ヴィクトリアマイル
レース展望

06年に新設された古馬牝馬限定G1。過去5年で1番人気は[2−1−0−2]で3連対。連対を外したラインクラフトはフケ(発情)、カワカミプリンセスは休み明け、実績のない芝1600mが敗因か。最近3年は前走ドバイを使ったウオッカ、ブエナビスタが連対中。2番人気は[1−0−0−4]、3番人気は[0−1−0−4]で各1連対のみ。最近3年は1番人気の相手に5、11、8番人気が来て中穴決着になった。過去5年の馬連は10倍、307倍、16倍、53倍、24倍。人気馬同士で10倍以下に収まったことはない。

連対馬10頭のうち6頭に東京芝G1で連対があった。勝ち馬5頭は全てこれを満たす。東京芝重賞実績がない3頭のうち2頭は東京が初めてでかつ前走重賞を勝っていた。連対馬10頭のうち7頭が1〜3枠に入った馬。残る3頭は5、6、8枠が各1頭で、1番人気2頭と3番人気1頭。1〜3枠以外から連対した馬は人気馬のみ。穴で1〜3枠に入った人気薄に注意。10番人気以下で3着以内に入った3頭の前走はダービー卿CT2着、福島牝馬S1着、中山牝馬S1着で重賞で連対していた。前走がフロック視された馬の激走に注意。

ブエナビスタは昨年[3−4−0−0]でG1を2勝し、年度代表馬に選ばれた。復帰戦のドバイワールドCは後方のまま見せ場なく8着に終わったが、超スローペースで後方を進み、直線でごちゃついてトップスピードに乗らなかったのが敗因。ヴィクトワールピサに2戦連続で負けたが、昨年秋のG1で見せたパフォーマンスは現役最強レベル。昨年のレーティングは天皇賞(春)とジャパンCが121で牡馬換算では125。ディープインパクトはジャパンCが125、有馬記念は126。史上最強馬と肩を並べるレベルに到達していた。今回のメンバーでレーティングが高いのは秋華賞のアパパネで112。ブエナビスタとは大きな開きがある。

ブエナビスタは能力的に抜けた存在だが、昨年のヴィクトリアMはヒカルアマランサスにクビ差の辛勝だった。昨年は激戦になった有馬記念の後に京都記念を使って勝ち、中4週でドバイに遠征してドバイシーマクラシックで2着に激走し、帰国して宮城の山元トレセンで着地検疫を行い、栗東に輸送して調整した後に東京に輸送してヴィクトリアMを使った。さすがのブエナビスタもこのローテーションは応えたようだ。宝塚記念でも本来のパフォーマンスを発揮できなかった。今年は有馬記念の後ドバイに直行し、ドバイでは目一杯走れず、着地検疫は滋賀のノーザンファームしがらきで行われた。陣営は昨年より調子がいいとコメントしている。

芝1600mは5戦5勝。芝1600mのレーティングは阪神JFが110、桜花賞が112、ヴィクトリアMが113。古馬で1戦していないこともあるが、レーティングはそれほど高くない。国内で直線の長いコースでは[7−1−1−0]に対し、直線の短いコースでは[1−4−2−0]で未勝利戦しか勝ったことがない。ただし今回は直線が長い東京コース。東京では[3−1−0−0]で唯一の2着は1位降着になったジャパンC。東京ではまだ先着を許していない。負けるとすれば、前走初めて4着以下に敗れたこと(楽を覚える)、太め残り、久々のマイルで位置取りが後ろになった場合などか。今回からテン乗りの岩田騎手が騎乗する。

アパパネは阪神JF、桜花賞、オークス、秋華賞を制し、ヴィクトリアMとエリザベス女王杯を勝てば牝馬G1完全制覇となる。前走のマイラーズCは古馬相手のマイル戦で通用するか重要なレースだったが、中団からメンバー3位の33.2秒で伸びて0.5秒差の4着。牡馬相手のマイル重賞で通用するメドの立つ上々の内容だった。芝1600mは[4−1−0−1]で最も得意にする距離。阪神JFと桜花賞の勝ちタイムはブエナビスタを上回っているが、その程度で強気になれる相手ではない。ブエナビスタの壁はかなり高いが、馬の能力を信じて強気な騎乗で一発を狙って欲しい。どんなに強い馬でもレースで死角が生まれることもある。

レディアルバローザは格上挑戦で臨んだ中山牝馬Sで中団からメンバー2位の34.4秒で抜け出し2馬身半差で快勝。前半5F57.9秒のハイペースになり、軽量53キロと心肺機能の高さを生かし切った。2着フミノイマージンは次走福島牝馬Sを好タイムで楽勝している。これまでは脚長で華奢な馬だったが、笹田厩舎に転厩して馬体が12キロ増えバランスが良くなった。レースが消耗戦になると持ち味を生かせそう。エーシンリターンズは桜花賞でアパパネに0.1秒差の3着があり、東京芝1600mのユートピアSでは2着レディアルバローザに2馬身半差をつけて勝っている。休み明けでテン乗りの三浦騎手が騎乗するのがどう出るか。

京都牝馬Sで切れる脚を使って勝ったショウリュウムーン、マイルCSで0.5秒差の8着があるワイルドラズベリー、阪神JFと秋華賞でアパパネの2着があるアニメイトバイオ、昨年の桜花賞2着馬で天皇賞(秋)4着が光るオウケンサクラ、前走阪神牝馬Sで2着に激走したアンシェルブルー、昨年のヴィクトリアMで0.1秒差の5着に入ったブロードストリート、東京芝1600m2戦2勝で武豊騎手が騎乗するアプリコットフィズ、中山牝馬S3着、福島牝馬S2着と重賞で善戦してきたコスモネモシンなど伏兵は多士済々。

ショウリュウムーンは前走のマイラーズCで14着に終わったが、昨年のヒカルアラマンサスは京都牝馬S1着→阪神牝馬S13着→ヴィクトリアM2着で惨敗から巻き返している。ショウリュウムーンは京都牝馬Sでヒカルアラマンサスを完封。昨年の桜花賞ではアパパネに0.2秒差の4着に入っている。ワイルドラズベリーは前走の中山牝馬Sが不甲斐ない内容だったが、叩き2戦目で距離が短くなるのはプラス。左回りが初めてというのは気になるが、今春のG1で好調な池添騎手が持ってくるか。近年傾向から人気薄の激走に要注意。

WAKUWAKU競馬道場
競馬アナリストGM

★重賞レース展望には有力各馬について基本事項を掲載しています。狙える馬の相馬眼的評価、本質、死角などの詳細は「有力馬診断」、馬場、展開、穴馬などを含めた最終決断は「相馬眼予想」でお届けしています。なお携帯版HPはPCからもご覧いただけます。

[Home]