有馬記念
レース回顧

ブラストワンピースはスタートを決めて6番手につけ、勝負どころで外から早めに動いてメンバー5位の35.7秒で差し切りレースを制した。勝ちタイムは2分32秒2(稍重)。キセキが逃げて前半5F60.7秒の平均ペース。後半5Fは60.3秒、ラスト3Fは11.8−12.2−12.9秒。稍重で上がりの掛かる消耗戦になった。ブラストワンピースは4枠8番から絶好位につけて流れに乗り、直後にいたレイデオロより早めに動いて最後はクビ差完封。ダービー、菊花賞は上がり勝負で5、4着に終わったが、キセキが引っ張る流れ、稍重の消耗戦で一気にパフォーマンスを引き上げた。530キロを超える大型馬でも器用さがあり、小回りの中山でも問題なかった。これでマイルCS、ジャパンC、チャンピオンズC、有馬記念と関東の3歳馬が4連勝。今年G1でノーザンファーム生産馬は15勝目となった。社台は走る馬を関東の厩舎に入れている。池添騎手は有馬記念単独トップとなる4勝目。有馬記念でどう乗れば勝てるのかを熟知しているのだろう。今後はひと息入れて大阪杯から天皇賞(春)を目指すことになりそうだ。

レイデオロは9番手の外を進み、メンバー最速タイの35.4秒で伸びてクビ差の2着。3、4コーナーでルメール騎手の手が動きズブさを出したが、直線で鋭く伸びてクビ差まで詰めた。ブラストワンピースの位置につければ勝っていたかもしれないが、ルメール騎手が外枠で攻め切れず、勝ちポジションをブラストワンピース(池添騎手)に取られたのが敗因。勝負どころでズブかったのは、緩い馬場が影響したようだ。土曜の中山大障害は石神騎手が障害G1−6連勝を達成。池添騎手は有馬記念4勝目。勝ち方を熟知している池添騎手、緩い馬場をこなすハービンジャー産駒、3歳馬で斤量55キロ。そのあたりの差が出たのだろう。これで過去10年の有馬記念でルメール騎手は[1−4−0−4]。今後はひと息入れてドバイになりそうだが、アーモンドアイとの使い分けがあり、どのレースになるかは流動的。

シュヴァルグランは後方からメンバー3位の35.5秒で追い込んで0.2秒差の3着。8枠15番から流れに乗れず、位置取りが悪くなったが、道中ロスなく回って脚をタメ、直線で馬群を捌いてボウマン騎手が持ってきた。天皇賞(春)3、2、2着があるステイヤー。4着ミッキーロケットは天皇賞(春)4着、5着キセキと6着サトノダイヤモンドは菊花賞馬。上がりの掛かる消耗戦になったことでスタミナを生かせた面もあるのだろう。来年は7歳になるが、現役を続行する予定。阪神大賞典から天皇賞(春)を目指すことになりそうだ。

ミッキーロケットは2番手からメンバー10位の36.6秒で上がって0.5秒差の4着。外から3頭に交わされたが、逃げたキセキを交わして4着を確保。タフな馬場でタフなレースになったが、前に行った馬の中では最先着し地力強化を示した。天皇賞(春)4着、宝塚記念1着、天皇賞(秋)5着、有馬記念4着と一線級を相手に安定して走っている。宝塚記念のようにメンバーが少し楽になれば、またG1制覇がありそうだ。

キセキはスタートで少し遅れ、手綱をしごいてハナを切ったが、最後に一杯になって0.5秒差の5着。外枠から手綱をしごいて上がって脚を使ったこと、ラスト5Fから11.6−11.8−11.8秒とラップを上げたことで消耗戦になり過ぎたことが堪えたのだろう。川田騎手はエピファネイアで弱気にスローで逃げて切れ負けし5着に負けた苦い経験がある。厳しいローテーションだったが、大きなデキ落ちはなかった。

モズカッチャンは好位に内につけたが、直線で伸び切れず0.8秒差の9着。稍重ののタフな馬場で消耗戦になり伸び切れなかった。道中馬込みでモマれたことも影響したのではないか。この日のMデムーロ騎手は馬券圏内なし。5勝2着2回3着1回のルメール騎手とは対照的だった。

オジュウチョウサンはスタートを決めて2番手につけ、4コーナーから直線で見せ場を作ったが、最後は一杯になって0.8秒差の9着。道中ずっとミッキーロケットにマークされて外から併せられ、キセキがラスト5Fからペースアップして11秒台のラップを刻んだことで苦しくなったのだろう。雨で馬場が緩み過ぎたことも影響している。それでも2番手につけて見せ場を作ったオジュウチョウサンは大したもの。今後は天皇賞(春)を使うプランがあるようだが、高速馬場になりやすいだけにどうか。状態面を見ながらじっくり検討していくことになりそうだ。

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