ヴィクトリアM
レース回顧

ブエナビスタは後方を進み、直線で外からメンバー2位タイの33.5秒で差し切り勝ち。先に抜け出したヒカルアマランサスとはハナ差の接戦だった。前が残りやすい高速馬場に苦しめられたが、社台のベストロケーションが前半3F33.8秒、5F57.5秒で引っ張ったことが良かったのだろう。直線では前とかなり離れていたため、横山典騎手が早めに追い出して最後までずっと追い通し。最後は一杯になりそうになりながら差し切るところが強い。海外遠征明けで万全の状態ではなかったが、さすがにブエナビスタ。馬が簡単には負けないという意思を持っている。パドックではいつも通り落ち着き十分。無駄なことをしない賢い馬。この状態が保たれているうちは崩れることはなさそうだ。次走は宝塚記念に向かう予定。現役最強馬として宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念と王道を進んでもらいたい。昨年の桜花賞前は皐月賞前のディープインパクトと同じような馬体、雰囲気があった。言葉ではいい表せない馬体のバランス。走る馬は他の馬とは違うオーラを出している。

ヒカルアマランサスは1枠2番スタートから内の4番手を進み、直線でしぶとく伸びて抜け出したが、最後にブエナビスタに差されて惜しい2着。前の3頭を追いかけず、離れた4番手で上手くタメることができたことが良かったのだろう。内田博騎手が馬場と展開にマッチした乗り方で力を引き出した。ヒカルアマランサスは34.3秒で上がったが、同じような位置にいたワンカラットが34.1秒で上がり0.1秒差の7着。内外の差はあったが、このあたりが内田博騎手の上手さなのだろう。直線で上手くタメを作って切れる脚を引き出している。前走の阪神牝馬Sは中間に体温が安定しなかったこと、芝1400mの流れが合わないこともあって大敗したが、得意の芝1600mで巻き返した。馬体が8キロ減って腹目が少し細くなっていたため、次走は馬体が持ち直しているかどうかがカギになる。芝1800mもこなすため、秋に府中牝馬Sに出走したら要注意。

ニシノブルームーンは中団から馬群を割って2位タイの33.5秒で伸びて3着に突っ込んだ。前半流れに乗れず位置取りが悪くなったが、最後に馬群を割って鋭く伸びてきた。スローの上がり勝負では切れ負けするが、前が引っ張る流れで有力各馬が外を回す展開になったことが良かったのだろう。地力タイプだったが、ようやく末脚が切れるようになってきた。500万条件以来、久々に芝1600mを使ったが、こういう競馬ができれば問題なさそうだ。これなら牡馬相手のマイル戦でも面白そうだ。

レッドディザイアは8枠17番スタートから中団につけたが、直線で伸び切れず3着にハナ差の4着に終わった。勝ったブエナビスタは万能型でマイルもこなすが、レッドディザイアは芝2000〜2400mがベスト。適性の差と仕上がりの差が出たのだろう。今回は急仕上げで調教の動きが本来のものではなかった。ドバイで派手な大外一気を決めた馬。調子が上がって適距離ならこんなことはないだろう。次走は宝塚記念。ブエナビスタは強いが、流れや位置取りによって逆転する可能性はあるとみたい。

ブロードストリートは中団の少し前につけたが、直線で伸び切れず0.1秒差の5着。この馬なりに伸びていたが、最後は切れ負け。もう少し脚をタメられる芝1800〜2000mあたりがベストなのだろう。叩き3戦目で調子を上げていたが、今回は適性の差が出た印象。秋に府中牝馬Sに出走したら注意したい。

ミクロコスモスは出遅れて後方を進み、直線でメンバー最速の33.3秒で大外から追い込んだが、0.1秒差の6着。上がり3Fはブエナビスタを0.2秒上回っただけに出遅れずにもう少し流れに乗れていれば結果は違ったかもしれない。ここにきて馬体が充実して力をつけている。クイーンSに出走したら要注意。

ラドラーダは出遅れて4コーナーで後方2番手。33.9秒で上がったが、13着に終わった。出遅れて流れに乗れず、全く競馬にならなかった。馬体が減って腹目が少し寂しく映ったことも影響したか。東京芝1600mの適性は高いため、来年までに馬体が成長すれば、1年遅れのVがあってもおかしくない。

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