高松宮記念
レース回顧

ビッグアーサーはスタートを決めて少し離れた4番手につけ、直線で先に抜け出したミッキーアイルをメンバー4位タイの33.4秒で差し切って1分6秒7のレコードで制した。ローレルベローチェが逃げて前半3F32.7秒のハイペースになったが、4、3番手につけた馬が33秒台でまとめて前残りになった。高速馬場、ハイペースでスピードの絶対値が高い3頭で決着。Bコースに変更され、先週までの時計、上がりが掛かる馬場から一変し、2分9秒9で決着した名古屋城Sを含め、4つのレコードが更新された。馬場が乾いたこともあるが、芝が刈り込まれ、ガチガチに硬い馬場だった模様。ビッグアーサーはハイペースで飛ばした前の3頭を見ながら理想的な位置で進め、最後にきっちり差し切り、重賞初制覇がG1制覇となった。

昨年の岡崎特別を高松宮記念の2着に相当するタイムで圧勝したのは、やはりダテではなかった。父サクラバクシンオーからスピードの絶対値の高さとスピードの持続力を受け継いでいる。福永騎手は自身がデビューから騎乗していたリアルスティールがドバイターフを勝ったことで期するものがあったのだろう。高速馬場、ハイペースの中、絶好位でスムーズに進める完璧な騎乗だった。パドックでは馬体が4キロ絞れていつもより引き締まっており、G1仕様の仕上げを施していた。藤岡健調教師はG1初制覇。1番人気で勝ったことは自信になる。ビッグアーサーはCBC賞または北九州記念を使い、秋はセントウルSからスプリンターズSに向かう予定。香港スプリントでも勝ち負けできる馬。大事に使ってさらに素質を開花させたい。

ミッキーアイルは3番手から直線で早めに抜け出し、上がりを33.8秒でまとめたが、最後にビッグアーサーに差されて0.1秒差の2着。ハイペースで飛ばして33秒台でまとめているが、前半逃げるつもりで押して行ったことが結果的に堪えた印象。最初から3番手でいいというレースで前半フワッと行ければ、ビッグアーサーとの差は詰まったのではないか。前に行った2頭が4コーナーから直線で内を避けて外を回したことで外に振られたことも響いている。それでもハイペースで飛ばして2着に粘ったことを評価したい。5歳になってハイペースの耐性が以前より増している。パドックでは馬体2キロ増でも前走より引き締まっており、ひと叩きされた上積みを感じさせた。次走は安田記念に直行する予定。古馬マイルG1では16、13、15着と惨敗が続いている。内を通って前に行った馬が有利になる馬場設定など、何かしらアドバンテージが欲しい。

アルビアーノは中団からメンバー4位タイの33.4秒で伸びて0.4秒差の3着。直線でごちゃついたが、内から狭いスペースを割って鋭く伸びてきた。前走オーシャンSと同じ前半3F32.7秒のハイペースになったが、中団につけることができた。本来はもっと前につけるスピードがあるが、まだスプリント戦の経験が少ないことが影響しているのだろう。それでも厳しいレースで3着を確保したことを評価したい。馬体が6キロ増えてさらにマッチョ化し、適性がスプリントの方に傾いている。これからスプリント戦の経験を積めば、上位2頭を脅かす存在になるのではないか。昨年はスプリンターズのストレイトガールがヴィクトリアマイルを制したこともあり、次走はヴィクトリアマイルになりそうだ。昨年のような高速馬場になるとスピードの絶対値の高さと底力で勝ち負けに持ち込んでもおかしくない。

アクティブミノルは好位から8位タイの33.6秒で外から鋭く伸びて0.4秒差の4着。直線で坂を上がってから鋭く伸びてきた。近走不振が続いていたが、昨年のセントウルS(全面野芝の阪神開幕週)を1分7秒8で逃げ切った馬。函館2歳S勝ち馬で重い馬場もこなすが、高速馬場にも適性があるのだろう。差すレースで善戦できたことは今後に繋がりそうだ。

エイシンブルズアイは後方からメンバー2位タイの33.3秒で伸びて0.5秒差の5着。直線で前が壁になって追い出しが遅れ、外に持ち出すロスがあった。最後は鋭く伸びていただけにもう少し前につけられれば、馬券圏内があったかもしれない。ここにきて馬体に実が入ってバランスが良くなり、充実期を迎えている。今後はひと息入れてサマースプリント狙いか。

ブラヴィッシモは1枠1番から内ラチ沿いの中団につけたが、直線で前が壁になって全く追えず14着。ひと叩きされて仕上がりは良かったが、ごちゃついてレースにならなかった。ただし1分6秒台の決着ではスムーズでも厳しかったか。芝1400mは[3−2−2−1]で阪急杯で接戦したオメガヴェンデッタは昨年の京王杯SCとスワンSで3着。次走京王杯SCに出走したら要注意。

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