ジャパンC
レース回顧

ユニコーンライオンが逃げて前半5F61.1秒のスローペース。後半5Fは58.0秒、ラップは12.1−11.7−11.4−11.3−11.5秒。流れが緩んで各馬一団で進み、ラスト4Fの高速ラップの持続力&瞬発力勝負になり、外国人のトップジョッキーが騎乗した社台馬主の人気馬3頭で決着。

今年のメンバーで芝2400mで後半5F58.0秒以下で勝った馬はヴェラアズールの(ジューンS、57.8秒)、シャフリヤール(ダービー、57.0秒)の2頭しかいなかったが、その2頭のワンツー決着になった。3着ヴェルトライゼンデは芝2000mの鳴尾記念のラスト5Fが57.6秒だった。

ヴェラアズールは内から2列目の中団の馬込みを進み、直線で狭いところ割ってメンバー最速タイの33.7秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは2分23秒7。1コーナーでデアリングタクトに寄られて狭くなる不利があったが、ムーア騎手がそこから狭いところに入って上がって行き、ヴェルトライゼンデの直後につけることができた。寄られて頭を上げた後にすぐに狭いところを通って上がって行ったことが勝因のひとつ。最後の直線では日本人騎手では躊躇するような狭いところをアクセル全開で突っ込んでいる。パドック診断に書いたように勝負根性があり大型馬でも内または馬群に突っ込めるタイプ。これまでのレースぶり、今日の内が有利な馬場傾向を考慮して、ムーア騎手が内をロスなく回って直線で馬群を捌く騎乗で勝利をもぎ取った。

ダートを使っていた馬が芝の長距離を使って[4−0−2−0]。父エイシンフラッシュは東京でダービーと天皇賞(秋)を勝った馬。ジャパンCは8、8、9、10着に終わったが、息子のヴェラアズールがG1初挑戦で制した。芝では6戦全てで最速上がりを繰り出しており、まだ底を見せていない。近親にアヴェンチュラ、フサイチホウオーがいる一族。パドックでは東京芝2400m向きの雄大な馬体が目立ち、いつも通り落ち着いて周回していた。次走は体調に問題がなければ有馬記念に使ってくるか。過去10年の有馬記念で最速上がりを繰り出した馬が1、2番人気なら[4−1−0−0]で連対率100%。競馬ファンとしてはタイトルホルダー、イクイノックス、エフフォーリアとのガチンコ勝負を見てみたい。

シャフリヤールは7枠15番スタートから後方の外を進み、直線で外からメンバー最速タイの33.7秒で追い込んで0.1秒差の2着。1着ヴェラアズール、3着ヴェルトライゼンデ、4着デアリングタクトは内から2列目をロスなく回ってきた馬。シャフリヤールは終始外を回っており、それを考えると強いレースをしている。直線で内に寄れてダノンベルーガの進路を塞いだため、Cデムーロ騎手は11月19日の騎乗停止処分とあわせて合計9日間の騎乗停止処分となった。叩き台の天皇賞(秋)を使ったことで馬体が引き締まってバランスが良くなり、450キロの小柄な馬でも大きく見せていた。藤原英厩舎渾身の本番の仕上げ。結果的に外枠のロスが響いたが、ダービー、ドバイSCを勝った馬が能力と末脚の威力を示した。

ヴェルトライゼンデは2枠3番からスタートを決めて内から2列目の5番手をロスなく進み、直線で内からメンバー4位の34.0秒で抜け出したが、外からヴェラアズール、シャフリヤールに交わされて0.1秒差の3着。レーン騎手が内枠を生かしてロスなく進め、スローペースで持ち前の瞬発力を生かした騎乗をしたが、ヴェラアズール、シャフリヤールが強過ぎた。1着キャロットF、2、3着はサンデーR。社台は1着4億円、2着1億6000万円、3着1億円の合計6億6000万円の賞金を獲得した。ムーア騎手、Cデムーロ騎手、レーン騎手で決着。超一流外国人騎手は馬の能力×1.1〜1.2倍にして予想しないといけない時代か。

デアリングタクトは道中ヴェラアズールの直後を進み、メンバー最速タイの33.7秒で追い込んで0.2秒差の4着。直線で外に出せず内に切り替え、馬群を捌いた後、外から内に切れ込んできたシャフリヤールに前に入られて外に切り替えるロスがあった。1コーナーでマーカンド騎手がヴェラアズールに進路を譲らずにもう1列前につけ、直線で捌ければ際どいレースになっていた可能性がある。オールカマー、エリザベス女王杯で1.0秒差の6着に終わった馬が中1週の厳しいローテーションを克服し、不利がありながら最速上がりで4着に入ったことを評価したい。さすがに無敗の3冠牝馬。馬の勝負根性は衰えていない。復活Vを期待したい。

ダノンベルーガは7枠14番から中団の外を進み、直線で外からメンバー6位タイの34.4秒で上がって先頭に立ちかけたが、ラスト1Fを過ぎると脚色が鈍って0.6秒差の5着。直線で脚色が鈍り始めたところでシャフリヤールに寄られて川田騎手が立ち上がって手綱を引く不利があった。3着とは0.5秒差。不利がなくても3着は厳しかったか。天皇賞(秋)と同様に勝負どころでユーバーレーベン(Mデムーロ騎手)に外からマークされたことで、早めに仕掛けて上がって行ったことが堪えた。勝負どころで少しタメることができれば、もう少し踏ん張れたのではないか。成長力があるハーツクライ産駒。3歳馬がG1を使いながら力をつけている。

グランドグローリーは中団を進み、直線で外からメンバー5位の34.4秒で上がって0.6秒差の6着。直線で前が壁になって外に持ち出すロスがあった。昨年は2分25秒5で走って0.8秒差の5着、今年は2分24秒3で走って0.6秒差の6着。不利がなくてもスローの上がり勝負では日本馬に分があった。

オネストは1枠2番スタートから内ラチ沿いの8番手を進み、メンバー6位タイの34.4秒で上がって0.7秒差の7着。直線で最内を突いたが、前にユニコーンライオンがいて抜け出せず、外に持ち出すロスがあった。ガッシリとした馬体でいかにも海外の重い馬場が合うタイプ。

テュネスは出遅れて後方を進み。大外からメンバー6位タイのの34.4秒で追い込んで1.0秒差の9着。逃げ馬が出遅れて追い込むレースは厳しかった。シムカミルは4番手からメンバー14位の35.2秒で上がって1.6秒差の15着。直線でヴェルトライゼンデに寄られて減速し、最後は流していた。

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