ホープフルS
レース回顧

ダノンザキッドは4、5番手の外につけ、メンバー最速タイの36.4秒で外から差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分2秒8。ランドオブリバティが逃げて前半5F61.9秒のスローペース。後半5Fは60.9秒、上がりは36.8秒、ラップは12.0−12.2−12.6秒。流れが緩んで先行した2頭で決着。1〜3着はノーザンファーム生産馬。ダノンザキッドは先行して最速上がりで抜け出す正攻法のレースで3連勝。最後はスパッと切れるというより、大きなストライドでバテながらもジリジリと伸びてきた。ジャスタウェイ産駒はヴェロックスが皐月賞2着に入ったが、ようやくG1初制覇となった。デビューからしばらく安田隆厩舎に所属していた川田騎手は師匠の馬でG1初制覇。インタビューで泣いていた姿が印象的。今年はG1を勝てず不振が続いていたが、先週の阪神JFをグレナディアガーズで制してG1の呪縛が解け、2週連続でG1を制した。ダノンザキッドは雄大な馬体は目立つが、来年のクラシックに向けてまだ色々と課題がある。年が明けてひと皮むけないと厳しくなる可能性もある。

オーソクレースは1枠1番スタートから3番手につけ、メンバー7位の36.7秒で伸びて0.2秒差の2着。4コーナーでランドオブリバティが外に逸走したことに驚いて馬がブレーキをかけ、それによって外に膨れて減速したことが堪えている。そこから荒れた内を通って伸びてきたが、ロスが少なかったダノンザキッドに差し切られた。スムーズならダノンザキッドと際どいレースになったのではないか。1月生まれでもまだ馬体に幼さがあるが、母マリアライトから心肺機能の高さを受け継いでいる。奥手の一族で本格化は古馬になってからかもしれないが、能力に馬体が追いつけばクラシックに間に合うかもしれない。久保田調教師の仕上げに期待したい。朝日杯FS、ホープフルSを見る限り、来年の牡馬クラシックは相馬眼的に牝馬のサトノレイナスで足りる可能性がある。国枝調教師の判断に注目したい。

ヨーホーレイクは出遅れて中団の後ろを進み、メンバー最速タイの36.4秒で伸びて0.3秒差の3着。外からしぶとく伸びてきたが、位置取りが後ろになったぶん届かなかった。今年の芝重賞で武豊騎手は4コーナー7番手以下では[1−0−1−28]で1着は毎日杯(稍重)のサトノインプレッサ。5番人気以内では[1−0−1−17]で連対率5.3%。良馬場では[0−0−1−21]で今回の3着があるのみ。裏データファイルに書いたように武豊騎手は追って味がなくなっている点に注意したい。競馬界のレジェンド。来年の重賞ではガツンと直線一気を決めてくれるのではないか。社台が乗せてくれれば、デゼルが中山牝馬S、福島牝馬Sあたりで直線一気があるはずだ。

ランドオブリバティはハナを切ってスローペースで進めたが、4コーナーを曲がり切れずに外に逸走して競走中止。馬は異状なし、三浦騎手は左胸部打撲と診断された。ランドオブリバティは立て直すのが難しそうだが、鹿戸調教師の手腕に期待したい。三浦騎手は2番人気に支持され、G1初制覇が期待されたが残念なことになってしまった。13年以降、三浦騎手は毎年重賞1勝が続いている。カペラSではダンシングプリンス(2人気)で逃げずに0.1秒差の3着。壁を乗り越えるには、馬の持ち味を生かし切る思い切った騎乗が必要なのではないか。ちなみにダンシングプリンスは相馬眼的にJBCスプリント(21年は金沢ダ1400m)を狙える素材。距離を1F持たせる技術が必要になる。

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