天皇賞(秋)
レース回顧

ブエナビスタは中団の馬込みで脚をタメ、直線で前が空くと一瞬のうちに抜け出して2馬身差で楽勝した。上がり3Fはメンバー2位の34.1秒。スミヨン騎手は肩ムチしか入れておらず、抜け出してからは後ろを振り返る余裕があった。本気で追ってトップスピードで走っていれば5馬身差くらいの圧勝だったかもしれない。このメンバーでは力が違うといった勝ち方だった。稍重の馬場で勝ちタイム1分58秒2は優秀。JRA発表のレーティング121(牡馬換算125)は近年の天皇賞(秋)で最高レベル。肩ムチしか入れないでこの強さ。ディープインパクトのレベルに来たのではないか。パドックではいつも通り物事に動じない姿。ドバイ遠征の疲れが癒えて春より気配が良くなっていた。久々でにいい状態で走ったこと、スミヨン騎手の手綱捌きによって一気にパフォーマンスを引き上げた。今後はジャパンC、有馬記念でG1−3連勝を狙う予定。桜花賞の前にディープインパクトに似た馬体のバランスを見せた馬。ジャパンCではさらにパフォーマンスを引き上げて、ディープインパクトと同じくらいのパフォーマンスを発揮しそうだ。休み明けで仕上げ切っていなかったこと、楽なレースで勝ったことで上積みも期待できる。世界レベルの馬。来年はスミヨン騎手で凱旋門賞に挑戦してもらいたい。

ペルーサは出遅れて後方2番手を進み、直線で馬群を割って鋭く伸びて2馬身差の2着に突っ込んだ。上がり3Fはメンバー最速の33.6秒。後方でタメたこともあるが、最後の伸び脚はかなり目立った。後方で脚をタメられたぶん弾けたともいえるが、能力がないとこういう脚は使えない。ブエナビスタが強過ぎただけで例年なら勝っていたのではないか。筋力(すじちから)を感じさせる馬でアグネスデジタルを彷彿させる。パドックではひと叩きされたことで馬体が引き締まり、後脚の踏み込みが力強くなっていた。3歳馬でこれほど力強い踏み込みを見せる馬は少ない。まだゲートに課題はあるが、アグネスデジタルのレベルに行く可能性がある。次走ジャパンCに向かう予定。青葉賞を圧勝したコースでどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみだ。春から言い続けているように今年の3歳馬で世界レベルにあるのは、ヴィクトワールピサとペルーサ。エイシンフラッシュ、ローズキングダムも能力がある。来年は3歳牡馬の時代が来るのではないか。

アーネストリーは4番手からしぶとく伸びて3着。いつもより一段後ろの位置で直線では少しもたついたが、最後はしぶとく伸びて3着を確保。自分の競馬はできたが、ブエナビスタが強過ぎた。広くて直線の長い東京コースではブエナビスタに勝つのは難しそうだ。パドックでは張りのある馬体が目立ち、活気も十分できっちり仕上がっていた。次走は有馬記念に直行する予定。パワータイプで前につけてしぶとい脚を使える馬。直線の短いコースの方が持ち味を生かせる。直線の短い中山で今度はもっと強気なレースをして一発を狙うのだろう。

オウケンサクラは内枠スタートから内ラチ沿いの2番手につけてしぶとく粘り4着。ダンスインザムードの乗り方をした北村宏騎手があわやのシーンを作った。馬体的に牡馬とできるレベルがあったが、3歳のこの時期に牡馬混合G1で4着は立派。ローズSと秋華賞は見せ場がなかったが、あたりが強い内田博騎手は合わないのかもしれない。3歳牝馬のレベルの高さが証明された。

ネヴァブションは中団の外からしぶとく伸びて5着。スタミナタイプのため、芝2000mでは切れ負けするが、今年になってG1でも崩れなくなっている。今回は外枠スタートで終始外を回ったことを考慮しておきたい。条件が揃えば、G1で馬券圏内に突っ込めるところまできている。秋の最大目標は中山芝2500mの有馬記念。内枠を引ければ馬券圏内があってもおかしくない。

シンゲンは中団の後ろから最後に伸びてきたが6着止まり。直線で狭いところに入って捌くのに苦労したぶん伸び切れなかった。いい脚を長く使えるタイプだけにスムーズなレースができていればもう少しやれたのではないか。パドックでは馬体を大きく見せて気配が目立っていた。もっと流れが速くなって前が止まるような流れが合うタイプ。条件が揃えばG1でも狙える。

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