秋華賞
レース回顧

アーモンドアイは中団の後ろを進み、直線に向いたときは逃げたミッキーチャームとかなり差があったが、メンバー最速の33.6秒で豪快に差し切って3冠を達成した。勝ちタイムは1分58秒5。ミッキーチャームが逃げて前半5F59.6秒、後半5F58.9秒。前半3F目に12.7秒に落としてラスト6Fが全て11秒台。前に行く馬が揃っていたが、ミッキーチャームが単騎マイペースで逃げる展開になった。アーモンドアイは並の馬では届かない位置から一頭だけ次元の違う末脚で差し切って優勝。休み明けで馬体が14キロ増えて余裕残しの仕上げだったが、能力と末脚の威力で捻じ伏せた。デビューから全て最速上がりを繰り出している。3冠馬ジェンティルドンナも強かったが、アーモンドアイはジェンティルドンナを超える可能性がある。まさにスーパーホース。次走はジャパンCに向かう予定。ジェンティルドンナは3歳時のジャパンCでオルフェーヴルとの壮絶な叩き合いを制して勝っている。古馬の一線級を相手にどんなレースを見せてくれるのか楽しみだ。

ミッキーチャームは前半5F59.6秒で逃げて直線で後続を引き離したが、最後にアーモンドアイに差されて0.2秒差の2着。5F目からラスト2F目まで11秒台のラップを刻んで後続を脚を使わさせ粘り込んだ。川田騎手が前半のラップを落とすことに成功し、単騎マイペースで隊列が縦長になる理想的な展開に持ち込んだことが大きかった。前走藻岩山特別でクイーンS(ディアドラ)に0.3秒差のタイムで走ったことはダテではない。良馬場で行われた10年以降の秋華賞で11番より外枠から連対した馬は、15番アパパネ、14番ジェンティルドンナ、16番メイショウマンボ、18番ミッキークイーンで4頭ともオークス馬で秋華賞を勝っている。京都芝2000mの秋華賞で外枠を克服するは難しいが、今年は11番のアーモンドアイが勝ち、13番のミッキーチャームが2着。前走1000万条件を勝ったミッキーチャームが外枠を克服したのは注目に値する。馬体のバランスが良く、心肺機能が高そうな馬。これからさらに化ける可能性があるので注意したい。

カンタービレは後方からメンバー3位の33.9秒で追い込んで0.4秒差の3着。1枠を生かせず後方からのレースになったが、33秒台で上がって3着を確保。スタートが少し遅かったこともあるが、武豊騎手は前に行く気はなく後方からのレースを先着。メンバー的に流れが速くなるとみていたのではないか。道中はアーモンドアイを内からマークして内に入れさせないように騎乗していた。流れが緩んだことを考えると前走のように先行していれば連対できたかもしれない。武豊騎手はアーモンドアイをマークして簡単には勝たせないという乗り方。1番人気にプレッシャーをかけた騎手は、その後の重賞で激走することが多いので注意したい。カンタービレは距離をこなし、後方から33秒台で上がったことを評価。今後も中距離なら安定して走りそうだ。

サラキアは内枠スタートから中団の内を進み、メンバー5位タイの34.6秒で伸びて0.5秒差の4着。出遅れた後に上手くカバーして中団の内をロスなく進み、直線で外に持ち出したが、いつもほど切れる脚を使えなかった。池添騎手は「現状では2000mは微妙に長い」とコメント。まだ馬体に華奢な部分が残っており、成長の余地がある。今後は芝1800m以下を使っていくことになりそうだ。

プリモシーンは出遅れて最後方からメンバー2位の33.8秒で伸びて0.6秒差の7着。位置取りが後ろ過ぎたが、直線で馬群を捌きながら最後までしっかり伸びていた。北村宏騎手はG1で後方からのレースになって脚を余すことが多い。この走りなら距離のメドは立った。外国人騎手が騎乗すればG1でやれるのではないか。相馬眼的に末脚の威力はアーモンドアイに近いものがある。次走はマイルCSの可能性が高そうだが、ジャパンCに出走してきたら注意したい。

ラッキーライラックは6番手につけたが、直線で伸び切れず0.8秒差の9着。上がりはメンバー9位の34.8秒。阪神JF1着、桜花賞2着、オークス3着に入った馬が不甲斐ない内容だった。距離、小回りコースが影響したのではなく、前哨戦のローズSを使えなかったように状態面に何らかの問題があったのではないか。馬体が18キロ増えて春より立派に映ったが、多めが残っていたのではないか。

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