ジャパンCダート
レース回顧

エスポワールシチーは前半5F60.7秒で逃げて直線で後続を引き離し、2着に3馬身半差をつけて圧勝した。途中からマコトスパルビエロに来られて一旦ラップが速くなり、それによって緩急のあるラップで前に行った馬に有利な展開ではなかったが、直線で後続を突き放したのたから強い。1枠1番は最悪の枠になり得る枠だったが、佐藤哲騎手の絶妙な手綱捌きで難なくクリアした。ジャパンCダートの歴史に残る逃亡劇。かしわ記念、南部杯を勝ったのはやはりダテではなかった。最終調教での前脚の可動域の大きいフットワークは完全本格化を示すもの。覚えて置いて損はない。パドックでは馬体の張りが良く、気合乗りも目立っていた。これでかしわ記念からG1を3連勝。7歳世代は強かったが、これで完全に世代交代した。今後はフェブラリーSからドバイワールドCに挑戦することになりそうだ。父ゴールドアリュールは海外に遠征しなかったが、エスポワールシチーはどのレベルに行けるのか、今から本当に楽しみだ。

シルクメビウスは後方を進み、直線で外からメンバー最速タイの36.9秒で伸びて2着に入った。直線で各馬が一杯になる中、外からしぶとく伸びて2着を確保。エスポワールシチーには3馬身半差をつけられたが、外枠スタートから終始外を回ったことを考えると強い内容。3歳のダート馬は高レベル。前走のトパーズSをインパクトのあるレースで圧勝したのはダテではなかったことを示した。パドックでは馬体を大きく見せ、全体的に実の入りが良くなり本格化を感じさせた。田中博騎手は女王杯のクィーンスプマンテに続きG1で激走。今後に向けていいアピールになった。シルクメビウスはひと息入れて来年はフェブラリーSを目指す予定。

ゴールデンチケットは後方からメンバー最速タイの36.9秒で伸びて3着。これまでは先行していたが、今回はテン乗りのルメール騎手が一転して追い込む競馬。エスポワールシチーが強い競馬で逃げ切る展開が嵌った感もあるが、大外から凄い脚で伸びてきた。ジャパンダートダービーでハイペースで逃げて3着に粘った馬。底力の問われるレースが合うようだ。ダートでは[2−1−3−0]で複勝率100%。G1ではこういう崩れていない馬が波乱を演出することが多いので注意したい。

サクセスブロッケンは3番手から伸び切れず4着。3、4コーナーで仕掛けて直線で2番手に上がったが、そこから伸びなかった。武蔵野Sの負け方よりは良かったが、パドックでも気配が地味に映ったようにまだ本調子に戻っていないようだ。フェブラリーSをレコード勝ちした馬で底力はある。最近は攻め駆けするようになっており、調子の見極めが難しいタイプになりつつある。

ワンダーアキュートは大外枠スタートから好位の外につけたが、直線で伸び切れず6着。逃げ切った武蔵野Sは内をロスなく回ることができたが、今回は外々を回るロスがあった。最後は伸びを欠いたが、それでも6着に踏ん張っており能力は示した。武蔵野Sで減った馬体は戻っており、調子&気配落ちはなかった。心肺機能の高い馬。もう少し長い距離の方が力を出せそうだ。

ヴァーミリアンは中団の少し前につけたが、4コーナーから直線で包まれて位置取りが悪くなり8着に終わった。この日の武豊騎手はかなり乗れていたが、肝心のところで不発。ただしヴァーミリアンが1800mは距離不足ということもあるのだろう。勝負どころで反応が鈍かった。前走から馬体が9キロ増えていたが、活気があり気配は良かった。力の要る地方のダートならまだやれる。

[Home]