競馬アナリストGM
ジャパンCダート
レース展望

00年に新設されたダートの国際G1。今年から阪神ダ1800mに変更される。過去8年で1番人気は[3-3-1-1]で6連対。00年の牝馬と03年の中山開催を除くと[3-3-0-0]で連対率100%。2番人気は[0-0-0-8]、3番人気は[0-1-0-7]と不振。馬連は1番人気が堅実なため、最近は荒れても中穴止まり。連対した日本馬15頭のうち10頭は前走重賞で3着以内。残る5頭のうち3頭は地方交流G1で4〜6着。前走重賞なら3着以内、G1なら6着以内が目安になる。最近6年は前走JBCクラシックに出走した馬が連対中。JBCクラシックの勝ち馬は[1-2-1-3]だが、1番人気に支持されれば[1-2-1-0]で複勝率100%。

ヴァーミリアンは06年12月の名古屋グランプリを勝ってから国内では負けておらず、現在7連勝、G1は6連勝中。今回のメンバーでは外国馬3頭、長期休養していたカネヒキリ、日本で1戦のカジノドライヴ、初ダートのアドマイヤフジ以外とはほぼ勝負付けが済んでいるが、前走のJBCクラシックは7連勝の中で2着と最も着差が小さくクビ差の接戦だった。地方のダートでは[7-0-0-0]で圧倒的な強さがあるが、7戦のうち6戦は2000m以上で接戦の前走は1870mだった。中央のダートでは[3-1-0-3]で地方より確度は高くなく、ダ1800mは完全本格化前に2戦して05年エニフS1着、06年平安S2着(1着タガノゲルニカ)がある。

東京ダ2100mなら連覇濃厚だが、今年は多頭数でごちゃつきそうな阪神ダ1800m。フェブラリーSでマイルのスピード勝負に対応し、JBCクラシックでは前につけて小回りの1870mに対応できたことから、阪神ダ1800mはこなせそうだが、大型馬でパワータイプだけに出遅れて位置取りが悪くなったり、JRAが外国馬を意識して締まったダートにして高速決着になった場合に少し不安がある。スタートの上手い岩田騎手なら問題なさそうだが、ヴァーミリアンはテン乗り騎手では[1-0-0-6]となぜか走らない(芝戦含む)。国内で[9-3-0-0]の武豊騎手が乗れないのは痛いが、スムーズならあっさりもある。

サクセスブロッケンはダートは[5-1-0-0]でまだ底を見せていない。今年の3歳ダート馬はレベルが高いが、3歳馬同士では5戦5勝で全て3馬身半以上の差をつけて楽勝している。端午Sで5馬身差の2着ユビキタスはユニコーンS勝ち、ジャパンダートダービーで3馬身半差の2着スマートファルコンはJBCスプリント2着、白山大賞典&浦和記念1着。前走のJBCクラシックはスタートで躓いて横山典騎手の鐙が外れるアクシデントがあったが、押してハナを切り、直線でヴァーミリアンに食い下がってクビ差の2着に粘った。スタートが決まっていれば、あるいはといった内容。これまで経験のない速い流れになったときにどこまで踏ん張れるか。

カジノドライヴは京都ダ1800mの新馬戦で逃げて大差勝ち。ラスト3Fは13.1-12.2-11.9秒で尻上がり。勝ちタイムは優秀で同じように新馬戦を大差勝ちしたサクセスブロッケン以上のパフォーマンスだった。2戦目のピーターパンS(ダ1800m)は1分47秒8で2着に5馬身3/4差をつけて楽勝。3戦目のアローワンスは接戦だったが、デビューから無傷の3連勝。前走のBCクラシックは速いペースで逃げてシンガリ負け。馬場も合わなかったか。今回はレーティング4位で出走できることになった。日本では1戦しかしていないため、他馬との比較は難しいが、超良血馬で並の馬ではないことは確か。藤沢和厩舎は今年重賞未勝利。

カネヒキリは屈腱炎明けの武蔵野Sは直線で前が壁になって全く追えず9着。国内G1は[4-1-0-0]で06年のフェブラリーSではヴァーミリアンを子供扱いしたように能力はトップクラス。今回はルメール騎手が騎乗する。メイショウトウコンは前走JBCクラシック3着。後方からいい脚を長く使って0.2秒差まで追い上げた。ダ1800mは[2-1-1-1]で輸送の短い関西圏では崩れないタイプ。展開が嵌れば突っ込みがあるかもしれない。今秋のG1は武幸騎手で結果が出なかった馬が好成績。ワンダースピードはオープン入りしてから関西圏のダートでは[3-2-1-1]と堅実。阪神ダートは得意でダ2000mでは2回レコード勝ちしている。

サンライズバッカスは07年にフェブラリーSを勝ってからG1では5、3、5、3、3着と勝ち切れないが、相手なりに走っている。前走の武蔵野Sは58キロを背負って初めて連対を果たした。阪神ダ1400mのプロキオンSでは後方から34.6秒で3着に突っ込んでいる。ワイルドワンダーはダートG1[0-1-3-1]で1600mでは4戦して全て3着以内を確保。ダ1800mは[2-0-0-2]でアンタレスSを勝っており、距離はこなせる。内で馬を前に置いてタメが利くと切れる脚を使えるタイプ。外枠に入ったのがどう出るか。ダートG1でフリオーソは[3-3-0-2]、ボンネビルレコードは[2-1-2-7]の実績がある。高速決着に対応できるかが鍵になる。

外国馬はアメリカからティンカップチャリス、フロストジャイアント、マストトラックの3頭が出走する。今秋のG1で外国馬はエリザベス女王杯10着、15着、マイルCS9着、ジャパンC9着、13着、14着で全く出番なし。この傾向から安易に軽視したくなるが、実績、馬体の造り、調教の動きなどを分析すると狙える馬がいるかもしれない。過去のジャパンCダートでJRAは外国馬向きの馬場に設定したことがあったため、当日の馬場状態には注意を払いたい。今年から阪神ダ1800mで行われることが最大のポイント。東京ダ2100mとは全くコースが違うため、過去のデータが当て嵌まらない可能性がある。そこは考慮しておきたい。

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