競馬アナリストGM
皐月賞
レース回顧

キャプテントゥーレは川田騎手が押してハナを切り、直線入り口で後続を引き離すと2着に2馬身半差をつけてレースを制した。社台RHは高松宮記念、桜花賞、皐月賞を制しG1-3連勝。前半5F61.4秒のスローペースで内ラチ沿いの最短コースを進んだことが有利に働いた印象。皐月賞は道中のラップが緩まないことが多いが、前半3F目から12.5-12.6-12.6-12.8秒と4F連続でラップが緩んだ。このペースで後続に絡まれることなく、単騎マイペースで行けたのだから驚く。スマイルジャックに騎乗した小牧太騎手は桜花賞を社台RHのレジネッタで制しただけに前に黄色と黒の縦じまの勝負服が見える状況では控えざるを得なかったのだろう。それでも直線入り口で後続を一気に引き離したように能力はある。休み明けの弥生賞では外枠スタートから外を回ってマイネルチャールズに0.4秒差の4着。今回は叩き2戦目でロスなく進めたことで弥生賞で負けた馬を逆転した。この中間はハードな調教を課して、当日は究極の18キロ減。渋った馬場での逃げ切りは92年のミホノブルボン(戸山厩舎)を彷彿させたが、戸山厩舎で調教助手としてスパルタ調教を支えたのはキャプテントゥーレを管理する森調教師だった。次走はダービーに直行する予定だったが、左第3手根骨々折が判明し全治9ヶ月。復帰は来年になりそうだ。

タケミカヅチは内の中団を進み、直線内から捌いて激しい2着争いを制した。上がり3Fはメンバー2位の34.7秒。スローの上がり勝負になったデイリー杯2歳Sと同じ結果になった。2着から6着までは0.1秒差でほどんど差がなかったが、最後にひと伸びして少しだけ前に出た。3着のマイネルチャールズとはハナ差。1枠1番からロスなく進めてきたことが功を奏した印象。弥生賞で皐月賞を意識した競馬をしたことも良かったのだろう。パドックでは少しオットリしていたが、馬体を絞り込んで仕上げてきていた。新馬戦を勝った後、勝ち星がなく、これが重賞で3度目の2着。弥生賞の回顧で「今年のような確たる馬がいない年はこういうタイプが最後に化けることがあるので注意」と書いたが、少し化けてきたか。父ゴールドアリュールはダービー5着。左回りと距離の克服が鍵になる。

マイネルチャールズは中団を進み、直線で馬群を捌いて伸びてきたが、2着のタケミカヅチにハナ差の3着。弥生賞では2番手から押し切ったが、今回はスタートがそれほど良くなく、1コーナーでスマイルジャックがフラついたことでごちゃついて位置取りが悪くなった。弥生賞と同じような競馬ならもっとやれたはずだ。パドックではまた馬体が減っていたが、細くはなく、一連のデキをキープできていた。松岡騎手は土日とも好騎乗を見せていたが、本番で流れに乗れなかったようにやはり1番人気のプレッシャーがあるのだろう。中山芝2000mの乗り方を心得ているのでいずれ皐月賞制覇のチャンスがあるはずだ。マイネルチャールズはダービーで巻き返しを狙うが、馬場や時計など、好走するには色々と条件がつきそうだ。

レインボーペガサスは後方を進み、直線でメンバー最速の34.3秒で最後に鋭く伸びて4着。直線で前が壁になって追い出しが遅れたが、追ってからいい伸び脚を見せた。他の馬にも言えるが、直線でもう少しスムーズなら2着はあったかもしれない。元々イレ込みやすい馬だが、今回は中山2戦目ということもあり、パドックでは落ち着いて周回し、馬体を大きく見せ、気配が目立っていた。ここにきて後肢の踏み込みが力強くなったのは好印象。4着に入りダービーの出走権を確保したことで今後は東京芝2400mを意識した仕上げに集中できる。それほど切れる脚がないなど課題はあるが、馬場がマッチングすればチャンスはありそうだ。

ブラックシェルは好スタートを切ったが、控えて馬込みの中団を進み、直線で外から伸びてきたが2着に0.1秒差の6着。スローペースで馬群に包まれて仕掛けるタイミングが遅れ、完全に脚を余した。いい脚を長く使える馬で捲くる脚もあるが、まともに追えたのはラスト1Fだけ。ただ回ってきただけで全く持ち味を発揮できなかった。ホープフルSで馬場をこなしたように緩い馬場が敗因ではない。パドックでは馬体、気配とも目立ち、仕上がりは良かった。ただし馬体は2キロしか減っていなかったようにまだ絞れる余地はある。賞金的にダービー出走はギリギリ。4着に入れなかったのは痛い。母の父ウイニングチケットはダービー馬。東京コースで新味を出す可能性はある。

スマイルジャックは内ラチ沿いの3番手を進んだが、直線に向くといつもの伸びがなく9着に敗れた。1コーナー手前で頭を上げて折り合いを欠き、勝負どころではキャプテントゥーレに並びかけないように小牧騎手が必死に抑えたことが影響したのだろう。平均ペースでバテない馬でスプリングSでは皐月賞を意識した競馬をしたが、本番ではタメ殺し。社台RHのキャプテントゥーレを意識した乗り方に馬主と調教師はショックを受けたのではないか。中間にハードな攻めを消化したにも関わらず馬体が増えていたように仕上がりは良かった。ダービーでは持ち味の持続力勝負に持ち込みたい。

ショウナンアルバは後方を進み、向こう正面から上がって行ったが、直線で一杯になり14着に敗れた。スタートして蛯名騎手が控えたが、大外枠で位置取りが悪くなったことが応えた印象。スローペースでこれでは届かないと向こう正面で一気に上がって行ったが、内を回った馬が有利な馬場では厳しかった。緩い馬場も合わなかったようだ。大外枠に入っただけに腹を決めて強気にハナを切る手もあったか。能力&体力はあるので、精神面が成長してスムーズな競馬ができるようになれば巻き返し可能。これまでの走りから左回りの方がスムーズな印象がある。

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