競馬アナリストGM
有馬記念
レース展望

ファン投票で選ばれた馬たちによるドリームレース。過去10年で1番人気は[6−1−0−3]で7連対。良馬場で4歳馬なら[5−0−0−0]だが、今年は4歳馬の出走はない。牝馬は6戦6勝の3歳馬ファインモーションが5着に終わっている。2番人気は[1−2−0−7]で3連対、3番人気は[1−1−2−6]で2連対。連対馬20頭のうち15頭が5番人気以内だが、最近3年は6、9、14番人気の人気薄が必ず連対している。馬連は6回が10倍台までに収まっているが、残り4回は全て万馬券決着。堅いか波乱両極端の傾向。

年齢別では3歳[2−3−2−27]、4歳[8−2−1−21]、5歳[0−2−4−36]、6歳[0−1−1−19]、7歳以上[0−2−2−10]で4歳馬の活躍が目立つ。同年のG1で連対した4歳馬が強いが、今年は4歳馬の出走はない。過去10年の勝ち馬は3歳馬2頭、4歳馬8頭で5歳以上は勝っていない。過去10年で3着以内に10番人気以下が5頭入っているが、5頭のうち4頭には中山芝2200m以上のG2で連対、残る1頭には3着があった。穴でAJCC、日経賞など、中山G2実績のある人気薄に注意したい。

今年の出走馬16頭の年齢別頭数は3歳7頭、4歳0頭、5歳1頭、6歳5頭、7歳1頭、8歳2頭。例年活躍の目立つ4歳馬の出走はなく、5歳馬は1頭のみ。逆に3歳馬は1986年以降最多となる7頭。4歳馬はディープスカイとオウケンブルースリ以外は世代レベルが低く、5歳馬はウオッカがダービーを制した世代で牡馬のレベルはそれほど高くない。逆に3歳馬は皐月賞が1分58秒7、菊花賞が3分3秒5で過去10年ではそれぞれ3番目、2番目に早いタイム。秋華賞馬レッドディザイアはジャパンCで3着に入っている。

今年のメンバーで今年の牡馬混合中長距離G1で3着以内に入った馬は、天皇賞(春)は1着マイネルキッツ、3着ドリームジャーニー、宝塚記念は1着ドリームジャーニー、天皇賞(秋)は出走なし、ジャパンCは出走なし。天皇賞(秋)は1〜5着馬、ジャパンCは1〜4着馬の出走がない。今回のメンバーで天皇賞(秋)、ジャパンCで最も人気になったのは、4番人気で6着のドリームジャーニー、5番人気で9着のリーチザクラウン。1〜3番人気に支持された馬の出走はない。これが今年の有馬記念のメンバー。どう考えるべきか。

3歳馬は牝馬2冠のブエナビスタ、皐月賞馬アンライバルド、ダービー2着馬リーチザクラウン、菊花賞馬スリーロールス、菊花賞2着馬フォゲッタブル、皐月賞&菊花賞3着馬セイウンワンダー、神戸新聞杯の勝ち馬イコピコが出走する。ブエナビスタは札幌記念3着、秋華賞3着(2位降着)、エリザベス女王杯3着と勝ち切れない競馬が続いている。秋華賞はレッドディザイアにハナ差で敗れたが、直線では馬群を捌くだけで精一杯。安藤勝騎手は一発も鞭を入れられなかった。桜花賞、オークスでは鞭を入れてからガツンと伸びている。

エリザベス女王杯は後方から外を回って早めに動いて4コーナーで3番手に押し上げ、メンバー最速の32.9秒で上がったが3着が精一杯。逃げ切ったクィーンスプマンテの上がりを3.9秒上回ったが、それでも差せなかった。断然人気で勝ちに行かないといけない立場だが、安藤勝騎手にはそういう認識はなかったようだ。桜花賞、オークスを追い込んで制しているが、デビューからまだ一度もまともな競馬をしていない。今回は横山典騎手に乗り替わるが、まともな競馬で力を出し切ると大きくパフォーマンスを引き上げる可能性がある。

ブエナビスタは直線の長いコースに実績が集中しており、これまでのレースぶりを考えると中山向きではないが、エリザベス女王杯で早めに動いて最後までいい脚を使ったところを見るとこなせる下地はある。陣営はエリザベス女王杯のレースぶりを見て有馬記念参戦を決めたのではないか。ジャパンCではスタートが悪く位置取りが後ろになり、直線で捌くのに苦労したレッドディザイアが0.2秒差の3着に入った。陣営はこれを見て自信を持ったのではないか。勝てば1960年のスターロッチ以来49年ぶりの3歳牝馬の有馬記念制覇となる。

アンライバルドは皐月賞を1分58秒7で快勝。外から一気に捲くって突き放すインパクトのある勝ち方だった。1986年以降、スプリングSと皐月賞を制した馬は全てダービーを制したが、アンライバルドは不良馬場が応えて12着。復帰後の神戸新聞杯は折り合いを欠いて4着、菊花賞は1周目の3コーナーで躓いたことが響いて15着。折り合いに課題があるが、今回は前に行く馬が揃っている。鞍上はアンライバルドの父ネオユニヴァースで2冠を制したデムーロ騎手。スミヨン騎手が騎乗停止になっても陣営は岩田騎手に戻さなかった。

リーチザクラウンは、皐月賞は折り合いを欠き、ダービーは不良馬場、神戸新聞杯は馬体18キロ減、菊花賞は中盤の5Fが速過ぎ、ジャパンCは2000m通過が1分58秒7のハイペースとそれなりに敗因はある。前半5Fが60秒以上は[3−2−0−0]で連対率100%に対し、60秒以下では[0−2−0−3]。今回も前半の入りがカギになる。不良馬場のダービーで激走した馬は調子を崩した馬が多いが、リーチザクラウンは秋に3戦しても調子が落ちない。時期的にサバイバル戦になる有馬記念でこのタフさを生かせないか。

スリーロールスは1枠1番から内をロスなく立ち回って野分特別と菊花賞を連勝。今回は10番枠に入ったが、浜中騎手は内に拘るのだろう。ダンスインザダーク産駒でスタミナは十分。流れが速くなってスタミナの問われる流れになるようなら侮れない。フォゲッタブルはセントライト記念3着、菊花賞2着、ステイヤーズS1着と使うごとにレースぶりが良くなっている。5月から休みなく使われているため、そろそろ疲れが気になるが、ここにきて馬体の造りが良くなっている。母は名牝エアグルーヴ。陣営はルメール騎手を乗せてきた。

セイウンワンダーは[3−1−3−2]で太め残りの弥生賞、不良馬場のダービーを除き3着以内を確保。神戸新聞杯は福永騎手がトライアルに徹した印象。菊花賞は中団からしぶとく伸びて3着に入ったが、道中少しスムーズを欠いた。今回は藤田騎手への乗り替わりがプラスに働く可能性がある。イコピコは神戸新聞杯を差し切り勝ち。菊花賞でメンバー最速の34.8秒で4着まで追い上げたが、位置取りが後ろ過ぎた。鳴尾記念4着はジャパンCを除外された影響があったか。相手なりに走るタイプ。展開と位置取りがマッチするかがカギ。

古馬は宝塚記念の勝ち馬ドリームジャーニー、一昨年の勝ち馬マツリダゴッホ、天皇賞(春)の勝ち馬マイネルキッツ、目黒記念とAR共和国杯を制したミヤビランベリ、昨年の3着馬エアシェイディが出走する。ドリームジャーニーは天皇賞(秋)6着に終わったが、今回は右回り&小回りと条件が好転する。ただし7〜9月は[5−1−0−0]に対し、10〜12月は[1−0−1−5]で暑くなるにつれて調子を上げるタイプ。昨年の有馬記念は4着に終わったが、外に出せず少し脚を余している。小柄な馬で57キロになるのはプラス。

マツリダゴッホは中山芝[8−1−1−2]の巧者。天皇賞(秋)は外枠で17着に終わったが、中山芝でひと桁馬番なら[6−1−1−0]で複勝率100%。昨年の有馬記念は10番枠で12着に終わったが、今年は7番枠に入った。今回がラストランになる。マイネルキッツは前3走不振も天皇賞(春)の勝ち馬でスタミナと地力はある。今回は松岡騎手が騎乗停止のため、三浦騎手に乗り替わる。今年の重賞で三浦騎手は[1−0−2−47]で連対率2%。ちなみにデビュー2年目の武豊騎手は[6−5−3−20]で連対率32.4%。

ミヤビランベリは前4走で重賞3勝。目黒記念はジャガーメイルに5馬身差をつけて圧勝。AR共和国杯は逃げてアーネストリーを完封した。心肺機能の高い馬で芝2500mは3戦3勝。有力馬がブエナビスタを意識して仕掛けが遅れる展開が理想か。エアシェイディはジャパンCでメンバー最先着となる5着。直線で前が詰まって追い出しが遅れ、脚を余した。寒くなると調子を上げるタイプで12〜1月の中山芝では[2−3−1−0]で複勝率100%。伊藤正厩舎は中山芝2500m[3−0−0−1]のネヴァブションと2頭出し。

有馬記念は世相が反映されることが多い。同時多発テロが起きた01年はマンハッタンカフェとアメリカンボスで決着したが、「アメリカ、マンハッタンのカフェでボスを飲む」と語り継がれている。今年の流行語大賞は「政権交代」。単純に世代交代で3歳馬か。あとは酒井法子さん(ノリピー)の「あぶり」という言葉はインパクトがあった。「ア」ンライバルド、「ブ」エナビスタ、「リ」ーチザクラウンは伝説の新馬戦の3頭。4着のスリーロールスは菊花賞を制した。今年は「あぶり」で「世代交代」か。ブエナビスタの鞍上は「ノリ」。

★先週の予想結果
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有料版MR予想(万馬券娘MR)

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