大阪杯
レース回顧

スワーヴリチャードはスタートが遅く後方2番手を進み、向こう正面で外から一気に上がって3コーナーで先頭に立ち、メンバー5位の34.1秒でまとめてレースを制した。勝ちタイムは1分58秒2。今年活躍が目立つ4歳馬が3着まで独占した。ヤマカツライデンが逃げて前半5F61.1秒のスローペース。後半5Fは57.1秒でラップは11,8−11.2−11.1−11.4−11.6秒。中盤からペースアップして高速ラップの持続力が問われるレースになった。スワーヴリチャードは道中ある程度ロスなく回り、向こう正面で外から上がって早め先頭から押し切って快勝。スローペースで早めに外から速く動くと切れ負けすることが多いが、最後まで11秒台のラップでまとめて押し切ったのだから強い。Mデムーロ騎手の思い切ったレースが嵌まったと言えなくもないが、能力がないとこんなレースはできない。今回のメンバーでは能力が抜けていたのではないか。直線では手前を替えており、内ラチ沿いにつけたことでヨレることもなかった。日本人騎手は無難に乗るが、外国人騎手はリスクを冒して勝ちに行く。Mデムーロ、ルメール騎手に対抗できるのは、日本人騎手では絶好調時の武豊騎手(+現役時代のアンカツ)だけなのではないか。スワーヴリチャード、庄野調教師ともG1初制覇。次走は宝塚記念に向かう予定。ダービーで負けたレイデオロとの対決が楽しみだ。

ペルシアンナイトは中団の内を進み、直線で馬群を捌いてメンバー最速タイの33.7秒で伸びて0.1秒差の2着。1コーナーから向こう正面にかけて緩い流れで頭を上げて行きたがり折り合いを欠いていた。直線では上手く捌いてきたが、福永騎手は重賞で前半に折り合いを欠いたり、スムーズさを欠くことが多い。そのせいで2、3着が多いのだろう。ペルシアンナイトは昨年の皐月賞で内から捲ってメンバー3位の34.1秒で伸びて1分57秒8で走り、アルアインにクビ差の2着に入ったが、前走中山記念で5着に終わり、距離1F延長、Mデムーロ騎手から福永騎手に替わったことで6番人気の低評価だった。前半から速い流れでスタミナが問われると良くないが、スローペースになったことで持ち前のスピードを生かせたのだろう。今年の重賞は昨年の皐月賞で上位に入線した馬の活躍が目立っている。今後は安田記念から状態面、馬場次第(梅雨の時期)で宝塚記念に向かうことになりそうだ。

アルアインは中団の馬込みを進み、メンバー3位タイの34.0秒で内から伸びて0.2秒差の3着。直線で内から伸びかけたが、スワーヴリチャードに並びかけるところまで行かなかった。ロスなく回ってきただけにスワーヴリチャードには力負け。ディープインパクト産駒でも切れより地力タイプだけに流れが緩んだことがマイナスに働いている。昨年の皐月賞を1分57秒8のレコードで同タイムで勝ったが、前半5Fは59.0秒、後半5Fは58.8秒だった。昨年の皐月賞以降5戦して勝ち星がないが、前半5Fは全て61秒以上。流れが速くなって地力&体力が問われるレースになると一変するのではないか。次走は香港で行われるクイーンエリザベス2世Cに向かう予定。時計の出る馬場である程度流れれば復活Vがありそうだ。

ヤマカツエースは後方からメンバー最速の33.7秒で追い込んで0.4秒差の4着。外から捲られて位置取りが悪くなったが、池添騎手が直線で馬群を捌いて4着まで持ってきた。結果的に内枠がアダになったが、最速上がりを繰り出して6歳馬でも衰えがないことを示した。前走金鯱賞は不甲斐なかったが、G1を勝つために余裕残しの仕上げで叩き台だったのだろう。今回は馬体が4キロ絞れて仕上げが進んでいた。次走は招待されればクイーンエリザベス2世Cに向かうことになりそうだ。

ミッキースワローは後方から外を回ってメンバー3位タイの34.0秒で追い込んで0.5秒差の5着。スローペースで後半5F57.1秒という展開で外を回って後方から追い込む形では厳しかった。長距離輸送が影響したのか、馬体が10キロ減っていた。パドックではそのぶんボリューム感が薄れていた。次走は天皇賞(春)。昨年の菊花賞は6着に終わったが、不良の極悪馬場だった。これまで関西圏で馬券圏内がなく、連対があるのは中山と福島だけ。そのあたりが気になるが、高速馬場で内枠と条件が揃ったら注意したい。

サトノダイヤモンドは内ラチ沿いの好位につけたが、外から捲られて位置取りが悪くなり、直線でもスムーズさを欠き1.0秒の7着。国内では複勝率100%だったが、初めて着外に終わった。ひと叩きされて仕上げは進んでいた。内枠がアダになったが、道中折り合いを欠いたペルシアンナイトが2着に来たように戸崎騎手の立ち回りの問題か。大きなレースで人気馬に騎乗すると高確率でパフォーマンスを下げることが多い。08年以降、戸崎騎手は芝G1で牡馬に騎乗したときは[1−1−0−48]で連対率4.0%。唯一勝ったのは11年安田記念のリアルインパクト。この条件でJRA騎手になってからは勝っていないのである。5番人気以内では[0−0−0−13]。連対しない人気馬が分かると馬券は当てやすくなる。こういうことを書くと「闇の力」が働いて一変することが多い。その点はご注意を。

[Home]