スプリンターズS
レース回顧

ママコチャは3枠6番スタートから好位につけ、勝負どころで外から早めに上がって直線で先頭に立つとメンバー9位の34.5秒で上がってマッドクールとの叩き合いをハナ差で制した。勝ちタイムは1分8秒0。ジャスパークローネが逃げて前半3F33.3秒。上がりは34.7秒、ラップは11.2−11.2−12.3秒。馬場を考慮すると遅くはないが速くもなく、道中5番手以内につけた馬が1、2、4、5着に入った。8着ピクシーナイトの戸崎騎手はノメったとコメント。アグリの安田隆調教師も馬場が緩かったとコメント。良発表でも含水率が高く稍重レベル。日曜は土曜よりクッション値が0.2低くなり柔らかくなっていた。JRAが土曜の夜に散水したかどうかは不明だが、週中に多く散水して緩くて時計の掛かる馬場にした可能性が高い。

ママコチャはガツンと切れるタイプではなく、スピードの持続力が優れたタイプ。川田騎手が勝負どころで早めに動いて勝ちに行ったことで持ち味をフルに発揮できた。川田騎手は勝負どころでナムラクレアを外に出させないように騎乗している。スプリントG1を勝つ馬は芝1400mで圧勝することが多いが、ママコチャは2走前に安土城Sを1分19秒0の好タイムで3馬身差で圧勝していた。休み明けで馬体が8キロ増えて過去最高体重だった前走北九州記念は、勝負どころで動いて勝ちに行かず2着。やはり次を見据えたレースだったのだろう。ママコチャは重賞初制覇がG1初制覇となった。勝利から数時間後に全姉ソダシの引退が発表された。池江厩舎は昨年ジャンダルムで制しており2連覇を達成。次走は阪神カップ、または香港スプリントになりそうだ。

マッドクールは5枠10番からスタートを決めて内ラチ沿いの5番手につけ、メンバー4位タイの34.4秒で上がってハナ差の2着。坂井騎手がスタートを決めて内ラチ沿いの好位につけたことが大きかった。シルクロードSで1分7秒4で走って0.1秒差の3着に入ったが、勝ったナムラクレア、2着ファストフォースは高松宮記念でワンツーを決めている。前走CBC賞9着は重馬場の春雷Sを落鉄した状態で目一杯に走って勝ったことで調子が落ちていたのではないか。パドックでは前走より馬体、気配が良くなっていた。2走前に勝った春雷Sは中山の重馬場。スプリンターズSは例年最終週でも高速決着になるが、今年はJRAが週中に散水して緩くて時計の掛かる馬場になっていた。馬主はサンデーR。この緩い馬場がプラスに働いている。

ナムラクレアは1枠1番からスタートを決めたが、マッドクールが内に入ってきたため、すぐに外に出して7番手を進み、メンバー4位タイの34.4秒で上がって0.2秒差の3着。これで坂のあるコースでは[1−3−2−3]で右回りでは[0−2−2−2]。直線に急坂のある中山、阪神では勝ち切れないレースが続いている。1枠1番から内ラチ沿いを通って一発狙いの騎乗ができれば、もっと少しやれたかもしれないが、1番人気で前が詰まるリスクを回避したのだろう。内が荒れた馬場で1枠1番は乗り難しい枠だった。

アグリはスタートで外隣りのマッドクールに寄られて位置取りが悪くなり、13番手から外を回ってメンバー3位の33.9秒で上がって0.5秒差の7着。5番手以内につけた馬が上位に入るレースで13番手からの追い込みでは厳しかった。安田隆調教師は緩い馬場が影響したとコメント。セントウルSから中2週でもパドックでは馬体、気配が目立っていた。安田隆厩舎は昨年ダイアトニックが阪急杯、スワンS、阪神カップを制し、今年はアグリが阪急杯を優勝。次走スワンS、または阪神カップに使ってきたら注目したい。

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