秋華賞
相馬眼予想

京都は晴れ、芝ダートとも良馬場。芝コースは2週目で今週もAコースで行われる。先週は土曜が前残り傾向だったが、日曜は流れが速くなり外差しが決まっていた。土曜は小雨が降ったが大きな影響はなかった。流れが緩んだレースは前が残るケースが目立ったが、前半5F58.8秒と流れたデイリー杯2歳Sではリディルがメンバー最速タイの33.8秒で大外一気を決めた。秋華賞は内回りコースで基本的には中団より前につけた馬が有利だが、極端な前残りの展開にならなければ脚力のある馬が突っ込んでくるのではないか。

次に展開だが、逃げるのはホクトグレイン。1枠1番に入ったため、強気に行く手だろう。先週の京都大賞典で田中博騎手はクィーンスプマンテで前に行き見せ場を作っている。2番手にヴィーヴァヴォドカ、デリキットピースが続き、好位にパールシャドウ、クーデグレイス、ワイドサファイア、中団にモルガナイト、ハシッテホシーノ、ブロードストリート、ダイアナバローズ、レッドディザイア、ジャルミナル、後方からミクロコスモス、ブエナビスタといった展開。人気馬が差し追い込み馬。流れは速くなる可能性は低いか。

過去5年の秋華賞の前半5Fは59.9秒(スイープトウショウ大外一気)、60.1秒(エアメサイア追い込み)、58.4秒(カワカミプリンセス中団差し)、59.2秒(ダイワスカーレット2番手)、58.6秒(ブラックエンブレム好位差し)。流れが遅くても差し追い込みが決まっており、直線の短い小回りコースでも脚力のある馬は外から差し切っている。時々展開的な紛れで内を通った馬が好走するケースがあるが、流れは落ち着きにくく、基本的には力のある馬が好走しやすいコース。馬の能力、底力を重視したい。

春の時点ではブエナビスタとレッドディザイアの2頭の能力が抜けていた。2着レッドディザイアと3着ジェルミナルの差は桜花賞は0.2秒、オークスが0.5秒。流れが緩んだオークスで差が大きくなった。今年の秋華賞はブエナビスタ、レッドディザイアはどちらが強いのか、どちらが先着するのか、2頭を脅かす馬はいないのかというのが焦点。まずブエナビスタvsレッドディザイアでは、夏を越しての馬体の成長、今回の仕上がりではレッドディザイアが上だが、春の時点では絶対能力はブエナビスタの方が上だった。

ブエナビスタはデビュー以来上がり3Fはメンバー最速でこれは無敗で3冠を制したディープインパクトと同じ。オークスで普通の馬では届かない位置からレッドディザイアを差したように末脚の威力は半端ではない。レッドディザイアは桜花賞とオークスがメンバー2位でそれ以外がメンバー最速。ブエナビスタとレッドディザイアの上がり3Fは、桜花賞が33.3秒−33.7秒、オークスが33.6秒−34.2秒でブエナビスタが0.4秒、0.6秒上回っている。桜花賞とオークスは直線が長かったが、今回は直線の短い京都内回り。

レッドディザイアの四位騎手は勝つための乗り方をするとコメントしている。内枠に入ったため、道中は内の中団をロスなく進めて直線でスパッと抜け出す作戦だろう。ブエナビスタは馬込みに入れたことがないため、おそらく一旦下げて後方から外を捲くって追い込む競馬になる。レッドディザイアが前でロスなく進め、ブエナビスタが後方から大外を回って追い込むと位置取りとコース取りの差、直線の短さも手伝ってレッドディザイアが勝つ可能性がある。ただし内を突くため、馬群を捌くリスクがあり、捌けないと厳しい競馬になる。

ブエナビスタは3冠牝馬メジロラモーヌ、スティルインラブより絶対能力が高く、3冠牝馬になれる能力を備えているのは間違いない。ただし今回はオークスのときのように攻めていない。攻められないのは、脚元の関係、馬体減など色々とあるのだろう。ただしこのレベルの馬になると普通に仕上がれば力を出せる。派手な大外一気で見事に3冠達成というシーンも十分に考えられる。なにより馬主が社台。サンデーRから3冠牝馬が出たとなれば、これ以上の宣伝効果はない。オークスでは断然人気なのにどの騎手もノーマークだった。

特にルージュバンブーに騎乗していた田中勝騎手は外から被せることができたが、全くその素振りすら見せなかった。目には見えない社台のプレッシャーがあるのだろう。社台が勝たせたい馬を負けさせれば、騎手人生に狂いが生じることは間違いない。これが今の競馬界の現実。先週の京都大賞典、土曜のデイリー杯2歳Sでは大外一気が決まった。芝が良好な状態で外差しが決まる馬場。JRAもブエナビスタの3冠を望んでいるのではないか。それでもレッドディザイアが勝つ可能性はある。渾身の仕上げをした厩舎と馬の根性に賭けてみたい。

それでは2頭を脅かす存在はいないのだろうか。まずはローズSをレコード勝ちしたブロードストリート。今年1月の相馬眼ニュースで「ブエナビスタは強いが、好位から切れる脚を使えることは大きな武器になる」と書いた。切れ味では2頭に負けるが、自在性があって立ち回りが上手く、馬込みで進められ、追い出すと一瞬のうちにトップギアに入る末脚がある。逆転するための武器を持っている。ただし本番前にレコード勝ちした点がどう出るか。使ったことで動き、気配は良くなっているが、そこに少し不安がある。

◎レッドディザイア
○ブエナビスタ
▲ブロードストリート
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