ヴィクトリアM
レース展望

06年に新設された古馬牝馬限定G1。06年は2−3−4番人気、07年は12−9−8番人気、08年は5−1−4番人気、昨年は1−11−7番人気で決着。人気馬同士で堅いか、人気薄同士で大荒れという両極端の結果が出ている。今年はブエナビスタとレッドディザイアが出走するだけに堅く収まるか。ただし人気が集中するため、崩れると大荒れになる可能性もある。07年に1番人気のカワカミプリンセスが馬群に沈んだときの3連単は228万馬券だった。1番人気は9、10、2、1着で前2年はウオッカが連対している。

1番人気で惨敗したラインクラフトはフケ(発情)、カワカミプリンセスは休み明けで実績のない芝1600mが敗因か。過去4年の連対馬8頭のうち6頭は1〜3枠の馬。残る2頭は5枠と8枠で1番人気と3番人気だった。外枠は人気馬のみ。馬場状態にもよるが、データ的に内枠を重視したい。年齢別では、4歳[2−4−1−30]、5歳[2−0−2−13]、6歳[0−0−1−11]、7歳以上[0−0−0−6]で4、5歳馬しか連対がない。6歳以上の高齢馬は3着が1回あるのみ。穴で人気薄4歳馬の激走に注意。

10番人気で連対した2頭の前走はダービー卿CT2着と福島牝馬S1着で2頭とも前走重賞で連対していた。前走重賞で連対したのにも関わらず、人気にならなかった馬の激走に注意したい。過去4年で1〜3着に入った12頭のうち7頭に東京芝G1で3着以内があった。NHKマイルC、天皇賞(秋)、オークスなどレース&距離は問わない。残る5頭のうち2頭は東京芝でオープン以上を勝っていた。残る3頭は東京が初めてで3頭とも前走勝った上がり馬だった。08年は東京が初めてだったエイジアンウインズが制している。

今年のメンバーで東京芝G1で3着以内がある馬は、ブエナビスタ(オークス)、レッドディザイア(オークス2着、ジャパンC3着)、ブラボーデイジー(ヴィクトリアM2着)の3頭。この4頭を除き、東京の芝重賞またはオープン特別勝ちがある馬は、ヤマニンエマイユ(オーロC)、ブロードストリート(スイートピーS)、ムードインディゴ(府中牝馬S)、アイアムカミノマゴ(オーロC)の4頭。今年は実績的にブエナビスタとレッドディザイアが抜けている。海外遠征明け、久々のマイル戦で取りこぼしがあるのかどうか。

ブエナビスタは[6−3−3−0]で複勝率100%。有馬記念はドリームジャーニーに差されたが、ハイペースで先行して最後まで食い下がり底力を見せた。京都記念ではジャガーメイルに迫られたが、手前を替えてひと伸びし、最後まで抜かせなかった。レースのラスト4Fは11.9−11.7−11.4−11.3秒で尻上がり。ラスト2F目でかなりの脚を使ったが、そこからもう一段ギアを隠し持っていた。ジャガーメイルは次走天皇賞(春)を制している。ドバイシーマクラシックでは後方から追い込んで3/4馬身差の2着。

直線でごちゃついたが、狭いところをこじ開けて勝ち馬に迫った。物凄い勝負根性。世界で通用するレベルの能力がある。今回は牝馬限定戦でレッドディザイアを除きメンバーは楽。未勝利から桜花賞まで芝1600mで4連勝したが、その後は全て芝2000m以上のレースを使われている。久々の芝1600m、ドバイ遠征明け、今の東京の高速馬場がカギになるが、絶対能力の高さで克服するか。ここが目標ではないが、凱旋門賞には登録しなかったように年度代表馬を目指しているフシがある。メンバー的に負けられないレースか。

レッドディザイアは桜花賞とオークスでブエナビスタに差されたが、直線の短い秋華賞では中団からロスなく立ち回って先に抜け出し、ブエナビスタをハナ差完封。四位騎手の人馬一体の完璧な騎乗で初めてブエナビスタに先着した。続くジャパンCは秋華賞で目一杯に仕上げたため絶好調ではなかったが、中団からメンバー3位の34.7秒で伸びて0.2秒差の3着に入った。出遅れて位置取りが後ろになり、直線で捌くのに苦労したぶん届かなかったが、古馬一線級が相手でも通用することを示した。まともならウオッカに迫っていた。

ドバイではアル・マクトゥームチャレンジラウンド3で世界の強豪を相手に豪快な大外一気を決めた。能力が世界レベルであることを示すレースとなった。ドバイワールドCはスローペースで道中折り合いを欠き、直線でごちゃついて力を出せず11着に終わった。これまで3着以内を確保していた馬が初めて惨敗した。今回はブエナビスタと同様にドバイ遠征明け。急ピッチに乗り込んでいるが、どこまで仕上げてくるか。芝1600mはエルフィンS1着、桜花賞2着があるが、オークスからは全て1800m以上のレースを使われている。

ブロードストリートは昨年のローズSをレコードで走り、レッドディザイアを完封。秋華賞では4コーナーでブエナビスタに寄られる不利があったが、内を突いて鋭く伸び、0.2秒差の3着まで追い上げた(2着繰り上がり)。レッドディザイア、ブエナビスタと差のない競馬をしている。2走前の六甲Sは休み明けと斤量57キロ、前走の阪神牝馬Sは他馬より1キロ重い56キロを背負い、距離が1F短かったことが敗因。今回は叩き3戦目。藤原英厩舎は08年のヴィクトリアMでエイジアンウインズがウオッカを破って制している。

ラドラーダは阪神牝馬Sで6着に終わり、デビューからの連対が途切れた。外が伸びない馬場で外枠スタートから終始外を回ったことが応えたが、位置取りが後ろ過ぎたことも影響している。安藤勝騎手はテン乗りで結果が出ず、2戦目で好結果を出すことが多い。芝1600mは[3−2−0−0]。東京芝1600mは2戦2勝で中団からメンバー最速の33.6秒、33.0秒で抜け出す強い勝ち方だった。母レディブロンドと同様に馬が競馬に目覚めている。ラドラーダとは「黄金の女性」という意味。G1「金」馬券が復活するか。

阪神牝馬Sの勝ち馬アイアムカミノマゴ、同2着馬プロヴィナージュ、阪急杯で牡馬相手に2着に入ったワンカラット、京都牝馬Sで豪快な大外一気を決めたヒカルアマランサス、昨年の府中牝馬Sの勝ち馬ムードインディゴ、昨年の2着馬ブラボーデイジーなど伏兵は多士済々。プロヴィナージュは大物食いがある小島茂厩舎の管理馬。今回はどんな作戦でくるか。ワンカラットは前走出遅れて競馬をしていない。ヒカルアマランサスは前走不可解な負け方だった。先週のNHKマイルCはレコード決着。高速馬場への対応力と展開がポイントか。

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