エリザベス女王杯
レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。過去10年の1番人気は[2-2-1-5]で4連対、2番人気は[5-3-1-1]で8連対、3番人気は[1-1-0-8]で2連対。連対馬20頭のうち18頭が5番人気以内と人気馬が堅実。毎年1、2番人気のどちらかが必ず連対している。01年以降の7年は秋華賞馬が1番人気になっているが、今年はブラックエンブレムの出走はない。2番人気は00年のトゥザヴィクトリーが4着に終わったが、それ以降は3着以内を確保しており、1番人気より堅実。馬連は毎年1、2番人気が連対するため、万馬券はなく、荒れても中穴止まり。10倍台までが5回と堅く収まることが多い。

連対馬20頭のうち17頭に牝馬限定G1で連対があり、残る3頭にはG2またはG3勝ちがあった。G1でレベルが高く、重賞実績のない馬は通用していない。過去10年の傾向から秋華賞組は4番人気以内に支持され5着以内、府中牝馬S組は5番人気以内に支持され5着以内が条件になる。3歳馬は[4-3-0-49]で連対した7頭のうち5頭の生産牧場はノーザンファームと社台ファーム。3歳馬は社台系生産馬に要注意。7番人気以下で3着以内に入った4頭のうち3頭は4コーナー10番手以降からの追い込みで、4頭の馬番は14〜16番だった。穴で外枠に入った追い込みタイプの激走に注意したい。

エリザベス女王杯は天皇賞(秋)に出走した牝馬が活躍する傾向があるが、今年は天皇賞(秋)で連対したウオッカとダイワスカーレットの出走はない。オークス馬トールポピーは鼻出血で回避、秋華賞馬ブラックエンブレムは休養に入った。昨年の上位馬フサイチパンドラ、スイープトウショウ、ディアデラノビア、アドマイヤキッス(死亡)、アサヒライジングはみな引退した。府中牝馬Sを勝ったブルーメンブラットはマイルCSに向かう予定。今年のメンバーでG1勝ちがあるのは、一昨年のオークス&秋華賞馬カワカミプリンセスと今年の桜花賞馬レジネッタの2頭しかいない。さらに今秋に重賞を勝った馬はローズSを制したマイネレーツェルしかいない。

カワカミプリンセスは実績を考えるとメンバーに恵まれた印象。復帰戦の府中牝馬Sは2番手から直線で抜け出したが、ブルーメンブラットに差されて半馬身差の2着。最後は切れ負けしたが、休み明けで馬体が太かったことを考えると上々の内容。馬体の造り、活気ある姿はいい時と遜色なかった。本番を前にひと叩きできたことは大きく、今回は当然、馬体を絞ってくる。2年前のエリザベス女王杯は1位入線も直線で斜行してヤマニンシュクルの走行を妨害したため12着に降着。この汚点を晴らすため、調教で攻めて完全勝負モード。レースが地力勝負になれば、勝つ可能性が高い。

ポルトフィーノは、桜花賞は左寛跛行で出走取消、オークスは右第1指骨剥離骨折で回避、秋華賞は賞金除外。G1は今回が初めてになる。前走の清水Sは休み明けで初の古馬相手と条件は厳しかったが、中団からメンバー3位の33.8秒で差し切り勝ち。勝ちタイム1分32秒5は早く、レースのラスト3Fは11.2-11.9-11.7秒でラスト1Fが尻上がり。エルフィンSでは逃げてラスト3Fを11.5-11.7-11.2秒で楽勝しており、京都外回りは2戦2勝。今回は初の芝2200mで折り合いが鍵になるが、折り合えば末脚が爆発する可能性がある。半姉アドマイヤグルーヴはエリザベス女王杯1、1、3着。3歳牝馬最強を証明するか。

ベッラレイアは昨年のオークス2着馬。ローズSではダイワスカーレットに0.1秒差の2着。秋華賞は最後方からメンバー最速の32.9秒で4着まで追い上げた。今春は精彩を欠いたが、ヴィクトリアMは休み明けでイレ込み、マーメイドSは重馬場と敗因はある。前走の府中牝馬Sは後方からメンバー2位の33.3秒で追い込んで3着。まだ本調子ではなかったが、本来の切れる脚を使ったことは評価できる。京都の新馬戦、秋華賞、中京のあざみ賞で切れる脚を使ったように直線が平坦な京都は合う。父ナリタトップロードは京都外回り[4-3-4-1]で落馬を除くと複勝率100%。初の京都外回りでどんな脚を使うか。

エフティマイアは桜花賞2着、オークス2着、秋華賞5着。今年の牝馬3冠で全て掲示板を確保した唯一の馬。秋華賞は好位から伸び切れず5着。2ヶ月ぶりの出走で馬体14キロ減、蛯名騎手が騎乗停止でテン乗りの吉田隼騎手が騎乗、勝ちタイムが早過ぎて時計的な限界を見せたことなどが敗因として考えられる。それでも正攻法のレースをして勝ち馬と0.3秒差なら悪くない。過去10年の傾向から秋華賞組は4番人気以内に支持され5着以内が条件になるが、今年のメンバーでこれを満たすのはエフティマイアしかいない。蛯名騎手&鹿戸厩舎は先週のAR共和国杯をスクリーンヒーローで制している。

リトルアマポーラは桜花賞5着、オークス7着、秋華賞6着に終わった。桜花賞は出遅れて大外ブン回し、オークスは内を通った馬が有利な馬場で大外18番枠から終始大外を回るロス、秋華賞は内を通った馬しか上位に来れない馬場で出遅れて後方2番手から大外を回って追い込みと3冠はまともな競馬ができていない。これだけロスのある競馬をして勝ち馬とは0.2秒、0.5秒、0.3秒差。今回は叩き2戦目、ルメール騎手に乗り替わり、直線の長い京都外回りコースと条件が好転する。祖母ルイジアナピットは牝馬東京タイムズ杯と阪神牝馬特別を勝った切れ者。スタートを決めて脚を上手くタメられれば。

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