宝塚記念
レース回顧

ナカヤマフェスタは外枠スタートから中団の外を進み、3、4コーナーで徐々に進出し直線入り口で6番手。直線で外からメンバー最速の35.9秒で伸び、最後は内から伸びたブエナビスタを差し切ってレースを制した。雨の影響が残った緩い馬場で前半5F60.0秒、後半5F60.7秒でスタミナ&地力が問われる流れ。この日は馬場の内側が荒れており、外を通った馬が伸びていた。ナカヤマフェスタは外枠スタートから馬場のいい外を通ってスムーズな競馬ができたことが良かったのだろう。ブエナビスタとアーネストリーは馬場の荒れた内を通って最後に伸びあぐねた。芝2200m、8枠17番というのは、昨年のセントライト記念を勝ったときと同じ。セントライト記念と同様に外を回っていい脚を長く使った。揉まれると良くないタイプだけに距離ロスがあっても外を回った方がいいようだ。走れるかどうかはレース当日の精神状態による部分があるようだが、パドックではイレ込んでおらず、ひと叩きされたことで馬体が引き締まり、後肢の踏み込みが力強くなっていた。これはと思わせる仕上がり。栗東入りを選択した陣営が上手く仕上げていた。450キロでデビューした馬が466キロにパワーアップ。今年になって体に実が入り、馬の雰囲気が良くなっている。ブエナビスタに勝ったことは、今後に向けて大きな自信になるのではないか。4歳牡馬は重賞で不振が続いていたが、ナカヤマフェスタが一歩抜け出した。秋は凱旋門賞に挑戦する予定。二ノ宮調教師は1999年にエルコンドルパサーで2着がある。エルコンドルパサーのときのノウハウを生かして頑張ってもらいたい。

ブエナビスタは内ラチ沿いの好位を進み、直線でアーネストリーとの叩き合いを制したが、外からナカヤマフェスタに差されて半馬身差の2着。アーネストリーを徹底マークして直線で交わせば勝てるといった横山典騎手の騎乗。横山典騎手の思惑通り、直線でアーネストリーを交わしたが、馬場の荒れた内を通ったこともあり、最後は脚が鈍った。先頭に立ったことで気を抜いたこともあるのだろう。調教でも並ぶと抜かせないが、交わすと気を抜いてフワッとすることが多い。ナカヤマフェスタと馬体を併せて叩き合いになっていれば結果は違ったかもしれないが、今回は外を回っていい脚を長く使ったナカヤマフェスタを褒めるべきだろう。パドックでは前走から馬体が12キロ増えたことで全体的に実の入りが良くなっていた。いつも通り落ち着き十分で全く無駄な仕草がなかった。ドバイ遠征を含め、厳しいローテーションだったが、ヴィクトリアMを使ってきっちり調子を上げてきたことを評価したい。小柄な牝馬だが、精神面を含め、強靭なものがある。まだ牡馬混合G1を勝っていないが、身体能力は牡馬以上。今回はナカヤマフェスタに負けたが、現時点で現役最強馬という評価は変わらない。秋は天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念と王道を進んで年度代表馬になれる馬。来年は現3歳牡馬が席巻する可能性があることを付け加えておく。

アーネストリーは2番手を進み、直線で早めに先頭に立ったが、最後は外からナカヤマフェスタ、内からブエナビスタに交わされて0.2秒差の3着。正攻法の競馬で力を出し切ったが、現時点ではブエナビスタの方が一枚上だった。それでもG1初挑戦でこれだけ走れれば、今後の目処は立った。パドックでは、ひと叩きされたことで馬体引き締まり、若干気配が上向いていた。先行していい脚を長く使えるのは大きな武器。5歳になってようやく厩舎の先輩タップダンスシチーに近づいた。今後は札幌記念から天皇賞(秋)を目指す予定。中日新聞杯を1分57秒4で勝ったように高速決着にも対応できるタイプ。もう少し地力を強化できればG1を勝つレベルに到達しそうだが、ブエナビスタに勝つには馬場、展開など何らかのアドバンテージが欲しい。

ドリームジャーニーは後方からメンバー2位タイの35.9秒で外から追い込んできたが0.3秒差の4着。スタートで外に寄れたが、大きな影響はなし。馬場が乾いて外が伸びる状態になったことは良かったが、最後までガツンと伸びるところがなかった。右前肢球節炎が再発しないようにいつもと違う坂路追いで仕上げたことが影響しているのだろう。パドックを見る限り、昨年の宝塚記念、有馬記念のデキはなかった。今年の競馬を盛り上げないといけない馬。有馬記念連覇に向けて万全の状態で出走したもらいたい。

ネヴァブションは中団の内を進み、直線で内からしぶとく伸びて0.5秒差の5着。内枠スタートから道中内をロスなく回ってくるのが好走パターン。その通りの競馬をしたが、直線で伸び切れなかった。それでもこれまでG1では全く通用しなかった馬が、2戦連続G1で掲示板を確保。7歳になっても衰えはなく、安定して力を出せるようになってきている。中山が合うため、オールカマーに出走したら注目したい。

ジャガーメイルはブエナビスタを前に見ながら押して中団につけたが、直線で伸び切れず8着に終わった。ブエナビスタをマークして急かしたことで馬が自分のペースで走れなかったことが影響したのではないか。緩い馬場も微妙に応えたか。スローペースでラスト4Fを高速ラップでまとめることを得意にしている馬。緩い馬場、平均ペースで持ち味を生かせなかった。秋はメルボルンCに挑戦するプランがあるようだ。

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