フェブラリーS
レース回顧

サクセスブロッケンはスタートを決めて3番手を進み、直線でカジノドライヴとの叩き合いをクビ差で制した。脚抜きのいい馬場でエスポワールシチーの逃げがそれほど速くなったため、前につけた馬が5着まで独占した。勝ちタイムは1分34秒6は、05年のメイショウボーラーを0.1秒上回るレコードタイム。サクセスブロッケンはJBCクラシック2着(0.1秒差)、ジャパンCダート8着(0.7秒差)、東京大賞典3着(0.5秒差)、川崎記念3着(0.7秒差)で古馬との対戦で伸び悩んでおり、今回は斤量1キロ増の57キロ、高速馬場と厳しい条件が揃っていたが、距離短縮でこれまでのイメージを一新した。母サクセスビューティはフィリーズレビューの勝ち馬。これくらいの距離に適性があるようだ。3歳時にヒヤシンスSを1分37秒0で4馬身差で圧勝したが、そのとき4着で1分37秒9で走ったナンヨーヒルトップが昨秋の秋嶺Sを1分36秒0で7馬身差で圧勝。ナンヨーヒルトップは1.9秒時計を詰めたが、サクセスブロッケンは今回2.4秒詰めた。このあたりに距離短縮で一変する下地はあった。ここにきて馬体が増えて実の入りが良くなったこともあるのだろう。同じ4歳のカジノドライヴ、エスポワールシチーもG1で通用する能力はあるが、サクセスブロッケンは古馬の一線級と何度も戦った経験があった。最後にひと伸びしたのは、経験の差が出たのだろう。善戦止まりが続いていた馬が、G1で一変して穴をあけるのはよくあるパターン。競走馬は日々成長する。見える部分はもちろん、見えない部分を予想してこそ、真の競馬予想。強気に踏み込む勇気が必要だ。今後は秋まで休養する予定。馬体が成長すれば、さらに強いサクラスブロッケンが見られそうだ。

カジノドライヴは逃げたエスポワールシチーをマークして2番手を進み、直線で一旦抜け出しかけたが、最後にサクセスブロッケンとの叩き合いに敗れてクビ差の惜しい2着。エスポワールシチーの逃げが3F目から11.9−11.9−11.8秒とラップが上がらなかったことで楽々と2番手を追走し、直線では追い出しを待つ余裕。最後も止まっていないが、外から伸びたサクセスブロッケンに切れ負けした形。回避馬が出て滑り込みでの出走、目標は次のドバイワールドC。馬体10キロ増は前走減ったものが戻ったもので太くはなかったが、G1は狙って獲るものだけにここを勝ちにきた馬との差が最後に出たのだろう。サクセスブロッケンとは経験の差もある。それでも能力がG1級であることをあらためて証明した。パドックでは馬体のバランスが良く、気合乗りが目立っていた。相馬眼的に評価できる馬。他馬とはひと味違う雰囲気でまさに世界レベルの馬。次走はドバイワールドC。輸送をクリアしていい状態で出走できれば、世界制覇も夢ではない。

カネヒキリは内ラチ沿いの4番手を進み、直線で内からしぶとく伸びてクビ+頭差の3着。上がり3Fはメンバー最速の35.3秒。G1−3連勝中の実力馬が最後に底力を見せた。1枠で道中揉まれることが懸念されたが、馬群がバラけたことで好位をスムーズに追走できたことが良かったのだろう。高速馬場、不利な1枠を考えるとよく走っている。パドックでは張りのある馬体が目立ち、活気もあった。脚元に爆弾を抱えているため、自分との闘いになるが、7歳でもまだ十分にやれそうだ。G1−8勝の日本記録をぜひとも達成してもらいたい。

エスポワールシチーはハナを切って軽快に飛ばし、直線に向きラスト2Fからスパートしたが、最後に一杯になって0.2秒差の4着。この日の馬場を考えると前半5F58.8秒はそれほど早くはない。1〜3着馬の上がり3Fが35.3〜35.6秒だったように結局は切れ負け。もっと速いペースで飛ばせばといったところだが、佐藤哲騎手はまだ攻められない何かを感じているのだろう。錦秋Sで好タイム勝ちしたことで他馬にマークされたことも影響している。マイラーズC→安田記念のコンゴウリキシオーもこのパターンだった。初の一線級を相手に1分34秒8で走って4着なら上々。これから経験を積んでいけば、どこかでG1を勝つチャンスがありそうだ。

フェラーリピサは4番手を進んだが、直線で伸び切れず0.4秒差の5着。大外枠スタートから終始外を回るロスがあった。ヴァーミリアンには先着したが、もう少し内枠でロスのない競馬ができていれば上位争いに加われたかもしれない。パドックでは重戦車のような馬体で力量感十分。ひと叩きされたことで気配が良くなっていた。距離は1600mもこなせるが、現時点でベストは1400m。小回りなら1700m。本格化しているので、これから交流重賞を勝ちまくりそうだ。

ヴァーミリアンは7番手を進んだが、直線で伸び切れず0.5秒差6着。勝負どころで反応が悪く、前に離されたことが応えた。昨年の勝ち馬だが、本質的にダ1600m向きの馬ではないため、前残りの高速馬場では仕方ない面もある。それでも調教の動きを考えるとよく走っている。全盛期の勢いは徐々に薄れてきているが、まだ能力は高く、ダ2000m前後ならG1でやれる。ダートG1−6勝の実力馬。調子を上げてくれば、G1−8勝の日本記録達成もありそうだ。

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