フェブラリーS
レース回顧

モーニンは中団の外から徐々に進出して好位につけ、メンバー4位の35.2秒で早めに抜け出すとそのまま後続を完封してレースを制した。コーリンベリーが逃げて前半3F34.1秒。58.4秒。時計の出やすい馬場で勝ちタイム1分34秒0(重)はレコード。モーニンは好位から抜け出す正攻法のレースで快勝。秋嶺Sが1分35秒7(良)、武蔵野Sが1分35秒0(稍重)。脚抜きのいい馬場ということもあるが、一戦ごとに時計を詰めてダート王者に輝いた。昨年5月にデビューした馬が8か月、キャリア6戦でG1を制したのだから大したもの。前走根岸Sよりも2キロ重い57キロを背負い、メンバーが強化されたG1で一気にパフォーマンスを引き上げた。テン乗りだったが、Mデムーロ騎手による部分も大きいのだろう。3走前の秋嶺Sで前半3F33.8秒のハイペースで3番手からメンバー最速の36.9秒で抜け出して2馬身半差で圧勝したが、1986年以降、東京ダ1600mで前半3F33,8秒以下のハイペースで先行して勝ったのは、03年のユニコーンSを1分35秒8で勝ったユートピア(JDD、南部杯、ゴドルフィンマイル優勝)以来2頭目。武蔵野Sで3着に負けて足踏みをしたが、G1を勝つだけの力を持っていた。2、1番人気の4歳馬がワンツーを決め、世代交代を果たした。今後はひと息入れてかしわ記念を目指す予定。秋には海外遠征も視野に入る。

ノンコノユメは後方からメンバー最速の34.7秒で追い込んで0.2秒差の2着。休み明けのぶんエンジンの掛かりが遅く位置取りが悪くなったが、並の馬では届かない位置から強烈な末脚を繰り出して2着を確保した。これで東京ダ1600mは[4−1−1−0]。武蔵野Sを1分34秒7(稍重)で勝ったが、今回は0.5秒詰めて1分34秒2(重)で走っている。好位につけた馬に35.2秒で上がられて1分34秒0のレコードで走られては相手を褒めるしかない。根岸Sをひと叩きしたモーニン、休み明けで臨んだノンコノユメ。その差もあるのだろう。パドックでは休み明けでも馬体の張り、毛づや良く、仕上がりは良さそうに映った。今後はドバイWCに出走するプランもあるが、遠征しない場合は、かしわ記念から帝王賞になりそうだ。昨年以降のG1でルメール騎手は[1−2−4−12]、差し追い込みでは[0−2−3−9]で2、3着に負けることが多い。昨年以降のG1でMデムーロ騎手は[5−3−0−10]、差し追い込み馬では[4−3−0−9]。G1では成績に差があるが、今年の3歳クラシックはルメール騎手の巻き返しに注意したい。

アスカノロマンは中団の後ろからメンバー2位の34.9秒で伸びて0.2秒差の3着。初のダ1600mでいつもより後ろになったが、直線で外からノンコノユメと併せ馬で伸びてきた。これまで36秒台までしか上がったことがない馬が、34.9秒(重)で上がったようにここにきてかなり地力が強化されている。以前は馬体の増減が激しく、輸送すると大きく減って調子を崩すことが多かったが、近走は増減がほとんどなくなり、成績が安定してきた。心身ともに成長して崩れにくくなっている。例年のフェブラリーSなら勝っていてもおかしくないレベル。アグネスデジタル産駒が5歳になって本格化してきた。地方交流G1に出走するにはまだ少し賞金が足りないため、帝王賞に向けてどこかで賞金を加算したいところ。馬体を見る限り、まだ強くなる余地がある。

ベストウォーリアは中団からメンバー3位の35.0秒で伸びて0.2秒差の4着。最後までしぶとく伸びているが、重馬場で高速決着になり、最後は切れ負けした形。脚抜きのいい馬場もこなせるが、切れより地力タイプだけにここまで時計、上がりが速くなると厳しい。昨年は1分36秒5(良)で走って0.2秒差の3着。今年は1分34秒2(重)で走って0.2秒差の4着。昨年よりパフォーマンスを引き上げており、自分の力は出している。良馬場でもう少し時計、上がりが掛かれば、勝ち負けできたのではないか。ダ1600m以下では堅実に走るタイプ。今年も昨年と同じステップで勝ち負けを続けていきそうだ。

ロワジャルダンは好位から直線でしぶとく伸びて一旦2番手に上がり見せ場を作ったが、そこから伸び切れず0.3秒差の5着。初のダ1600m、重馬場で高速決着になったことを考えるとよく走っている。昨年秋からダート重賞を使われて着実に力をつけてきている。左回りのダートは[1−1−1−5]で4、5着に終わることが多いが、右回りのダートでは[5−1−0−0]で連対率100%。右回りのダ1700〜1800mに出走したら要注意。

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