クイーンS
レース回顧

キャトルフィーユは好位の内をロスなく回り、メンバー3位の35.2秒で抜けしてレースを制した。勝ちタイム1分45秒7はレコード。オツウが大逃げして前半5F57.8秒のハイペース。2番手以下は離れており、実質は前半5F59秒前後。速い流れになり、重賞実績のある実力馬3頭で決着した。キャトルフィーユは直線で抜け出した後に内からアロマティコ、外からスマートレイアーに迫られたが、そこからひと伸びしてハナ差で重賞初制覇。勝負根性のある馬が持ち味のしぶとさを発揮した。ハイペースで差し追い込み馬向きの展開だったが、好位から押し切ってレコードで勝ったことを評価したい。角居厩舎の素質馬が本格化してきた。札幌の適度に時計、上がりが掛かる馬場も合うのだろう。パドックでは馬体の張りが良く、踏み込みもしっかりしており、久々を感じさせなかった。角居厩舎はディアデラマドレと2頭出しだったが、コースが合うキャトルフィーユを仕上げてきていた。次走は府中牝馬Sに向かう予定。ヴィクトリアマイルで0.1秒差の5着に入ったが、スローの上がり勝負になると切れ負けする懸念がある。

アロマティコは後方から内を突いてメンバー最速の34.4秒で伸びてハナ差の2着。前走巴賞と同じように内から捌いてきたが、直線半ばで外に切り返すロスがあった。そこがスムーズなら勝っていたかもしれないが、内を突くのはリスクがあるため仕方ない面もある。これで7〜9月は[3−1−1−0]で複勝率100%。初めて夏の重賞に出走し、重賞で初めて連対を果たした。夏場は脚捌きに硬さがない。やはりこの時期が合うのだろう。ここにきて馬がレースを覚えて崩れなくなってきている。流れ、位置取り、コース取りが上手く噛み合えば重賞制覇のチャンスがありそうだ。秋はエリザベス女王杯が目標になるが、夏場は安定して走るため、8〜9月にレースを挟んできそう。流れ、位置取りなど総合的に判断するともっとゆったりと流れる長い距離の方が重賞制覇の可能性が高そうだ。三浦騎手は重賞で駄乗が目立ち買えない騎手だったが、今年になってひと皮剥け、買える騎手に変貌している。

スマートレイアーは大外からメンバー2位の34.5秒で追い込んでハナ+クビ差の3着。直線で差し切る勢いで伸びてきたが、最後は休み明け、大外をブン回したぶん一杯になった。絶好調なら差し切っていたかもしれない。前走ヴィクトリアマイルで減った馬体が戻り切っておらず、まだ8分程度の状態。それでこれだけ走るのだから、能力はG1級なのだろう。現時点では体調に波があるが、それをクリアできれば、またG1で激走がありそうだ。今後は府中牝馬Sからエリザベス女王杯になりそうだが、輸送すると馬体が減って調子を落とすため、府中牝馬Sは当日の馬体重、気配に注意が必要。輸送が短く、コース&馬場が合う阪神では4戦4勝。阪神に出走したときは狙いたい。

ディアデラマドレは中団の後ろからメンバー4位の35.3秒で伸びて5着。外枠から外々を回ったことが堪えたが、これがこの馬のスタイルでもある。現時点では上位3頭と力差があるのだろう。速い上がりで勝負するタイプだけに時計、上がりの掛かる洋芝、小回りコースも向かなかった。角居厩舎の馬は馬体のバランスのいい馬が多いが、まだディアデラマドレは馬体のバランスに良化の余地がある。そこがクリアをしてくれば、本格化するのだろう。角居調教師がどう整えてくるのか注目したい。

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