競馬アナリストGM
ヴィクトリアM
レース展望

06年に新設された古馬牝馬限定G1。06年は1番人気のラインクラフトが9着に敗れ、2、3、4番人気のダンスインザムード、エアメサイア、ディアデラノビアでほぼ順当な決着。昨年は1番人気のカワカミプリンセスが10着に敗れ、12、9、8番人気のコウイタ、アサヒライジング、デアリングハートで決着し大波乱になった。過去2年の1〜3着馬6頭のうち5頭には東京芝G1で3着以内があり、残る1頭(コイウタ)にはクイーンC(東京芝1600m)勝ちがあった。さらに1〜3着馬6頭は全て4、5歳馬。昨年は6歳馬スイープトウショウが9着に敗れたように6歳以上の高齢馬は不振傾向。データからは東京芝重賞で実績のある4、5歳馬に注目ということになる。

今年のメンバーで東京芝G1で3着以内がある馬は、ダービー馬ウオッカ、オークス馬ローブデコルテ、同2着馬ベッラレイア、NHKマイルC馬ピンクカメオ、安田記念3着馬ジョリーダンスの5頭。この5頭のうち7歳のジョリーダンスを除く4頭は4歳馬。ウオッカは64年ぶりに牝馬によるダービー制覇を達成した馬。その後は勝ち切れないレースが続いているが、今回は牝馬限定戦で宿敵・ダイワスカーレットはいない。芝1600mは[4-1-0-0]で連対率100%。桜花賞でダイワスカーレットに負けた以外は圧倒的なパフォーマンスで勝っている。今回はドバイ遠征明けで状態面が鍵。馬場、展開、関係なしという強さを期待したいが、果たしてどうだろう。

ベッラレイアはローズSと秋華賞でダイワスカーレットに負けたが、上がり3Fはそれぞれ0.4秒、1.0秒上回った。秋華賞は前が残る展開で4コーナー最後方というのは致命的。上がり3Fは2位のウオッカを0.3秒上回る32.9秒。京都内回りで大外を回ってこの上がりは極限。昨年春は除外続きだったし、ダイワスカーレット、ウオッカとはまだ勝負づけは済んでいない。東京ではオークス2着、フローラS1着がある。休み明けでG1というのは楽ではないが、平田調教師がどこまで仕上げてくるか。京都芝1600mの新馬戦はインパクトのある走りだった。鞍上は秋山騎手。馬主は植中昌子氏から吉田勝己氏に変更された。

ローブデコルテとピンクカメオは前走が不甲斐ない競馬だったが、G1勝ちのある東京コースでどこまで巻き返してくるか。ピンクカメオの東京新聞杯14着は大きく出遅れる不利があった。ジョリーダンスは昨年のヴィクトリアMでは大外からメンバー最速の32.9秒で追い込んで5着。切れる脚を使ったが、レースの上がりが早過ぎて届かなかった。安田記念3着、阪神カップ2着があるように牡馬が相手でも通用する地力がある。前2走は不利があり、力を出し切っていない。7歳馬というのは少し気になるが、馬は元気一杯。昨年のヴィクトリアMはアンカツがテン乗りだった。今回は3度目の騎乗。手の内に入れたか。

ニシノマナムスメはマイラーズCでカンパニーにクビ差の2着。パンパンの良馬場ならもっと切れる脚を使って際どかったかもしれない。昨年のエルフィンSではウオッカに子供扱いされたが、そのときとは違う。芝1600mは[2-2-0-0]。父アグネスタキオン、母ニシノフラワーというゆかりの血統で河内調教師は初重賞制覇なるか。牝馬の河内。エイジアンウインズは阪神牝馬Sを逃げ切り勝ち。距離延長は課題だが、この血統は今勢いがある。ブルーメンブラットは阪神牝馬S2着。メンバー最速の33.5秒で上がったが、流れが遅く馬群で揉まれて追い出しが遅れたぶん届かなかった。距離延長がポイントになるが、現在東京では2連勝中。

マイネカンナは福島牝馬Sの勝ち馬。中山牝馬Sではメンバー最速の34.4秒で上がってニシノマナムスメを差し切った。今回は岩田騎手が騎乗するのが不気味。ヤマニンメルベイユは中山牝馬Sの勝ち馬。東京芝1600mではスピード、切れ負けの懸念があるだけに渋った馬場が理想か。レインダンスは前3走不振だが、昨年の秋華賞ではウオッカに先着。距離は1F短いが、切れる脚があるだけに復活すれば。ウオッカは海外遠征明け、ベッラレイアは休み明け、ジョリーダンスは7歳馬、ニシノマナムスメは重賞未勝利、エイジアンウインズとブルーメンブラットは距離と各馬それなりに不安がある。波乱もあり得るが、堅い決着もありそうだ。

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