ヴィクトリアマイル
レース回顧

ノームコアはスタートは遅かったが内から押し上げて7番手につけ、直線で外に出してメンバー3位タイの33.2秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイム1分30秒5はこれまでを0.8秒更新する驚異的なレコードタイム。アエロリットが逃げて前半3F33.7秒(12.3−10.6−10.8秒)、5F56.1秒のハイペース。レースの上がりは34.4秒、ラップは11.2−11.5−11.7秒。アエロリットがハイペースで飛ばしたことでタイムトライアルになり、外を回った馬は厳しくなった。これだけ速い流れでも7番手から抜け出したノームコアの上がりは33.2秒。前日の京王杯SCもレコード決着になったが、速い流れでも上がりが速いため、ある程度前につけないと届かない。レーン騎手は京王杯SC、ヴィクトリアマイルとも勝てる位置につけている。ノームコアは直線で前が詰まった後にレーン騎手が落ち着いて外に出して抜け出してきた。マイルで1戦して1分35秒1の持ちタイムしかいない馬が1分30秒5のレコードで走ったのだから大したものだが、超高速馬場で実質はプラス2秒くらいか。超高速馬場では持ちタイムはあまり関係なく、地力が問われている印象がある。ノームコアは昨年紫苑Sを圧勝した後に秋華賞を使わず、前走中山牝馬Sで戸崎騎手が騎乗してまともに走らなかったことで消耗せずに済んだことが結果的にプラスに働いたのではないか。レース後数日して左第1指骨剥離骨折が判明(全治は未定)。超高速馬場で脚への負担が大きかったのだろう。

プリモシーンは10番手を進み、直線で外に出してメンバー最速の33.0秒で伸びてクビ差の2着。ノームコアの上がりを0.2秒上回っており、流れからも差し切ってもおかしくなかったが、結果的に超高速馬場で位置取りの差が出たのようだ。戸崎騎手の駄乗で桜花賞10着、NHKマイルC5着に終わった馬が、1分30秒5のレコードと同タイムで走って能力を示した。以前、東京マイルならアーモンドアイと遜色ないと書いたが、少し証明されたのではないか。レーン騎手は直線の長い東京で徐々に馬を加速させる追い方ができるが、福永騎手はまだそのレベルに達していない。相馬眼的に馬の能力が劣っているとは思わない。騎手の差が出たのではないか。今後はひと息入れて秋はマイルCS、香港マイルが目標になりそうだ。馬体がパンして本格化すれば、まだ強くなることを付け加えておく。

クロコスミアは5番手からメンバー5位タイの33.5秒で伸びて0.1秒差の3着。直線でラッキーライラックに前に出られたが、最後に差し返した。エリザベス女王杯2着2回、府中牝馬S勝ち馬が高速決着に対応して11番人気で激走した。これまで芝1600mでは[1−0−2−5]で持ちタイムはチューリップ賞7着の1分33秒2。超高速馬場では持ちタイムはあまり関係なく、地力が問われているのではないか。G1で勝ち負けできる馬が1〜5着に来ている。今後はひと息入れて宝塚記念に向かう予定。

ラッキーライラックは5番手から直線で早めに抜け出してメンバー5位タイの33.5秒で上がり0.1秒差の4着。この上がりなら勝ってもおかしくないが、それでも差されるのが今の超高速馬場なのだろう。最後にクロコスミアに差し返されたように少し詰めが甘い。前走阪神牝馬Sで不利を受けて惨敗したため、石橋脩騎手が不利を受けないように積極的な騎乗をしたことも堪えている。石橋脩騎手は追い出してゴールまで目一杯に追うタイプ。馬を加速させるレーン騎手が騎乗すれば、勝っていたかもしれない。

アエロリットは前半3F33.7秒、5F56.1秒のハイペースで飛ばし、メンバー16位の34.8秒で上がって0.4秒差の5着。1分30秒9で走って自分の力は出したが、これだけ上がりが速いと厳しかった。海外遠征明けで状態面もひと息だったのだろう。横山典騎手が飛ばしたのは、安田記念に向けてエンジンを回しておいた方がいいと判断したのか。これでスイッチが入れば、安田記念はさらに粘れるのではないか。アーモンドアイ、ダノンプレミアムを相手に真っ向勝負を挑んできそうだ。

[Home]