天皇賞(春)
レース回顧

フィエールマンは中団から徐々に進出し、4コーナー先頭からメンバー2位の34.5秒で上がってグローリーヴェイズとの叩き合いをクビ差で制した。勝ちタイムは3分15秒0。ヴォージュが逃げて前半5F59.8秒。中盤に13.8−13.3と流れが緩んで後半5F58.5秒、ラスト4F11.7−11.6−11.0−11.9秒の高速ラップ。横山典騎手のロードヴァンドールが社台に忖度したのか阪神大賞典のように途中からハナに行かず流れが緩み、結果的に上がり勝負になった。それでも菊花賞よりはタフな流れでスタミナが問われている。フィエールマンは外を回って自分から動いて勝ちに行き、3着に6馬身差をつけた。やはり今年は例年よりメンバーレベルが低かったのではないか。まだキャリア6戦でこれから馬体がさらに成長すればもっと強くなる。ディープインパクト産駒、ルメール騎手は天皇賞(春)初制覇で平成最後に八大競走完全制覇になった。フィエールマンの6戦目での天皇賞(春)制覇はこれまでの9戦を上回る史上最速記録。今後は未定だが、凱旋門賞に挑戦するかどうかは、サートゥルナーリアのダービー次第か。社台は有力馬が揃っており使い分けが難しい状態が続いている。ルメール騎手はドバイターフ、桜花賞、皐月賞、天皇賞(春)と社台の馬でG1を4連勝。今年はJRAが社台の有力馬を馬場、枠順で完全サポートしている。今後も社台の1番人気の近くにいる馬(馬場に恵まれる)に注意したい。今回8番人気で3着のパフォーマプロミスはフィエールマンの2つ内だった。

グローリーヴェイズは中団の後ろから外を回って徐々に進出し、メンバー最速の34.、4秒で上がってクビ差の2着。直線で手応えが良く、フィエールマンを差し切る勢いがあり、上がりは0.1秒上回ったが、直線でフィエールマンにひと伸びされて抜かせなかった。これがG1馬の底力なのだろう。グローリーヴェイズは母系にメジロがいる長距離血統。456キロの小柄な馬が58キロを背負ってよく走っている。上がり勝負になり、ディープインパクト産駒のワンツー決着になった。戸崎騎手は関西圏のG1で牡馬に騎乗すると[0−1−0−25]で今回初めて連対した。重賞では駄乗が目立ち、技術レベルが低い。そのうち淘汰されそうだ。

パフォーマプロミスは6番手からメンバー3位タイの35.2秒でしぶとく伸びて1.0秒差の3着。直線でエタリオウに交わされたが、エタリオウが交わしたことで満足したのか、そこから伸びず、差し返すことができた。休み明け&良馬場では[3−1−1−0]、テン乗り騎手で芝2400m以上&良馬場では[2−1−0−0]と激走の条件が揃っていた。57キロ以上は[1−0−1−6]、56キロ以下では[6−1−1−0]。58キロを背負ったことで人気がなかったが、馬場が良ければこなせるようだ。レース後に右橈骨遠位端骨折が判明。7歳馬だけにこのまま引退の可能性もありそうだ。

エタリオウは離れた最後方からメンバー3位タイの35.2秒で伸びて3着にクビ差の4着。3コーナーから一気に脚を使って4コーナーでひと息入れたが、そこから伸び切れなかった。日経賞は中団から早めに上がるレースをしただけに2番枠ならもっと違ったレースができたはずだが、Mデムーロ騎手は最後方からのレースを選択。社台のフィエールマンを負かさない乗り方だったのか。それにしても不可解な乗り方だった。次走は宝塚記念に向かう予定。過去10年の宝塚記念でステイゴールド産駒は[5−0−0−9]で5勝。宝塚記念でG1初制覇を挙げる馬が多い。

ユーキャンスマイルは後方から上がってきたが、直線で伸び切れず5着。上がりはメンバー5位の35.5秒。直線で内にモタれて伸び切れなかった。まだ右回りには課題があるようだ。岩田騎手だけに内を突く手もあったが、大外をブン回していた。スタミナがあり、左回りが合うタイプ。来年のダイヤモンドSで注意したい。

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