NHKマイルC
レース回顧

パンジャタワーは6枠11番から10番手につけ、メンバー3位の34.2秒で外から差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分31秒7。ヴーレヴーが逃げて前半3F33.4秒、5F56.4秒のハイペース。上がりは35.3秒、ラップは11.9−11.6−11.8秒。ハイペースで前崩れになり、差し追い込み馬が上位を独占した。パンジャタワーは中団の外から差し切って9番人気でG1初制覇を飾った。見た目より内が荒れており、道中外を通った馬が有利な馬場で土曜のエプソムCではセイウンハーデスが外から差して勝っている。パンジャタワーもセイウンハーデスと同じようなレースぶりだった。

NHKマイルCは高速馬場で短い距離の適性がある馬が激走することが多く、その後スプリント路線で活躍する馬が多い。パンジャタワーはタワーオブロンドン産駒で体型を見ても将来はスプリンターになりそうだ。今開催の東京は時計が速く、京王杯SCはスプリンターのトウシンマカオが1分18秒3のレコードで勝っている。外めの枠、少し短い距離の適性、ハイペースで差し馬向きの展開などが上手く噛み合っての勝利。松山騎手は21年チャンピオンズCのテーオーケインズ以来となるG1制覇となった。今後は豪ゴールデンイーグルに挑戦するプランがある模様。高速馬場が続けば、ヴィクトリアマイル、安田記念も外枠の差し馬に注意したい。

マジックサンズは出遅れて後方2番手を進み、直線で内を突いてメンバー最速の33.7秒で上がって頭差の2着。皐月賞でメンバー最速の33.8秒で追い込んで0.6秒差の6着に入った馬が初のマイル戦で高速決着に対応して3番人気で2着に入った。返し馬でイレ込んでいたため、武豊騎手が後方でタメて内を突く一発狙いの騎乗をしたが、ハイペースで前崩れの展開になって上手く嵌まった。札幌2歳Sでアルマヴェローチェ(阪神JF1着、桜花賞2着)に勝った馬がようやく復調してきた。今年の重賞で武豊騎手は[0−4−3−12]。出遅れて後方から追い込むレースが多く、展開が嵌まったときに2、3着に突っ込んでいる。

チェルビアットは内ラチ沿いの10番手を進み、4コーナーから直線で少し外に持ち出すとメンバー4位の34.3秒で上がって頭+ハナ差の3着。レース展望に「NHKマイルCで大穴をあけそうなタイプ」と書いたが12番人気で激走した。桜花賞で後方から追い込んで6着まで追い上げたのはやはりダテではなかった。フィリーズレビューで1分20秒8で走って0.1秒差の2着。芝1400mの速い流れの経験を生かせたのだろう。ショウナンパンドラの半妹。秋になって馬体が成長すると化けてくるかもしれない。

モンドデラモーレは1枠1番から内ラチ沿いの7番手につけ、4コーナーから直線で外に出すとメンバー10位の34.7秒で上がって0.1秒差の4着。直線で抜け出しかけて見せ場を作ったが、最後は一杯になって切れ負けした。戸崎騎手は「追ってからのフットワークがもう一つ」とコメント。前向きさがあって最後まで諦めずに走るタイプ。今後の成長を期待したい。

ランスオブカオスは内ラチ沿いの4、5番手につけ、メンバー11位の35.0秒で上がって0.3秒差の5着。ハイペースで前に行った馬の中では最先着。ハイペースで先行したこと、外が伸びる馬場で内を通ったことが影響したが、それで0.3秒差なら悪くない。好位につけて直線でひと脚使えるタイプ。今後もこれは大きな武器になる。

マピュースは12番手からメンバー8位タイの34.6秒で上がって0.5秒差の12着。直線でアルテヴェローチェに前に入られて外に振られるロスがあった。桜花賞は出遅れて内が伸びない馬場で内を突いて5着、今回は外が伸びる馬場で外に出し切れずごちゃついて7着。23年以降のG1で[0−0−0−11]の田辺騎手で不憫なレースが続いている。

イミグラントソングは4番手につけたが、直線で一杯になって0.7秒差の11着。前走ニュージーランドTを前半5F57.7秒で外から差して勝ったが、今回は前半5F56.4秒のハイペースで4番手につけていた。ルメール騎手は逃げ馬不在でここまで速くなるとは思っていなかったのだろう。中山が合うタイプ。中山に使ってきたら見直したい。

アドマイヤズームは3番手から直線で失速して1.0秒差の14着。朝日杯FS勝ち馬が単勝2.5倍の1番人気に支持されたが、ハイペースで先行しては厳しかった。スタートして1、2Fあたりで落鉄もあった模様。脚質的に直線の長い東京より右回りの小回り向き。展開を味方につけられそうなときは注意したい。

[Home]