NHKマイルC
レース回顧

ミッキーアイルは前半3F34.6秒、5F58.4秒の平均ペースで逃げ、メンバー13位タイの34.8秒で上がって逃げ切った。6着まで0.1秒差の大接戦。勝ちタイム1分33秒2は同日の1600万条件より0.4秒遅い。勝ちタイムが遅いのは、中盤にラップが落ち、かつ最後の直線が強い向かい風で上がりが掛かったため。時計面からは強い内容とは言えないが、2ヶ月ぶりの出走、初の東京&左回りをクリアし最後に一杯になりながら凌ぎ切ったことを評価したい。3歳春の時点でこれだけ走れれば、今後更なるパフォーマンスアップが期待できる。近年には珍しい「逃げて差す」というレースができるタイプ。末脚の持続力が優れたディープインパクトとマイル巧者ロックオブジブラルタルの血が上手く融合されており、今後の活躍が期待できる。デビューから芝1600mしか使っていないが、今後は距離延長を含め、色々な可能性を探って行くことになりそうだ。次走は安田記念が検討されている。古馬の激流に飲み込まれると今後の成長曲線に影響が出る可能性がある。

タガノブルグは内ラチ沿いの後方を進み、4コーナーで中団に押し上げ、直線で外に持ち出してメンバー3位の33.9秒で伸びてクビ差の2着。1枠2番から内ラチ沿いでタメて直線で三浦騎手が捌いて持ってきた。2、3着に1枠からロスなく回った馬が入った。NHKマイルCは内枠からロスなく回った馬が有利な傾向がある。タガノブルグは東京芝1400mのクロッカスSで最後方からメンバー最速の33.1秒で伸びて2着に突っ込んだ馬。距離1600mに不安があったが、流れが速くならず、1枠からロスなく回ってきたことが最後の伸びに繋がったのだろう。パドックでは馬体が6キロ減ってテンションが高く、気配は地味に映った。今回は外部条件が上手く嵌っての激走なのではないか。体型的に距離は1400mが合っている。

キングズオブザサンは内ラチ沿いの後方からメンバー2位の33.7秒で伸びてクビ+ハナ差の3着。直線で馬群を捌くのに苦労してスムーズさを欠いたが、最後に猛然と伸びてきた。スムーズならもっと際どいレースになっていた。前走皐月賞は15着に終わったが、1コーナー手前でスペースを作ってイスラボニータを外に出させ、道中はトーセンスターダムを外からマークして潰している。同馬主のイスラボニータをアシストししたものであれが能力ではないのだろう。「体型的に距離短縮で変わる可能性がある」と予想で指摘したように一変した。4着ロサギガンティアも皐月賞でイスラボニータのアシストをしたが、今回は出遅れて自滅した。キングズオブザサンの母はスティンガー。マイルのG3で渋く活躍しそうなタイプ。

ロサギガンティアは出遅れて最後方からメンバー最速の33.2秒で伸びて0.1秒差の4着。大外から鋭く伸びてきたが、最後は一杯になり、前の馬と脚色が一緒になった。スタートで後手を踏んだ後に柴田善騎手は仕掛けずに最後方に控えていた。追い込みタイプではないため、社台は中団から差すレースを指示したはずだが、社台の力より柴田善騎手の裏の力の方が大きいのだろう。ただし前半に脚を使ったら、追い上げられたかどうかは分からない。藤沢和厩舎の管理馬で人気になりやすいが、馬体の造りはまだG1を勝てるレベルに到達していない。海外G1を狙うプランがあるようだが、リップサービスでなければ相馬眼のレベルを疑うしかない。今回は最速上がりを繰り出したが、本質的には切れより地力タイプ。中山芝1600mで注意したい。

ホウライアキコは2番手からしぶとく粘って0.1秒差の5着。逃げ切ったミッキーアイルの上がりを0.1秒上回る34.7秒で上がったが、それでも追いつけなかった。イレ込むため、金曜に東京競馬場入りするなど陣営は色々と工夫していたが、その甲斐があって馬体は2キロ減。パドックではそれほどイレ込んでいなかった。2番手からスムーズなレースをして現時点の力は出している。芝1400〜1600mのOP特別、牝馬限定重賞で活躍しそうなタイプ。ただし早熟タイプのため、急に走らなくなる可能性は否定できない。

ショウナンアチーヴは内ラチ沿いの好位から伸び切れず0.1秒差の6着。内ラチ沿いの絶好位につけてスムーズなレースができたが、直線で伸び切れなかった。中山のニュージーランドTを勝ったが、広くて直線が長い東京では微妙に距離が長いのだろう。箱型体型で中山向き。戸崎騎手は東京コースの方が合うとコメントしていたが、それがまさか本心ということはないだろう。今後は中山を中心に使っていくことになるのではないか。ショウナンカンプ産駒。将来的にはスピードが全面に出てスプリンター化していく可能性が高い。

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