根岸S
レース回顧

モーニンは外枠スタートから3番手に押し上げ、メンバー3位の35.4秒で差し切って重賞初制覇。勝ちタイムは1分22秒0(稍重)。シゲルカガが逃げて前半3F34.6秒、5F58.3秒。4、5F目に11.8−11.9秒とラップが落ちたことで上がりが速くなり、前に行った馬が有利になった。モーニンはスタートは遅かったが、押して好位に取りつき、外を回って自分から動いて勝ちに行き、直線では追い出しを待つ余裕があった。前走武蔵野Sではスムーズさを欠いたが、今回は外枠からスムーズに進められたことも良かったのだろう。休み明けでも最終調教で抜群の動きを見せ、パドックでは馬体の張り、気配とも目立っていた。武蔵野Sはハイペースになった秋嶺S(良馬場で前半3F33.8秒)を勝って中2週で再度東京への輸送があり、少し調子を落としていたのではないか。次走は中2週でフェブラリーS。根岸Sは秋嶺Sほどタフなレースにならなかったことで多少は余力を残せたか。石坂厩舎はモーニンとベストウォーリアの2頭出し(同馬主)。どちらに騎乗するかは未定だが、陣営はMデムーロ騎手を確保している。

タールタンは6番手を進み、メンバー2位の35.1秒で伸びて半馬身差の2着。モーニンを前に見ながら進め、直線で少し外に出してスペースを確保し鋭く伸びてきた。スタートを決めて好位に取りつき、スムーズなレースができた。これで東京芝1400mは[2−3−1−2]で4着以内を確保。重馬場で1分21秒9で圧勝したように脚抜きのいい馬場で高速決着に対応できるタイプ。稍重で例年より時計、上がりが速くなったことが適性にマッチしたのだろう。同じタピット産駒のテスタマッタも脚抜きのいい馬場を得意にしていた。今年8歳になったが、初めて重賞で連対した。01年に根岸Sがダ1400mに変更されてから初めて8歳馬が連対したが、今年は4、5歳馬にダート重賞で連対がある馬がシゲルカガ(北海道スプリントC)しかいなかった。8歳になってかなり白くながったが、まだ大きな衰えはない。外国人騎手では[2−4−0−0]で連対率100%。外国人騎手が騎乗したときは特に注意したい。

グレープブランデーは1枠スタートから好位につけ、メンバー9位の35.7秒でしぶとく伸びて0.4秒差の3着。前の2頭には離されたが、勝ち馬より3キロ、2着馬より2キロ重い58キロを背負っていたことを考慮したい。13年のフェブラリーS勝ち馬が久々に地力のあるところを見せた。ダ1400mがベストの馬ではないが、昨年のプロキオンS(大外16番枠)で1分23秒1で走って0.6秒差の5着。稍重の脚抜きのいい馬場で1枠からロスなく進めば、1分22秒台の決着にも対応できるということなのだろう。次走はフェブラリーS。距離1F延長はプラスに働く。昨年のフェブラリーSは0.3秒差の4着。今年はメンバーレベルが高くならない可能性がある。ヴェロン騎手でまた内枠を入るようなら少し注意したい。

タガノトネールは2番手から伸び切れず0.6秒差の4着。最後までバテずにしぶとく伸びていたが、脚抜きのいい馬場で上がりが速くなり、切れ負けした形。切れより地力タイプのため、もっと速い流れで後続に脚を使わせるレースが合っているが、次に本番が控えており、田辺騎手がテン乗りだっただけに仕方ない面もある。休み明けでもバドックでは集中していたが、馬体は少し地味に映った。心肺機能が高い馬でレースを使いながら調子を上げるタイプ。次走のフェブラリーSは叩いた上積みがあれば粘りが増しそうだ。14年のフェブラリーSで田辺騎手は最低人気のコパノリッキーで逃げ切っている。

アンズチャンは最後方からメンバー最速の34.4秒で追い込んで0.8秒差の5着。レースの上がりを1.2秒上回る強烈な末脚を繰り出したが、それでも届かなかった。東京ダ1400mでは1分23秒3(重)が最速タイムだったが、それを0.5秒上回った。現時点では展開の助けが必要だが、重賞で通用するメドはある程度立ったのではないか。

プロトコルは中団から伸び切れず0.9秒差の6着。柴田大騎手は早めに仕掛けて前を追ったが、脚抜きのいい馬場で上がりが速くなり、差が詰まらなかった。直線で内からマルカフリートに来られてぶつかり、バランスを崩したことも少し堪えている。それでも最後までバテずに伸びており、心肺機能の高さを感じさせた。東京ダ1600mの良馬場で見直したい。

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