NHKマイルC
レース回顧

ケイアイノーテックは出遅れて後方2番手からメンバー最速の33.7秒で大外から差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分32秒8。テトラドラクマが逃げて前半3F34.4秒、5F58.0秒、後半3F34.8秒でラップは11.3−11.5−12.0秒。例年並みの流れで前半より後半の3Fが掛かる少しタフなレースになった。ケイアイノーテックは4コーナー手前から藤岡佑騎手が早めに仕掛けて持ち味の末脚の持続力をフルに発揮。前に行った馬が早めにテトラドラクマを潰してラスト1Fのラップが落ちたことも味方した。直線が短いコースのこぶし賞とニュージーランドTでは2着に負けたが、3走前の阪神外回りの500万条件では大外から差し切って4馬身差で圧勝。やはり直線が長いコースが合っている。母ケイアイガーベラは心肺機能が高かった。タフなレースで持ち前の心肺機能の高さを生かせたのだろう。藤岡佑騎手は土曜に京都新聞杯をステイフーリッシュで制しており土日重賞制覇。G1は86戦目にして初制覇となった。今後は休養して秋は毎日王冠で復帰することになりそうだ。

ギベオンは好位から馬群を割ってメンバー5位の34.5秒で先に抜け出したが、最後にケイアイノーテックに交わされてクビ差の2着。Mデムーロ騎手が流れに乗って上手く乗ったが、相手の末脚の持続力と威力に屈した形。NHKマイルCはタフなレースになると1600mよりも長い距離で実績のある馬が激走する傾向があるが、その通りの結果になった。マイル路線は中距離路線よりもメンバーレベルが低いこともあるのだろう。ギベオンはフリージア賞を勝ち、毎日杯2着。本来なら皐月賞を使うが、陣営はマイルの高速決着に対応できるスピードがあるとみてNHKマイルCを選択。仕上げが上手いのはもちろんだが、適性を考慮した選択が今年の好調子につながっているのだろう。賞金を加算できたため、状態面が整えばダービーに挑戦することになりそうだ。

レッドヴェイロンは中団の外からメンバー3位の34.1秒で伸びて2着に頭差の3着。今乗れている岩田騎手がガツンと追って外から持ってきた。右回りで右手前で走る馬で左回りは向くとみていたが、外枠からロスのあるレースをして最後に切れる脚を使った。内を通った馬はごちゃついて脚を余しただけに結果的に外枠は不利ではなかった。リディル、クラレント、レッドアリオン、レッドアヴァンセの半弟。勝ち上がるのに5戦を要したが、その後重賞で3、3着に善戦したのは血統がなせる業か。一戦ごとにパフォーマンスを引き上げており、秋が楽しみになった。

ミスターメロディは2番手からメンバー7位の34.9秒で早めに先頭に立って見せ場を作ったが、最後に一杯になって0.2秒差の4着。藤原英厩舎は2頭出し。逃げたテトラドラクマを潰して、結果的にギベオンのアシストをした形になったが、積極的なレースをして最後までしぶとく踏ん張っている。前走も今回も道中少し掛かっていた。折り合いがつけば、もっと切れる脚を使えるのではないか。芝1600mをこなしたが、本質的には1400m以下が合っている。

プリモシーンは出遅れて後方を進み、直線で前が壁になって大きく外に持ち出したが、そこでケイアイノーテックに外から被せられ、ようやくスペースを見つけて追い出して鋭く伸びたが、最後に前の2頭の間で狭くって0.2秒差の5着。出遅れ、直線で前が壁、外から被せられ、最後に狭くなるという全てにおいてスムーズさを欠いた。それでも直線で鋭く伸びて0.2秒差の5着まで追い上げたように、まともならあっさり勝っていたのではないか。未勝利戦で出遅れて大外をブン回していい脚を長く使ってテトラドラクマに勝ったが、そのときだけ北村宏騎手が騎乗していた。東京でいい脚を長く使えることが分かっていれば、出遅れた後に外に出す選択はできたはず。戸崎騎手は自分が騎乗しなかった未勝利戦を見ていないのではあいか。桜花賞に続き、出遅れてスムーズさを欠き、全く力を出せずに終わった。

タワーオブロンドンはスタートで躓いて内ラチ沿いの中団後ろを進み、直線で前に入られて大きくブレーキを掛ける不利があり1.0秒差の12着。出遅れて直線でも不利があってまともに走っていない。次走は英国遠征か、安田記念になる予定。ゴドルフィンだけに英国遠征が有力か。

テトラドラクマはハナを切って前半5F58.0秒で進めたが、直線入り口で早めに来られて直線で一杯になり14着。クイーンCが1分33秒7、今回が1分33秒9。今の高速馬場なら1分32秒台で走れそうだが、休み明けで馬体が4キロ減って少し腹目が細くなっていた。G1で実績のない厩舎。仕上げ過ぎたか。

[Home]