エリザベス女王杯
レース回顧

ブレイディヴェーグは1枠1番から出遅れたが、内のスペースを利用し上手くカバーして5番手を進み、メンバー5位タイの34.4秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは2分12秒6.アートハウスが逃げて前半5F61.1秒、後半5F59.6秒、上がりは35.1秒、ラップは11.6−11.5−12.0秒。午後に雨が降って馬場が緩み、1、2、3番枠から内ラチ沿いをロスなく回った3頭で決着した。プレイディーヴェーグはルメール騎手が出遅れを上手くカバーして好位から抜け出す正攻法のレースで優勝。相馬眼ニュースで取り上げた馬がデビューから5戦目でG1初制覇を飾った。

一度レースを使ったことで馬体のバランス、気合乗りが良くなり、パドックでは馬体、気配が目立っていた。今回は稍重の緩い馬場だったが、パンパンの良馬場ならもっと切れる脚を使えるタイプ。良馬場ならG1でも圧倒的なパフォーマンスでインパクトのあるレースができるタイプであることを付け加えておく。今後はひと息入れ、来年は大阪杯、宝塚記念を狙うことになりそうだ。社台は使い分けがあるが、同じサンデーRのリバティアイランドと対戦を期待したい。今秋のG1は社台の人気馬が勝つレースが続いている。

ルージュエヴァイユは2枠2番から内ラチ沿いの7番手を進み、メンバー3位タイの34.3秒で上がって0.1秒差の2着。内ラチ沿いをロスなく回ってプレイディーヴェーグを見ながら進み、直線で追いかけたが交わせなかった。馬場の内側は荒れていたが、午後に雨が降って全体的に緩んだことで距離ロスが少ない内を通った馬が有利になった。ルージュエヴァイユはエプソムC、府中牝馬Sに続き、重賞で3戦連続2着。ここにきて馬体がしっかりして力感が増し、崩れにくくなっている。エヴァイユ=覚醒。馬名通り、覚醒してきた。

ハーパーは2枠3番から内ラチ沿いの3番手を進み、4コーナーから直線で外に持ち出しメンバー11位の34.8秒で上がって0.2秒差の3着。オークス2着、秋華賞3着の3歳馬が3番人気で3着に入った。上がりは遅いが、道中内ラチ沿いをロスなく回って先行したアドバンテージを生かし切った。馬場が緩んで時計、上がりが掛かったことがプラスに働いている。これで芝2000m以上では[0−2−2−0]。勝負どころでスブく、それほど切れる脚がないところが今後ネックになる可能性がある。

ライラックは10番手からメンバー最速タイの34.2秒で上がって0.3秒差の4着。昨年大外から2着に突っ込んだ馬が今年は馬群に突っ込んで上がってきたが、内を通った馬が有利なレースになり届かなかった。昨年は重馬場で前半5F60.3秒、今年は良馬場(緩い馬場)で前半5F61.1秒。心肺機能が高いため、流れが速くなってタフなレースになった方が持ち味を生かせる。

ジェラルディーナは出遅れて最後方からムーア騎手が上手くカバーして道中7番手の外を進み、メンバー8位タイの34.7秒で上がって0.3秒差の5着。出遅れた後に外から上がって中団に押し上げたのはムーア騎手の技術。外々を回って最後までしぶとく伸びたように力は見せたが、内を通った馬が有利なレースで届かなかった。パドックで近走よりテンションが高かったことがスタートに影響したか。次走は昨年と同様に有馬記念か。

サリエラは13番手からメンバー最速の34.2秒で大外から追い込んで0.3秒差の6着。初の右回りで外からしぶとく伸びてきたが、内を通った馬が有利なレースで届かなかった。マーカンド騎手は距離不足と緩い馬場を敗因に挙げている。サラキア、サリオスの妹がレースを使いながら少しずつパフォーマンスを引き上げている。サラキアは5歳秋に府中牝馬S1着、エリザベス女王杯2着、有馬記念2着と覚醒した。

ビッグリボンは大外15番枠から出遅れて後方を進み、メンバー3位タイの34.3秒で上がって0.6秒差の11着。スタート後に出遅れたジェラルディーナが外から上がって行くときに西村騎手がムーア騎手に進路を譲ったことで位置取りが悪くなったことが堪えた。前走京都大賞典も直線で不利があり、不憫なレースが続いている。芝2000mのG3なら牡馬相手でもやれる。中日新聞杯、愛知杯あたりを使ってきそうだ。

アートハウスはハナを切ってマイペースで進み、直線入り口で坂井騎手が後ろを振り返る余裕があったが、直線で荒れた内を走って失速し0.7秒差の13着。直線で後続を引き離して見せ場を作ったが、坂井騎手が右鞭を入れても直線で荒れた内に切れ込んだのがもったいなかった。前半5F61.1秒で進めただけに距離が1F長いこともあるのだろう。次走芝2000mのG3で見直したい。

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