スプリンターズS
レース回顧

ローレルゲレイロは外枠スタートから押してハナを切り、前半3F32.9秒で飛ばしたが、直線でしぶとく粘ってビービーガルダンの追撃を振り切りレースを制した。長い写真判定になったが、結果はビービーガルダンとわずか1cm差。ゴールまで一心不乱に追いまくった藤田騎手と最後に横を見ながら追った安藤勝騎手の差が最後に出た印象。人馬の執念で掴んだ勝利。パドックでは前走減った馬体がさらに減っていい時と比較すると馬体のバランスが良くなかった。前半3F32.9秒で飛ばして逃げ切れたのは、G1馬の底力以外、何物でもない。ただし内を通って前に行った馬が有利な馬場だったこと、内にいたアルティマトゥーレをブロックできたこと、好位から切れる脚を使える馬がいなかったことなど少し恵まれた面もある。セントウルSは不甲斐ない競馬で14着に終わったが、負けるときはトコトン負けるタイプ。高松宮記念の勝ち馬が6番人気の低評価だったが、G1馬は馬鹿にできないといことをあらためて示した。スプリント路線は今回も含め、レベルの低い状態が続いていることを付け加えておく。今後は香港スプリントを目標に調整される予定。前哨戦のインターナショナルスプリントトライアルに使うプランもあるようだ。

ビービーガルダンはスタートを決めて好位につけ、直線で逃げたローレルゲレイロに迫ったが、ハナ差の惜しい2着。最後は競り負けたが、勝負どころで気を抜く癖を見せなかったし、持ちタイムのない馬が1分7秒5で走ったように力は出している。安藤勝騎手はセントウルSとスプリンターズSのビリーヴ、天皇賞(秋)のダイワスカーレットなど、最後に横を向いて手が止まり、際どい差で負けることが多い。ただしゴールまで猛烈に追わないのは、安藤勝騎手のスタイル。理由など深くは書かないが、競馬ファンの印象は良くないのではないか。パドックではひと叩きされて馬体が引き締まり、気合乗りも良くなり、きっちり仕上げてきていた。昨年は0.2秒差3着、今年はハナ差の2着と着実に地力が強化されている。現時点でスプリント戦での地力はトップレベルということは証明されたが、昨年の京阪杯で6着に終わったように馬場や展開に左右される面はまだ残っている。次走はJBCスプリントに向う予定。除外されれば、京阪杯に向うようだ。

カノヤザクラは出遅れ気味のスタートで後方を進み、直線で大外からメンバー2位の33.8秒で鋭く伸びて3着に突っ込んだ。前に行った馬が残る馬場&展開で3〜9着まで0.1秒差の接戦になったが、最後にひと伸びして3着を確保。パドックでは馬体、気配とも良く、中山ではイレ込む馬が落ち着いて周回していた。セントウルSで目一杯に仕上げてサマースプリントシリーズを連覇したが、やはりセントウルSの直線で馬群に包まれて目一杯走らなかったことが良かったのだろう。6月から休みなく使われて5戦目だったが、調子は落ちていなかった。サマースプリントシリーズを連覇したように夏に走るタイプ。今後はひと息入れることになりそうだ。

アルティマトゥーレは1枠スタートから2、3番手を進んだが、直線で伸び切れず0.3秒差の5着。直線でアーバニティがいて外に持ち出せず、直線半ばからはローレルゲレイロに前に入られて抜け出すスペースがなかった。同じ社台RHのアーバニティに外から来られるとは松岡騎手もビックリか。セントウルSは外から早めに動いて楽勝したが、今回は前に藤田騎手がいて動きにくい面もあったのだろう。パドックでは張りのあるバランスのいい馬体をキープできていた。今回は力を出し切っていないが、ごちゃつくレースの経験がなくキャリアの差もある。クラブの規定で来春で引退になるが、高松宮記念で巻き返しを期待したい。

トレノジュビリーは内の好位につけたが、直線で伸び切れず6着。調教後は480キロに回復していたが、当日は前走から4キロ減の460キロに落ち込んでいた。直線で弾けなかったのは馬体が減った影響があったのだろう。中山の急坂が初めてだったこともあるか。宝ケ池特別とテレビ愛知オープンで強い勝ち方をした馬で能力は重賞級。岩田騎手が手放さないのは能力を感じているからなのだろう。馬体が戻って直線が平坦なコースに替わると一変する可能性がある。スプリンターズSでサクラバクシオンオー産駒は[0−0−2−10]で3着止まり。サクラバクシオンオーはスプリンターズSを連覇したが、産駒に連対した馬はまだいない。

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