天皇賞(秋)
レース回顧

アーモンドアイは1枠スタートから内ラチ沿いの5番手につけ、直線で最内を突いてメンバー2位の33.8秒でアッという間に抜け出し3馬身差で圧勝した。勝ちタイムはレコードに0.1秒差の1分56秒2。アエロリットが逃げて前半3F35.7秒、5F59.0秒。後半5F57.2秒、上がりは34.3秒でラップは11.1−11.3−11.9秒。2F目から最後まで11秒台のラップが続く、スピードと持続力が問われるレースになった。アーモンドアイは直線で前が壁になって仕方なく内を突いたが、そこから一頭だけ次元の違う末脚であっさり抜け出して2着に3馬身差をつけた。最後まで脚色は衰えておらず、レース後は息が上がっていなかった。これだけ走っても馬はまだ全力で走っていない。2、3着ダノンプレミアム、アエロリットは1分56秒7で走っており、例年なら勝ってもおかしくないレベル。歴史的名馬ディープインパクトでもアーモンドアイに勝てなかったのではないか。そのレベルに到達している。これでG1では[6−0−1−0]で6勝目。今回は休み明けでまだ上がある仕上げでこの強さ。完全に本格化したらどのレベルに到達するのか本当に楽しみだ。次走は未定だが、ジャパンCまたは香港カップになりそうだ。

ダノンプレミアムは5番手からメンバー7位の34.5秒で早めに抜け出したが、内からアーモンドアイに交わされて0.5秒差の2着。最後は差し返してきたアエロリットをクビ差完封した。好位から抜け出す自分のレースをして力を出し切ったが、勝ったアーモンドアイが強過ぎた。ダノンプレミアムは直線で苦しがって外に寄れたが、アーモンドアイは最後まで脚色が衰えず、涼しい顔で走っていた。まじまじと能力の違いを見せつけられた印象。それでも休み明けで1分56秒7で走って2着を確保したことを評価したい。絶対能力が高く、古馬G1を勝てる力を持っている。次走はアーモンドアイの動向を見ながら、マイルCS、香港マイル、香港カップのいずれかになりそうだ。

アエロリットはハナを切って前半5F59.0秒で進み、メンバー10位タイの34.8秒でまとめて0.5秒差の3着。後半5Fを57.7秒で走っており、自分の力は出している。毎日王冠ではインディチャンプを差し返して2着に入ったが、今回はもう少しでダノンプレミアムを差し返すところだった。直線で交わされても最後までしぶとく差し返そうとするのだから大したもの。競走馬に最も必要なものを備えている。休み明けをひと叩きされたことでパドックでは馬体、気配とも目立っていた。これで東京の牡馬混合戦では[3−3−1−0]。牡馬の一線級を相手にこの成績は大したもの。今後は放牧に出してひと息入れる予定。

ユーキャンスマイルは後方からメンバー最速の33.7秒で追い込んで0.6秒差の4着。直線で外に持ち出すとグングン伸びて2着に0.1秒差の4着まで追い上げた。息が入らない流れで後方からのレースになり届かなかったが、アーモンドアイを0.1秒上回る最速上がりを繰り出したことを評価したい。父キングカメハメハ産、母の父ダンスインザダークでスタミナと切れ味を兼ね備えた馬。次走はジャパンC。距離が延びるのは大きなプラス。流れやコース取りが嵌まると馬券圏内があるかもしれない。

ワグネリアンは中団の後ろからメンバー3位の34.0秒で伸びて0.6秒差の5着。最後にユーキャンスマイルに外から交わされたのは物足りないが、最近はガツンと切れないだけにもう少し前で進められればもっとやれたかもしれない。東京芝2000mはコースロスがある外枠は不利。外枠をこなせる馬だが、ここまで時計が速くなると厳しかった。次走は未定だが、デキが落ちなければジャパンCか。

サートゥルナーリアは3番手から伸び切れず0.9秒差の6着。上がりはメンバー12位の34.8秒。出遅れた後にスミヨン騎手が押して3番手につけたが、道中少し力みながら走っていた。スミヨン騎手は力んでいたことが一番の敗因とコメント。上がり勝負には強いタイプだが、道中ラップが落ちず持続力が問われるレースになって経験の差が出たか。毎日王冠ではダノンキングリーがアエロリットに勝っている。今年の3歳馬は相馬眼的に評価できるダノンキングリーを除くとレベルが高くない可能性がある。

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