阪神JF
レース回顧

アスコリピチェーノは馬込みの8番手を進み、メンバー2位の33.7秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイム1分32秒6は19年にレシステンシアがレコードで圧勝した1分32秒7より0.1秒速い。シカゴスティングが逃げて前半5F58.2秒、上がりは34.4秒、ラップは11.3−11.4−11.7秒。アスコリピチェーノは勝負どころで北村宏騎手の手が動いたが、そこから切れる脚を使って抜け出してきた。デビューから3連勝でG1を制し、来年のクラシックに名乗りを上げた。決め手と地力を兼ね備えたダイワメジャー産駒。北村宏騎手はが15年菊花賞のキタサンブラック以来のG1制覇。エリザベス女王杯で2着に入ったルージュエヴァイユを管理する黒岩厩舎はG1初制覇となった。半姉アスコルターレが3歳2月のマーガレットSを勝った後、急に走らなくなったのは気になるが、無事に進めて行けば桜花賞を狙えそうだ。サンデーRは昨年の秋華賞から牝馬限定G1で9連勝となった。

ステレンボッシュは馬込みの11番手を進み、メンバー最速の33.5秒で追い込んでクビ差の2着。ルメール騎手がアルコリピチェーノの直後を進んで抜け出してきたが、直線で外に出せず、内に切り替えるロスがあった。そこがスムーズなら際どいレースになっていた。これで国枝厩舎は阪神JFで5番人気以内なら[2−3−0−0]で連対率100%。今回はルメール騎手が騎乗するのにも関わらず5番人気だった。相馬眼的に距離が延びて良さそうなタイプ。引退が近い国枝調教師はダービーを勝っていないため、サトノレイナスのようにダービーに使ってくるか。ただし社台の牡馬が弱いという条件がつく。馬主は吉田勝己氏。ダービーに出てもサトノレイナスのような持ち味を殺すようなレースをすることはない。

コラソンビートは6番手の外につけ、メンバー4位タイの34.1秒で上がって0.2秒差の3着。横山武騎手が外々を回って勝ちに行ったが、道中馬込みで進めてきた2頭に切れ負けした。それでも外を回って4着サフィラに3馬身差をつけている。438キロの小柄な牝馬でも最後まで諦めない勝負根性がある。こういうタイプは簡単には崩れないが、馬が楽を覚えると急に走らなくなることもある。

サフィラは11番手の外からメンバー6位タイの34.2秒で上がって0.9秒差の4着。ガツンと切れるタイプではないだけに外枠で位置取りが悪くなったことが堪えた。442キロの小柄な馬だけに余計に堪えたのだろう。ハーツクライ産駒のサロミナ一族で半姉にサラキア、全兄にサリオスがいる。池添学厩舎はサラキア(エリザベス女王杯2着、有馬記念2着)を大事に使って5歳になって本格化させている。

ルシフェルは16番枠スタートから後方を進み、メンバー4位タイの34.1秒で上がって0.8秒差の6着。ムルザバエフ騎手が直前で馬群に突っ込んで何度も切り替えて捌きながら伸びてきた。初のマイル戦でこれまでとは全く違う流れで位置取りが悪くなったことも堪えた。成長力あるハーツクライ産駒で胴長の馬体の造りからもっと長い距離が合っている。

スウィープフィートは出遅れて最後方から大外を回って少し押し上げ、メンバー7位の34.2秒で上がって0.9秒差の7着。1分32秒台の決着で最後方から大外ブン回しでは物理的に厳しかった。抽選に通って中1週でG1初騎乗の永島まなみ騎手。祖母にスイープトウショウ。末脚の持続力が優れており、大化けする可能性を持った馬。永島まなみ騎手とともに成長を期待したい。

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