NHKマイルC
レース回顧

ダノンスコーピオンは大外18番枠から7番手につけ、メンバー4位の34.3秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分32秒3。トウシンマカオが飛ばして前半3F34.1秒、5F57.4秒の速い流れ。ジャングロが単騎逃げて流れが緩むとみていたが、武豊騎手が大きく出遅れたことで先行馬が飛ばす展開になり、差し追い込み馬が上位を独占した。ダノンスコーピオンは川田騎手が直線で追い出しを我慢して遅らせたぶん、外から鋭く伸びたマテンロウオリオンを完封することができた。多頭数で内がごちゃつく中、大外枠からスムーズに進められたこともプラスに働いている。川田騎手は今年の重賞[5−4−6−10]で5勝。マイル重賞は[3−0−3−1]で桜花賞をスターズオンアースで勝つなど乗れている。リーディングトップで社台の信頼を得て益々活躍しそうだ。ダノンスコーピオンは共同通信杯で7着に終わった後に春全休と報じられたが、アーリントンC、NHKマイルCを連勝した。人気を下げる新手の手口か。ダノンスコーピオンは安田隆厩舎のロードカナロア産駒。最近の重賞は父キングマンボ系(キングカメハメハ、ドゥラメンテ、ロードカナロア、ルーラーシップ、リオンディーズ)の活躍が目立つので注意したい。

マテンロウオリオンは1枠1番から下げて後方2番手を進み、メンバー最速の33.5秒で大外から追い込んでクビ差の2着。1枠1番で前に行って流れが緩むと切れ負け、後方に控えても届かない可能性があったが、速い流れで前崩れになったことで後方2番手から突っ込めた。土日3重賞は全て速い流れだった。高速馬場で自然と速くなるのもあるのだろうが、流れが緩むことが多い時代だけに大人の事情が働いているのか。マテンロウオリオンは自在性があり、好位づけも追い込むレースもできるタイプ。NHKマイルCで好走した馬はスプリンターになることが多いが、マテンロウレオはマイル路線で活躍できそうだ。

カワキタレブリーは後方からメンバー2位タイの33.8秒で追い込んで0.1秒差の3着。単勝229倍の最低18番人気が3着に激走して3連単153万馬券を演出した。同日のケンタッキーダービーでは現地で最低20番人気のリッチストライクが大外枠から勝って3連単166万馬券。先日、NHKマイルCを17番人気で勝ったピンクカメオが亡くなったが、その時3着は最低18番人気のムラマサノヨートーだった。競馬ではこういう連動が時々起きる。カワキタレブリーはデイリー杯2歳Sで荒れた内を突いてセリフォスの3着に入ったのはダテではないことを示した。デビューから1戦ごとに馬券圏内と着外を繰り返している。菅原騎手は東京で直線一気で突っ込むことが多い。

セリフォスは2枠4番から好位の内につけ、直線で最内を突いてメンバー5位タイの34.6秒で上がって0.3秒差の4着。速い流れでも道中折り合いを欠き、直線では外に出さず、1頭だけ内に入れていた。外に出して叩き合いになれば、もう少し踏ん張れたのではないか。朝日杯FS以来でも馬体の張り、気合乗りが良く、仕上がりは良さそうだった。

インダストリアは中団からメンバー5位タイの34.6秒で上がって0.4秒差の5着。レーン騎手でスムーズなレースができただけに現時点では地力負け。これまで速い流れを経験していない馬が1分32秒7で走って時計を大幅に詰めた。馬体がマッチョ化して短距離にシフトしそうな感がある。今後はレースを使いながら適性を見極めることになりそうだ。

牝馬のステルナティーアは13着、ソネットフレーズは17着。想定より流れが速くなったことで道中脚をタメられなかった。プルパレイは12番手から伸び切れず15着。展開は向いたが、直線で伸びなかった。馬体の仕上がりは良かったが、デビューから休みなく使われた影響が出たか。今後は短距離にシフトしそうだ。

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