宝塚記念
レース回顧

イクイノックスは徐々に位置取りが悪くなって後方2番手を進み、勝負どころで外から押し上げるとメンバー2位の34.8秒で大外から豪快に差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分11秒2。ユニコーンライオンが逃げて前半5F58.9秒。後半5F59.9秒、上がりは35.5秒、ラスト5Fは12.5−11.9−11.7−12.0−11.8秒。この日は内が荒れていても内を通った馬が好走していたが、ハイペースで上がりの掛かる消耗戦になり、道中12番手以下から外を回った差した馬が1〜4着を独占した。

イクイノックスは3、4コーナーで大外を回り、4コーナーで振られてかなり外を回るロスがあったが、最後は能力と末脚の威力で捻じ伏せた。直線で外に出せず内に切れ込むロスがあったスルーセブンシーズにクビ差まで迫られたが、ルメール騎手は直線で抜け出した後に気を抜かないように鞭を一発入れただけで最後は余裕があった。これで天皇賞(秋)、有馬記念、ドバイSC、宝塚記念を4連勝。逃げ差し自在の脚質で死角がない。ジャパンCを勝てば賞金5億円+ボーナス2億円。ダービーで負けたドウデュースとの再戦を期待したい。

スルーセブンシーズは最後方から道中ある程度ロスなく進み、勝負どころで押し上げるとメンバー最速の34.6秒で上がってクビ差の2着。直線でジオグリフが外に出てきたためスペースがなくなり、そこで内に切り替えるロスがあった。そこから再度加速してイクイノックスの上がりを0.2秒上回っただけにスムーズなら際どいレースになっていた。ただしイクイノックスは直線で抜け出してから鞭を一発しか入れておらず、最後はまだ余裕があった。直線で迫れたのはイクイノックスがドバイ遠征明けで絶好調でなかったこともあるのだろう。

前走勝った中山牝馬Sは前半5F60.1秒、後半5F57.8秒。中山芝1800mで前半5F60.1秒以内、後半5F57.8秒以内で勝った馬は、ヴィクトワールピサ(11年中山記念)、ドゥラメンテ(16年中山記念)、スルーセブンシーズ(23年中山牝馬S)の3頭のみ。超一流馬と同レベルの走りをし、ケリ値(地面を蹴って前に進む力)の高さを示したため、穴馬で狙って正解だった。イクイノックスと差のないレースをしたため、登録した凱旋門賞が視野に入るが、距離適性を考慮してエリザベス女王杯に向かう可能性もある。

ジャスティンパレスは12番手の外からメンハー3位タイの35.1秒で上がって0.2秒差の3着。道中イクイノックスを外に出せないように少し前で進め、3、4コーナーで手応えが悪くなったが、最後までいい脚を長く使って3着に入った。これまでとは違う外から追い込むレースで崩れなかったことを評価したい。阪神大賞典で馬体が16キロ増えてパワーアップしたが、さらに地力が強化され、脚質の幅を広げている。ルメール騎手でスルーセブンシーズは3戦3勝、ジャスティンパレスは4戦4勝。ルメール騎手が騎乗したら要注意。

ジェラルディーナは出遅れて14番手を進み、3コーナーから大外を回って押し上げ、直線で先頭に立ったが、そこから伸び切れず0.2秒差の4着。上がりはメンバー7位タイの35.5秒。後方でタメて追い込みに徹した3頭で決着しただけに大外から一気に上がったことが堪えた。ハイペースで展開は向いただけにエリザベス女王杯のようにもう少しタメても良かったか。エリザベス女王杯1着、有馬記念3着はCデムーロ騎手、今回はテン乗りの武豊騎手だった。それでもエリザベス女王杯と同等レベルの走りをしており、力は出している。

ボッケリーニは道中12番手の内を進み、直線で内からメンバー3位タイの35.1秒で上がって0.5秒差の7着。日曜は荒れた内を通った馬の好走が多かったため浜中騎手が内に拘ったが、勝負どころで前に馬がいて仕掛けが遅れ、直線でもブレーキをかけるシーンがあった。ジャパンCで2.0秒差の17着、有馬記念で2.1秒差の11着に終わった馬が0.5秒差の7着。7歳の高齢馬だが、日経賞2着、鳴尾記念1着はダテではなく、地力強化を示した。ラブリーデイの全弟。条件が噛み合えばG1で激走してもおかしくない。

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