関屋記念
レース回顧

クラレントは外枠スタートから好位の外につけ、メンバー4位の33.8秒で差し切ってレースを制した。朝は大雨が降り馬場悪化が懸念されたが、雨が止んで芝コースは重から稍重に回復し、勝ちタイムは1分32秒5と速くなった。ラインブラッドが逃げて前半5F58.1秒。速い流れで地力勝負になり、重い斤量を背負ったG2以上の実績馬で決着。今年のマイル古馬重賞はG1、G2実績のある馬が活躍している。クラレントは好位から上がりを33秒台でまとめて押し切るのが勝ちパターン。田辺騎手が直線で自分のスペースを確保して持ち味を引き出した。左回りの芝1400〜1800mのG2以下では[4−1−2−2]、良馬場なら[3−1−1−1]で重賞3勝。馬場は稍重でも実質は良馬場に近い時計、上がりだった。前2走は渋った馬場で惨敗しただけに馬場が回復したことが大きかった。良馬場のG3では3戦3勝。G3では力が上なのだろう。

今年の重賞で橋口厩舎は4番人気以内なら[2−2−0−4](1番人気なし)、5番人気以下は[0−0−1−10]。4番人気以内なら要注意。クラレントは次走サマーマイルシリーズの優勝を狙って京成杯AHに向かう予定。今年は中山が改修工事のため、新潟で行われる。今回と同じコースだが、ハンデがカギになる。JRAハンデキャッパーは06年新潟記念のヴィータローザ(58キロ、橋口厩舎)のハンデでいざこざ?があったため(3着に負けてサマー2000シリーズの優勝を逃す)、橋口厩舎のクラレントに58キロ以上をつけられないのではないか。JRAはヴィータローザの代償として08年のスプリンターズSでは土曜のレース後に散水して優勝したスリープレスナイト(橋口厩舎)に有利な馬場にした疑いがある。その翌週からJRAの馬場情報で「芝の生育管理のために前日夜に散水を実施することがある」と記載されるようになった。クラレントのハンデに注目したい。

ダノンシャークは3番手からメンバー6位の34.2秒でまとめて半馬身差の2着。正攻法のレースをして最後にクラレントに差されたが、1キロ重い58キロを背負っており、ほぼ勝ちに等しい内容。渋った馬場もこなせるが、58キロを背負っていただけに馬場が回復して1分32秒台の決着になったのも良かったのだろう。これで芝1600mのG3では[2−3−0−1]で出遅れて後方からのレースになった東京新聞杯を除き連対を確保。クラレントと同様にG3では力が上だった。初めての夏競馬だったが、調教診断[7]、パドック診断[6+]をつけたように仕上がりは良さそうだった。G2以上では[0−1−3−5]で未勝利。6歳馬だけに更なるパフォーマンスアップは期待しにくいが、展開、位置取り、コース取り、仕掛けのタイミングがズバリ合えば、G1で連対圏に突入してもおかしくない。内田博騎手では[1−2−0−2]で最近は先行策に拘っている。今後は富士SからマイルCSに向かう予定。

サトノギャラントはスタートして出脚が遅く、後方2番手からメンバー2位の33.6秒で追い込んで0.2秒差の3着。スタートのロスはかなり大きく致命的になりかけたが、北村宏騎手が内をロスなく回り、内から捌いて持ってきた。出遅れ癖のある馬は1枠1番に入ると出遅れることが多い。先週の小倉記念を里見氏のサトノノブレスが勝ったが、JRAは同馬主の2週連続重賞制覇は嫌なのか、出遅れ癖のあるサトノギャラントを1枠1番に入れていた。競馬にタラレバは禁物だが、スタートを決めてもう少しスムーズなら勝ち負けになっていた。左回りの芝1600mは[4−2−2−2]でベストの条件。これまで重賞では[0−0−0−7]で4着が最高だったが、初めて馬券圏内に突入した。出遅れ、位置取りなどまだ課題があるが、重賞で勝ち負けできるメドは立った。

エクセラントカーヴは中団の後ろからメンバー3位の33.7秒で伸びて0.2秒差の4着。休み明けで本調子ではなさそうだったが、最後に鋭く伸びて能力を示した。前2走は惨敗したが、夏に調子を上げるタイプでようやく復調してきた。次走の京成杯AHは更に上積みが見込める。昨年の京成杯AHは52キロ、今回4着に負けたことでハンデは恵まれそうだ。新潟は連続開催になるが、高速馬場のままなら要注意。

マジェスティハーツは好位につけたが、直線で伸びれ切れず12着。道中少し掛かり気味で外からシルクアーネストが上がってきたことでさらに掛かっていた。持ちタイムがないだけに馬場が回復して1分32秒台の決着になったのも堪えたか。森騎手は「水分を含んだ馬場は合わないのかもしれない」とコメント。万能タイプで距離適性の幅は広いが、ベストは芝2000m前後か。時計が掛かる馬場ならマイルでもやれる。

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