函館記念
2025/6/29 函館競馬場 芝2000m

レース展望

サマー2000シリーズの第1戦。過去10年で1番人気は[2−1−0−7]で3連対。55キロ以下は[0−0−0−3]、57.5キロ以上は[0−0−0−3]だが、56キロは[2−1−0−1]で堅実。2番人気は[1−0−1−8]で1連対、3番人気は[3−0−2−5]で3連対。6〜9番人気が3連対、10番人気以下が6連対。8年で8番人気以下が連対している。過去5年の馬連は1316倍、76倍、46倍、25倍、43倍で荒れている。過去2年は1−4番人気、3−4番人気で決着。上位人気馬でも中穴になる。

トップハンデは[0−1−0−9]で7番人気の1連対のみ。3番人気以内は[0−0−0−4]で不振。重賞実績馬は人気になるが過信禁物。唯一連対した馬は7歳馬だった。4〜6歳馬は[0−0−0−4]で不振が続いている。年齢別では3歳[0−0−1−1]、4歳[3−2−2−20]、5歳[2−1−4−37]、6歳[4−4−3−38]、7歳以上[1−3−0−33]で高齢馬が活躍している。6番人気以下で連対した10頭のうち6頭が6、7歳馬だった。穴でローカル重賞実績がある6、7歳の高齢馬に注意。

マコトヴェリーキーは2走前の京都記念で3番手から6位の34.7秒で上がってヨーホーレイクに0.2秒差の3着。前走阪神大賞典は2番手から2周目の3コーナーで先頭に立つと5位の36.1秒で上がってサンライズアースに1.0秒差の2着。オルフェーヴル産駒が長距離適性を示したが、芝2000mは[2−0−0−2]、芝2200mは[2−2−2−1]で中距離を得意にしている。北海道の洋芝は初めてになるが、母マコトブリジャールはクイーンS勝ち馬。ハンデは57キロ。北村友騎手で重賞初制覇なるか。

ハヤテノフクノスケは鶴舞特別(2勝C)を2分12秒1で4馬身差で圧勝、阪神競馬場リニューアルオープン記念(3勝C)を3分2秒9で5馬身差で圧勝。天皇賞(春)は好位から失速して3.5秒差の11着。菊花賞に続き、長距離戦で惨敗した。芝2000mは[2−2−0−1]で北海道では札幌の1勝Cを勝ち、フィリピンT(2勝C)で2着がある。今回はテン乗りの横山武騎手。過去10年で横山武騎手は[0−0−0−6]で5頭が人気より下の着順。ミライヘノツバサ以来となる青森県産馬によるJRA重賞制覇なるか。

中山金杯勝ち馬アルナシーム、同2着馬マイネルモーント、同3着馬ボーンディスウェイ、昨年の函館記念2着馬グランディア、23年の札幌記念2着馬トップナイフ、日経新春杯4着馬ヴェローチェエラ、アメジストS勝ち馬ディマイザキッド、シドニーT勝ち馬ランスオブクイーンなど伏兵は数多い。アルナシームは洋芝をこなせるが、トップハンデ59キロを背負う。マイネルモーントは芝2000m[2−5−1−4]で中山金杯で追い込んで2着、白富士Sで先行して2着。ハンデは56キロ。過去10年で丹内騎手は[1−1−0−8]。

ボーンディスウェイは芝2000m[4−2−3−5]で弥生賞3着、中山金杯3着がある。初の洋芝で先行して地力を発揮するか。グランディアが昨年の函館記念でホウオウビスケッツに0.6秒差の2着。今年の重賞で三浦騎手は[0−0−4−11]。トップナイフはアンドロメダSで最後方から追い込んで1.1秒差の3着。横山和騎手では[1−1−1−4]。ヴェローチェエラは3連勝でOP入りした後、日経新春杯4着、阪神大賞典5着、大阪−ハンブルクC6着。リアルスティール産駒。休み明け、距離短縮でどこまで変わるか。


調教診断

★ヴェローチェエラ
函館Wで2頭併せで強めに追って先着。前向きさがあり重心の低いフットワークで最後までしっかり伸びた。リフレッシュして活気が戻り、デキは上向き。

★ランスオブクイーン
函館Wで2頭併せで強めに追って先着。前向きさがあり仕掛けてからの反応が良く、最後までしっかり伸びた。函館入りしても馬は元気一杯でデキは安定。

★ディマイザキッド
函館ダで2頭併せで馬なりのまま併入。前脚を掻き込むしっかりとした脚捌きで最後まで余力十分。休み明けをひと叩きされ、入念に乗り込んで良化した。

★マコトヴェリーキー
函館Wで2頭併せで強めに追われて遅れた。直線での動きは物足りないが、4コーナーまでの動きは良かった。立て直して入念に乗り込んで仕上げられた。

★ハヤテノフクノスケ
函館芝で強めに追われた。いつも通り少し頭が高いが、追ってからしっかりとした脚捌きで伸びていた。G1後で乗り込みは少ないが、まずまず仕上がる。

次点(上位5頭に入らなかった馬)
☆アルナシーム
☆グランディア


レース回顧

2025年 6月29日(日) 1回函館6日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第61回農林水産省賞典函館記念
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) (国際)(特指)  芝 2000m   14頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 5  8  ヴェローチェエラ   牡 4 佐々木大  56  1.57.6 34.7 10 496 (栗)須貝尚介
2 3  3  ハヤテノフクノスケ 牡 4 横山武史  56  1.57.9 35.3  6 532 (栗)中村直也
3 7 12  マイネルメモリー   牡 5 菱田裕二  55  1.57.9 34.2 14 466 (栗)宮徹
4 5  7  ディマイザキッド   牡 4 岩田康誠  56  1.58.0 34.5  1 460 (美)清水英克
5 7 11  ランスオブクイーン 牝 4 斎藤新    54  1.58.1 35.2  8 450 (栗)奥村豊
6 6  9  アルナシーム       牡 6 藤岡佑介  59  1.58.2 35.0  9 452 (栗)橋口慎介
7 4  6  サンストックトン   牡 6 浜中俊    55  1.58.5 35.4 13 468 (美)堀内岳志
8 4  5  ボーンディスウェイ 牡 6 木幡巧也  57  1.58.7 36.3  7 498 (美)牧光二
9 3  4  キミノナハマリア   牝 5 鮫島克駿  54  1.58.7 36.1 11 512 (栗)千田輝彦
10 8 14  トップナイフ       牡 5 横山和生  57  1.59.2 36.8  4 492 (栗)昆貢
11 8 13  マコトヴェリーキー 牡 5 北村友一  57  1.59.3 36.6  2 472 (栗)上村洋行
12 1  1  マイネルモーント   牡 5 丹内祐次  56  1.59.3 36.5  3 466 (美)高木登
13 6 10  グランディア       セ 6 三浦皇成  56  1.59.3 36.5  5 480 (栗)中内田充
14 2  2  アウスヴァール     セ 7 古川吉洋  55  1.59.7 37.5 12 486 (栗)昆貢
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LAP :12.5-10.2-11.4-12.0-12.0-11.9-12.2-12.1-11.7-11.6
通過:34.1-46.1-58.1-70.0  上り:71.5-59.5-47.6-35.4  平均:1F:11.76 / 3F:35.28
単勝   8 \1300 
複勝   8 \450 / 3 \370 / 12 \1410 
枠連   3-5 \1290 (5) 
馬連   03-08 \7720 (45) 
ワイド 03-08 \2950 (55)/ 08-12 \13560 (89)/ 03-12 \8690 (80) 
馬単   08-03 \14680 (87) 
3連複 03-08-12 \155010 (339/364) 
3連単 08-03-12 \697990 (1832/2184) 

ヴェローチェエラは中団の外を進み、3コーナーを過ぎから外から捲って直線入り口で先頭に立つとメンバー3位の34.7秒で上がってレースを制した。勝ちタイム1分57秒6は1988年の函館記念を勝ったサッカーボーイのレコードを0.2秒更新するレコードタイム。アウスヴァールが逃げて前半5F58.1秒のハイペース。後半5F59.5秒、上がり35.4秒、ラップは12.1−11.7−11.6秒で尻上がり。ハイペースで差し馬向きの展開になり、2着ハヤテノフクノスケを除く7着まで差し追い込み馬が占めた。

ヴェローチェエラは勝負どころで外から一気に捲って直線入り口先頭からそのまま押し切って優勝。穴馬◎が10番人気で重賞初制覇。芝2000mは新馬戦2着以来だったが、速い持ちタイムのない馬がレコードで制した。芝2400〜2600mの条件戦を3連勝したが、やはり距離は芝2000〜2200mが合うのだろう。ガツンと追い続けられる佐々木騎手が馬の持ち味を上手く引き出している。休み明けは3戦3勝。使い込むよりリフレッシュした後に結果を出している。次走は札幌記念でサマー2000シリーズの優勝を目指す予定。

<穴馬◎ヴェローチェエラの予想コメント>
穴馬ヴェローチェエラを狙う。芝2400〜2600mの条件戦を最速上がりで3連勝。日経新春杯は4着に終わったが、2分10秒5の好タイムで走っている。3着マイネルエンペラーは日経賞を制した。京都新聞杯で0.3秒差の3着に入ったが、4着アドマイヤテラは目黒記念、5着キープカルムはしらさぎSを制した。

3連勝の後、4、5、6着に終わって人気が落ちたが、これまで戦ってきた馬のレベルを考えるとハンデG3なら能力は足りる。阪神大賞典で直線で伸び切れなかったところを見ると距離は2000〜2200mがベストなのではないか。勝負どころで外から一気に捲れるタイプ。この持ち味を生かせるレースになると一発がある。

ハヤテノフクノスケは4、5番手から直線で外に出すとメンバー6位の35.3秒で0.3秒差の2着。ハイペースで差し追い込み馬向きのレースになったが、好位からしぶとく伸びて地力を示した。ハイペースでスタミナが問われたことが良かったのだろう。昨年札幌芝2000mの条件戦で外から上がって1、2着に入ったように小回りコースも合っている。横山武騎手は「調教の感じが良くなかった中で頑張っている。相当能力がある」とコメント。高速決着に対応したが、もっと時計の掛かる馬場が合っている。次走は札幌記念に向かう予定。

マイネルメモリーは出遅れて最後方を進み、メンバー最速の34.2秒で追い込んで0.2秒差の3着。2着ハヤテノフクノスケとはクビ差。14番人気の最低人気馬が激走した。ゴールドシップ産駒で持久力があるタイプ。ハイペースで追い込みに徹したことが上手く嵌まった印象。これで6〜8月は[3−1−3−1]で複勝率87.5%。昨年芝2000mの2、3勝Cを連勝したようにこの時期が合っているのだろう。

ディマイザキッドは出遅れて後方2番手からメンバー2位の34.5秒で追い込んで0.4秒差の4着。直線で外から伸びてきたが、最後にマイネルメモリーに切れ負けした。これまで緩い流れで末脚の威力で勝負してきたタイプだけにハイペースで末脚の威力が鈍ったのではないか。岩田康騎手は「速い流れについて行くのに苦労した」とコメント。これで重賞では4、8、4着。G3ならいつ激走してもおかしくない。

ランスオブクイーンは7、8番手からメンバー5位の35.2秒で上がって0.5秒差の5着。3、4コーナーで外からヴェローチェエラに上がられたことで仕掛けが遅れ、4コーナーで少し前と離されたことが堪えた。それでも外を回って最後までしぶとく伸びている。未勝利戦を勝った直後のオークスで5着に入ったのはダテではなく、重賞で通用するメドは立った。エリザベス女王杯に向けて賞金を加算したい。



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