ファンタジーS
レース回顧

タガノエリザベートは控えて最後方を進み、直線入り口で大外に持ち出すとメンバー最速の33.5秒で豪快に差し切った。ラナンキュラスが勝ったりんどう賞は5F57.3秒だったが、今回は前半5F58.4秒で少し緩い流れ。それによって4コーナーで馬群が圧縮される形になり、追い込みが嵌った。同厩のベストクルーズが早めに動いて有力馬を潰したこともプラスに働いている。上がりの早い新潟以外で33秒台の末脚を繰り出したことのある馬はタガノエリザベートしかいなかった。安藤勝騎手はブエビスタには追い込む競馬しかさせなかったが、タガノエリザベートには前に行ったり、追い込んだりして競馬を教えていた。それが実を結んだ印象。今回は大外一気で派手な勝ち方をしたが、これをそのまま実力と考えるのは危険。次走の阪神JFでは真価が問われそうだ。

ベストクルーズは大外枠スタートから好位を進み、直線で人気のラナンキュラス、グレナディーンを捻じ伏せて先頭に立ったが、外から一気にタガノエリザベートに交わされて0.1秒差の2着。安藤勝騎手が内の馬を交わせば勝てるという意識でいたぶん最後に緩めて差し切られた。最後までしっかり追っていれば際どかったのではないか。終始外を回るロスがあったことを考えると強い内容。芦毛で馬体は目立たないが、近親にニッポーテイオーがいる一族で底力がある。まだガツンとした脚は使えないが、相手なりに堅実に走るタイプ。阪神JFでもそれなりにやれそうだ。

グレナディーンは2番手からしぶとく粘って3着。直線でラナンキュラスには競り勝ったが、そこまでだった。橋口厩舎は昨年のアディアフォーンに続き2年連続で3着。調教の動きが良かったため、条件戦を使わずに武豊騎手を乗せて使ってきたが、当日馬体が10キロ減っていたのは誤算だろう。先行して堅実に走るタイプだが、重賞を勝つにはもうワンパンチ欲しい。

ラナンキュラスは内枠からスタートを決めて3番手につけたが、直線で伸び切れず4着。四位騎手が馬場傾向を考慮していつもより前につけたが、直線で馬場の悪い内を通ったこともあり、伸び切れなかった。今回は1番人気を裏切ったが、揉まれる競馬をしたのはいい経験になる。現時点では掛かりのいい走りをするため、コーナーがきつく直線の短いコースの方が合っている。

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