47秒1で優勝。0.2秒差の4着ビヨンドザヴァレーはターコイズSでアルジーヌに0.1秒差の2着があり、阪神牝馬Sでサフィラに0.2秒差の4着に入った。
近走芝1800m以上を使っているため、距離が嫌われているが、実は中京芝1400mの未勝利戦を大きく出遅れて最後方から最速の34.2秒で大外から差して1分20秒5で勝っている。2着ユハンネスは豊明Sで1分19秒1で3着、3着ハクサンバードは湘南Sを1分19秒8で優勝。芝1400mの高速決着に対応しているこの2頭を大きく出遅れて差し切ったのである。これが今の東京の馬場にマッチするのではないか。
今の東京芝重賞は短い距離を得意にしている馬が外めの枠から外を回って差し切るのがパターン。さらに左回りの芝1400mで最速上がりで勝った馬はシランケド、アスコリピチェーノ(新馬戦)しかいない。休み明けは[5−1−0−0]で暑さを苦にせず夏場も走るタイプ。相馬眼的にウシュバテソーロ級の心肺機能の高さを感じさせる馬。隊列が縦長にならず外から差せるレースになれば、驚異的な末脚で一発がある。
アルジーヌは2枠3番スタートから内から2列目の7番手につけ、4コーナーから直線で外に持ち出すとメンバー6位の34.1秒で上がってクビ+ハナ+頭差の4着。直線で外からクイーンズウォークが寄れたことで馬体が接触してバランスを崩すロスがあった。ちなみにアルジーヌとクイーンズウォークは同じ中内田厩舎の管理馬。結果的にルメール騎手のアスコリピチェーノが得をした。不利な内枠から外に出して同タイムの4着に持ってきたレーン騎手はさすがの騎乗だった。アルジーヌはパフォーマンスを引き上げ、G1で通用することを示した。ベストは[4−1−1−0]の芝1800mかもしれないが、秋はマイルCSを目指すか。
アリスヴェリテは大外18番枠から前半3F33.9秒、5F56.8秒で大逃げし、メンバー最下位の35.4秒で上がって0.1秒差の5着。15番人気の伏兵が見せ場十分の走りだった。最速の33.2秒で上がったシランケドとは上がり2.2秒差。前に行った馬と後ろから追い込んだ馬がゴールで交わるレースになり、外差しが決まりやすい馬場で追い込み馬に軍配が上がった。アリスヴェリテは前走福島牝馬Sで4着に入り、今回は調教診断で4位評価したように動き、気配が一変していた。昨年のマーメイドSを1分57秒2で逃げ切ったのはダテではない。気温が上がると調子を上げるタイプ。次走はどこに使ってくるか。
ステレンボッシュは1枠2番から内ラチ沿いの8番手につけ、メンバー7位タイの34.2秒で上がって0.3秒差の8着。道中ずっと荒れた内を通り、直線でも外に出せず荒れた内を通って伸び切れなかった。昨年の桜花賞を1分32秒2の好タイムでアスコリピチェーノに勝ったが、モレイラ騎手が勝負どころでアスコリピチェーノを外に振って上手く騎乗していた。戸崎騎手ではオークス2着、秋華賞3着、ヴィクトリアマイル8着で3戦ともスムーズなレースができていない。大阪杯を使ったことで馬体の張りが良くなり、馬は調子を上げていた。今後は休養して秋はエリザベス女王杯を目指すことになりそうだ。
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