毎日王冠
レース回顧

●ルージュバックが外差し馬場を味方に東京重賞2連勝
 →次走天皇賞(秋)は56キロの斤量が課題

●2着は出遅れず折り合ってまともに走ったアンビシャス
 →ルメール騎手[3−2−0−0]で好相性

●ステファノスは直線で前が壁になりまともに追えず5着
 →相馬眼的にG1を勝てるレベルに到達

ルージュバックは後方2番手を進み、直線で先に抜け出したアンビシャスをメンバー最速の33.4秒でクビ差交わしてレースを制した。稍重で勝ちタイムは1分46秒6。3着には3馬身差をつけた。マイネルミラノが逃げて前半5F60.3秒のスローペース。ラスト3F11.8−11.4−11.5−11.6秒の瞬発力勝負になった。ルージュバックは後方でじっくりと脚をタメ、直線で外から豪快に差し切った。前走同コースのエプソムCをメンバー最速の32.8秒で差し切った馬。当日の8Rと9Rで外差しが決まったようにルージュバックには絶好の外差し馬場だった。戸崎騎手はエプソムCの脚が使えれば勝てるとみて外から差すレースに徹していた。東京は開幕週で馬場全体がいいと外差しが決まることが多いが、ここまで外差しが決まるのは珍しい。内側を集中的にエアレーションしたのではないか。これで芝1800mは[4−1−0−0]、左回りの1800m以上では[5−1−0−0]。休み明けで目一杯に仕上げていなかったが、それでアンビシャスに勝ったことを評価したい。2歳時から相馬眼的に評価してきた馬がようやく軌道に乗った。次走は天皇賞(秋)。叩き2戦目は[0−0−0−3]で不振な点と今回より2キロ重い56キロを背負って切れる脚を使えるかが課題だが、外差しが決まる馬場なら勝ち負けできそうだ。

アンビシャスは後方からメンバー2位タイの33.6秒で抜け出したが、最後にルージュバックに交わされてクビ差の2着。先行して大阪杯を勝ち、宝塚記念で掛かって自滅し16着に終わったが、今回は後方に控えて差すレースで結果を出した。ルメール騎手では[3−2−0−0]で5戦のうち4戦が後方から差すレース。出遅れずに後方で折り合いがついたことで切れる脚を使ったが、今回は54キロのルージュバックに分があった。本番の天皇賞(秋)では斤量3キロ差から2キロ差に縮まる。パドックでは馬体4キロ増で少し余力残しの仕上げだったが、イレ込みはなく歩様も悪くなかった。出遅れ、折り合いなどまだ課題はあるが、ルメール騎手は手の内に入れている。58キロを背負った宝塚記念で惨敗したのは気になるが、スタートを決めて折り合いがつけば勝ち負けできそうだ。ルメール騎手は芝2000mを最も得意にしている。

ヒストリカルは離れた最後方からメンバー2位タイの33.6秒で追い込んで0.5秒差の3着。前の2着には離されたが、大外から鋭く伸びて3着を確保した。今年は田中勝騎手が騎乗して不振が続いていたが、横山典騎手が外差しが決まる馬場を味方に得意の後方ポツンで持ってきた。これで坂のあるコースの芝1800m、渋った馬場では[3−0−1−0]。1枠1番、横山典騎手で後方ポツンで届くのかどうかというのはあったが、今回は久々に激走の条件が揃っていた。今年7歳になったが、末脚の威力は健在。半兄カンパニーが8歳時に天皇賞(秋)、マイルCSを制したように奥手の一族。今回のように条件が揃えば、また激走がありそうだ。

ステファノスは内枠スタートから好位の内につけたが、直線で前が壁になってほとんど追えず0.8秒差の5着。まともに追えたのはラスト100m。最後に鋭く伸びて5着まで追い上げたようにまともなら上位争いできたのではないか。14年白百合S以来、久々に内枠に入ったが、結果的に内枠がアダになった。パドックでは馬体のボリュームがアップし、踏み込みが力強くなっていた。今年は香港遠征明けの昨年よりも仕上げてきていた。今回は5着に終わったが、目一杯に走らなかったことが次走天皇賞(秋)に繋がる可能性がある。昨年の天皇賞(秋)2着馬。相馬眼的に昨年よりスケールアップしており、G1を勝てるレベルに到達している。


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