■2/18 さあ最強馬伝説へ アグネスデジタル

フェブラリーSでG1-4連勝を達成したアグネスデジタルを取り上げたい。予想では、絞れているにしても急仕上げであれほど強く追って絞り込むのはいいとは思えず、今回は厳しい流れでスピードとパワーが問われるだけに最後の踏ん張りが利くかは期待より不安の方が大きいと書いたが、結果的に明らかに間違っていた。ただし、パドックを見る限り、絞れていたが馬体の張り、気合乗りはイマイチでそれほど良く見えなかった。レースでは3コーナー手前での行きっぷりも良くなかったし、直線に向いてすぐに追い出したときはどうなんだろうと思ったが、そこからが違った。この状態でこれだけの走りができるのだから、馬の能力が違うとしか言いようがない。今更だが見た目より芯の強い馬ということをあらためて感じさせられた。レースに行って強い馬、もう簡単には評価を下げるわけにはいかなくなった。

アグネスデジタルは、パドックではいかにも元気がなく、馬体もこじんまりとスマートに見え良く見せないが、レースに行くと前脚の捌きが豪快でこれが同じ馬かと思えるくらいの走りを見せる。タイプは違うがスペシャルウイークも同じようなイメージがあった。パドックではこういうタイプということをこれも今更だがしっかりと記憶しておきたい。奇しくもこの2頭は白井厩舎の馬。何か特別な調整や馬をリラックスさせる何かがあるのだろうか。白井調教師、仕上げに関して嘘は言わないし、馬体重も事前に計ったものをマスコミに公表してくれるので、信頼できる調教師だ。白井厩舎の調整方法など、機会があれば調べてみたい。

この勝利でマイルCS(芝1600m)、南部杯(ダ1600m)、天皇賞秋(芝2000m)、香港C(芝2000m)に続きG1-5勝目。G1-5勝なら既に競馬殿堂入りは確実か。昨年のマイルCSを勝ったときに芝ダートを問わないことからタイキシャトルにどこまで近づけるかと書いたが、内心そのレベルではないだろうと思っていた。年が明けて京都金杯、京王杯SC、安田記念を惨敗し、やはりこんなものだろうと思っていただけにここまで走られると自分が情けなくなってくる。昨年の天皇賞秋の走りを見て見直していたが、この馬の強さはこれまでの馬とは明らかに異質なものだ。既にタイキシャトルと肩を並べている、いや超えているかもしれない。

アグネスデジタルで思い出されるのは昨年の天皇賞秋。アグネスデジタルが南部杯を勝ち、天皇賞秋に向かうことによってクロフネが天皇賞秋に出走できなくなった。結局クロフネは武蔵野Sを回ってレコードの圧勝。アグネスデジタルは天皇賞秋を制した。ご存知の通り、その後クロフネはジャパンCダートを驚異的なレコードタイムで勝つわけだが、結局そのスピードに脚が耐えられずに屈腱炎を発症して引退してしまった。今回アグネスデジタルがフェブラリーSを勝ったことであらためてクロフネとの闘いを見てみたかったと思うファンも多いだろう。私もそのひとりだ。

アグネスデジタルは、日本のダート王の勲章を引き下げてドバイへ世界制覇に向かう。そこに待ち受けるのは、果たして栄光なのか、苦難なのかは分からないが、状態さえ良ければ好勝負してくれるのは間違いないだろう。この強さはどこまで続くのか、もしかするとエミュレーツワールドシリーズのチャンピオンなるかもしれない。いずれにしても今年はアグネスデジタルに注目していきたい。

アグネスデジタルの馬体や仕上げが、今後の競走馬の常識を変えるものになるかもしれない。昨年は相馬の観点ではとても良いとはいえないジャングルポケットがダービー、ジャパンCを制しただけに一般的な馬の見立てではもはや通用しない時代に入っているのかもしれない。そのあたりをダイナミックに捕えられるようにまたいちから勉強が必要だ。

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