競馬アナリストGM
桜花賞
レース展望

牝馬クラシックの第一弾。過去10年で1番人気は[2-3-2-3]で5連対。チューリップ賞の勝ち馬が1番人気になると[1-2-0-0]で連対率100%。07年のウオッカは単勝1.4倍で2着に敗れた。2番人気は[2-1-1-6]で3連対、3番人気は[1-0-1-8]で1連対と不振。6〜9番人気が5連対、10番人気以下が4連対と人気薄の連対が多く波乱傾向が強い。馬連は10倍以下は1回しかなく、50倍以上が2回、万馬券が2回と荒れている。外回りコースに変更された07年はダイワスカーレットとウオッカでガチガチの決着になったが、昨年は12-15-5番人気で馬連19万馬券、3連単700万馬券と荒れた。メンバーのレベルが低いと荒れる。

ブエナビスタは4戦3勝でまだ牝馬には負けていない。唯一3着に負けた新馬戦は出遅れ、スローペースが響いたもの。最後はメンバー最速の33.5秒で鋭く伸びてきた。勝ったアンライバルドはスプリングS、2着リーチザクラウンはきさらぎ賞を制している。未勝利戦は気合をつけただけで3馬身差の圧勝。阪神JFは大外から豪快に突き抜けて2馬身半差で楽勝。最後は抑える余裕があって上がり3Fはメンバー最速の34.8秒。インパクトのある勝ち方だった。チューリップ賞はスローを見越して3コーナーから早めに動いて4コーナーで先団に取りつき、直線半ばで手前を替えるとガツンと伸びてサクラミモザを一気に差し切った。

昨年と馬体重は変わらなかったが、実の入りが良くなっていた。落ち着きがあり、騎手の指示に従順なところがいい。内枠スタートから一旦後方に下げて大外から上がって行くかなりロスのある競馬をしたのは、外を回っても勝てる自信があったのだろう。内で揉まれるより、外を回った方が安全という考え方。先週の阪神はブエナビスタ仕様の外差し馬場に変貌していたし、今回も外から差す競馬をするのだろう。デビューから4戦とも上がり3Fはメンバー最速で末脚の破壊力は相当。ここにきて馬体のバランスが良くなり、クラシック前のディープインパクトの雰囲気に近づいている。

近年の桜花賞はダイワスカーレットが勝った07年がハイレベル。安藤勝騎手のダイワスカーレットがチューリップ賞より早くスパートして断然人気のウオッカを完封したが、ブエナビスタならダイワスカーレットを差し切れるかもしれない。安藤勝騎手はそれくらいの自信があるのではないか。安藤勝騎手は桜花賞最年長勝利記録を持っているが、今回勝てば69年ぶりに最年長クラシック勝利記録を更新する。1995年の桜花賞ではライデンリーダーに騎乗し、1番人気で4着に終わった。桜花賞はキストゥヘヴン、ダイワスカーレットで2勝を挙げているが、1番人気に支持されるのは、ライデンリーダー以来14年ぶり。当然、思い入れはあるはずだ。

ブエナビスタの母ビワハイジは阪神JF1着→チューリップ賞2着→桜花賞15着。ブエナビスタは問題なさそうだが、パドックでフケ(発情)の兆候がないかチェックしたい。1986年以降の桜花賞で9番枠は[5-1-2-15]で最多の5勝を挙げている。1番人気では[3-0-0-0]でアグネスフローラ、ニシノフラワー、ダンスインザムードが勝っている。2冠馬ファレノプシス、3冠馬スティルインラブも桜花賞は9番枠だった。JRAはブエナビスタを最も勝つ確率が高い9番枠に入れ、過去10年で[0-0-0-19]の1枠にダノンベルベールとツーデイズノーチス、ロスのある大外枠にレッドディザイアを入れた。騎手たちは空気を読む。競馬に絶対はないが、勝つ準備は整っている。

レッドディザイアは新馬、エルフィンSを連勝。新馬戦は勝負どころでもたついて前に離されたが、直線でエンジンがかかると鋭く伸びて最後はきっちり差し切った。上がり3Fはメンバー最速の34.2秒。レースのラスト3Fは12.1-11.4-11.5秒。レッドディザイアはラスト2F10秒台後半から11秒台前半のラップで上がっている。デビュー戦でこれほど切れる脚を使う馬は稀。エルフィンSは直線で内を突いて馬群を捌くロスがあり、かなり厳しい競馬になったが、ゴールできっちり届いた。上がり3Fはメンバー最速の34.2秒。1988年のスポニチ賞金杯を勝ったタマモクロスを彷彿させるレースぶり。キャリア1戦の馬ができる芸当ではない。

キャリアが浅くまだ荒削りな面があるが、相馬眼的に潜在能力は相当。過去20年の桜花賞でキャリア2戦の馬が連対したのは、1989年ホクトビーナス2着、1990年ケリーバッグ2着の2頭しかいない。エルフィンSを勝った後、トライアルを使わなかったのは、距離が延びるオークスを意識しているのだろう。今回4着以内に入ればオークスの優先出走権を確保できる。父はマンハッタンカフェで母の父はCaerleon。マンハッタンカフェは今年のリーディングサイアーでトップを走るが、まだG1馬がいない。種牡馬シンジケートは1750万円×60株で10億5000万円。現在、社台スタリオンステーションで供用されている。そろそろG1勝ちが欲しいのではないか。

管理する松永幹調教師は騎手時代にG1を6勝しているが、全て牝馬での勝利。天覧競走となった05年の天皇賞(秋)をヘヴンリーロマンスで制している。勝った後に天皇、皇后両陛下に深々と頭を下げた姿が印象的。桜花賞をキョウエイマーチとチアズグレイスで制しているが、今回のレッドディザイアの8枠18番はキョウエイマーチと同じ。JRAは粋なことをする。騎手を引退する日は1400勝が懸かっていたが、阪急杯をブルーショットガン、最終レースをフィールドルージュで連勝し、見事に1400勝を達成した。神様が降りてきたような信じられない勝ち方だった。桜花賞当日は4月12日。鞍上は四位騎手。四位2着を暗示?

長くなり過ぎたため、以下は簡単に・・・。ダノンベルベールは栗東入りして調整しており、阪神JFと同じような雰囲気。阪神JFでは1枠2番から上手く外に持ち出したが、脚質に幅を広げた今回はどう乗るか。後藤騎手はブエナビスタに勝つ乗り方をしそうだが、勝ちに行くと連対を外す可能性が高くなることもある。サクラミモザは初芝のチューリップ賞で逃げて2着に粘った。ブエナビスタに最も迫った牝馬。チューリップ賞はスローペース、前残りの馬場に恵まれたが、フロックではなさそう。さくらコマースは意外にも1990年サクラサエズリ(12着)以来19年ぶりの桜花賞出走。「桜の季節に桜が満開」なるか。

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